AAパート
雨の日の配達でビニールの使用をするのは当然なのであるが、完全に濡らさないという事は不可能である。
それはなぜか?
配達する郵便物の1通に全てのビニールを使うほどのコストも時間もないという話もしたが。
そーいった努力の類ではなく、自然なお話である。
積込の際にもビニールを使って、極力の雨対策はしているものだが。完全には無理だというのはすぐに分かる。
それを知った上で確実かつ濡らさないようにするには、単純に正確さと迷わない速さが大事である。その辺を踏まえると、ミスの少ない動きに徹するが正しい。普段のお仕事をいかに普段通りにできるかどうか。
「ちょっと長いですね」
しょうがないでしょう、実さん。
なんで”水濡れ対策”が難しい理由を語る上で、大事な基本動作やら積込作業やらを先に持って来たか。分かるでしょう。
こうまでして”水濡れ対策”をしても、郵便物が濡れてしまう原因があるんです。
防ぎようがない点が2点あります。
1.配達員が雨で濡れてしまっている。
四輪車の配達でしたら、車の中に乾いたタオルを用意して、配達する直前に両手を拭けばそれなりに保護ができますが。バイクの場合は不可能と言えます。雨除けの手袋みたいなのは売ってたりもしますが、濡れた部分で郵便物を持つ都合、結局郵便物は濡れます。
郵便物が濡れている個所は、右利きの場合は、右下に集中するかと思います。(郵便物の持ち方を思い出してください)。
右手はバイクのアクセルを回すことも多いため、とにかく雨で濡れます。左手はビニールを被せたり、中に入れて郵便物を持つことで多少は抑えられますが、右手部分の持つ箇所は基本は無理です。
それから両手だけでなく、ユニフォームとその上に着ているレインコート。ここが濡れてたり、水を弾いている状態ですと、そこに郵便物が触れるだけですぐに濡れます。レインコートなどはあくまで着ている本人を守っているだけですので、雨中で郵便物を取り扱っていると、そこから濡れます。
2.ビニールが雨でかなり濡れます。
キャリーケースの底には小さな穴が開いているため、仮に雨がキャリーケース内に溜まっても底から雨水が抜けてくれます。
大量にビニールを使って、郵便物を保護しても、ビニールそのものが雨でかなり濡れてしまい、ビニールの内側は保護できていても、その外側はとてもじゃないですが、保護できる状態になりません(酷い雨の場合)。
配達員が濡れること、ビニールが濡れること。共通することは同じく、”雨水を弾いて保護するものであるため”、雨水はそのまま残ってしまうというものです。
「ヘンテコな理屈ですが、雨が降っている限り、濡らさないというのは不可能って事です」
もっと実践的な意味で分かりやすくするなら、”道順組立”を行った際、コマの一番前の郵便物と一番後ろの郵便物は雨濡れの被害が大きいです。その意味で、その間にある郵便物はさほど雨濡れの影響が出ません。
また、一番後ろにしている郵便物は、濡れた右手が配達を終えるまで持っているため、郵便物の後ろはかなり濡れます。”水濡厳禁”は後ろに持って来ない方がいいです。というか、そーいう場合はビニールでの包装を勧めます。文字で指示されても防げないんですよ。
「郵便物が雨で濡れる原因は以上ですかね。ビニールを多めに使ったところで、ビニールが濡れるというのを理解してください(帰局時にまたお話しますが)。絶対に濡らしてはいけないってモノもありますが、そーいうのだけを絞って保護したり、あるいは翌日回しにするのもOKです」
長々言っておいて、木下並のざっくりな感じで言うと
「雨が降ってたら濡れるから、お前等(客)も理解しろ」
多少、郵便物が濡れてても、怒るほどのお客様はそういません。というか、言ってくるお客様は家からもロクに出られない方が多いです。
ブロロロロロロ
散々と雨で郵便物は濡れますって書いているからこそですが、……
キャリーケースからの郵便物の取り出し、その確認作業、……数字に出すのは難しい事ですが、そういった動作を見つめていくのが、雨濡れ対策でもあり、通常業務の改善に繋がります。
そのやり方等は、各々の配達員達にお任せしますが。作業の効率が良くない場合は、目に見えないところを意識すると良いと思います。効率が悪い場合、寄りミスや確認多々などもありますから。
ブロロロロロロ
雨天時の運転時の注意は前回の最後にお話しましたが、雨天時の配達についての注意をします。
新人の内はよくやられてしまいますし、普段慣れている方でも慢心さ故にやってしまいます
ツルッ
「わぁっ!?」
濡れてツルツルなタイルの上を歩くと、かなり滑ります。
雨天時の転倒事故は配達のお仕事でもよくされます。配達をするため致し方ないのですが、滑りやすそう場所では落ち着いて歩きましょう。階段とかは手すりに手をかけておきましょう。
たかが転倒といっても、実際に骨折などまで行ったケースもあります。(それでも仕事してるバカもいましたが)。
怪我をする箇所は足よりも、腰や、転倒を避けようとする手だったりします。
足元の確認をしながら、配達業務をこなしてください。
補足としては、雨が止んだ頃合いが一番危険です。
足をつける床が、濡れていないところと濡れているところで結構な差が出ます。雨が止んだあとの天気は良いものですから、足元の確認が疎かになりやすいです。
実や木下、矢木、山口達もまた、不慣れなところでは転倒しています。
ピンポーン
「……………ちっ」
雨の日の在宅率は案外良いんですけれどね(仕事以外での外出は少ない為)。
不在票を書く際、雨で中々書き辛いです。すぐにインクが滲んでしまい、よくボールペンが使えない状態にされちゃいます。なので、ボールペンは最低でも2本は所持していると良いです。
あとは判子もダメになりやすいです(蓋はちゃんとつけましょう)。事故処理や日常点検、配達証の返還で、判子を使うケースがそこそこにあります。
「レインコートのポケットにボールペンや判子を入れる人は気を付けろ。雨が強い時に配達してると、ポケットの中が水たまりみたいになるからな。それでペンが一気にダメになる」
◇ ◇
「うーん」
雨天時の配達をすると……、まだまだ遅い森橋くん。誰だって遅いのはそうだ。
定形郵便物をビニール袋に入れての配達。これが普通と思えるが、……やってて気付く。
「結局、濡れないか?」
自分の身体が濡れていることで、結局、郵便物が濡れるのだ。だからこそ、”完全”に濡らさないから、どうやって”なるべく”濡らさないかを考える。そうなると、普通のやり方に行きつく。
「ビニールを使い過ぎると、中が見辛い……」
透明なビニールに水滴がかかりまくると、凄く見にくくなります。
デカいビニールを何枚も敷き詰めても、中の様子が見にくくなり、雨が入ってきて濡れます。素早くとって、素早く閉じる。慌ててやらずにそうやるのは難しいですが、郵便物の保護を考えるとこれに行きつきます。ビニールは必要な数と大きさだけあればいいです。
とはいえ、大事そうな郵便物だけは予め、ビニールで保護しておきましょう。
キャリーケースの中にある郵便物の保護はそんなに難しくないのですが、……問題は書留カバンの方です。
ビチャッ
「うわっ、外装が水濡れしてる」
腰の位置に巻いている書留カバン。
昔の書留カバンのタイプは非常に雨に弱く、中にビニールを入れても書留が平然と濡れていました。
そして、書留だからこそ、困る事は
「不在になった郵便物が……酷く水濡れするなぁ」
”不在になった郵便物”がかなり濡れます。
特に書留カバンとキャリーケースだと、雨の通りが大分違います。書留カバンは構造として底に穴とかはなく、カバン全体が湿っていきます(今のカバンは多少かなりマシですが)。
そして、書留カバンの開閉の回数は実際に配達をやると多く、さらには濡れた手を入れる回数も非常に多くなります。
書留カバンには、配達するべき書留の他に不在になった書留も中に入れるため、早々に不在になった書留は凄く濡れてしまいます。
対策らしい対策は……ぶっちゃけ、ないです。
少なくとも、”書留カバン”を利用するという点ではです。
すぐにマネするなよ!
という警告をつけて、不在になった書留をあまり濡らさないで持ち歩く対策の一つに。
”キャリーケース内で保管する”という対策が、保管においても保護においても安全だと考えております。雨対策のおかげでビニールを手元に抱えている状態だと思います。ビニールを1枚、不在になった書留を入れるように取り扱い、キャリーケースの中に保管することで……びしょ濡れになるという被害は防げます。ただし、失くさないでくださいね。”通常郵便”と混ぜて失くすようならしないでください。これで失くすと正規の取り扱いでないため、こっ酷く怒られます。
対策を先に講じた上で。
仕事全体における、口五月蠅い業務改善となりますが。各々の程度で構いませんから”整理整頓”ができるようにする事は大事です。雨天の配達では色々とモノを出したりするので、特に重要です。
家を覚える、取り扱いを覚えるも、大事な要素ではありますが。”整理整頓”は自分自身でできるようになってください(作者もできる側じゃないので、偉そうな事言えませんけれど)。
ガコォッ
雨に限った話ではないですが。特に雨の日に気を付けて頂きたいのは、郵便物の投函方法です。
今は”置き配”で特に騒がれているかと思いますが、”ポストから郵便物がはみ出ないように投函すること”、また、”無理矢理ポストに投函しないこと”。
この2点をお守りください。
特に前者は、普段なら大丈夫なところでも意識してやってください。配達員として、郵便物が濡れてしまうのは防げないというのは事実です。ですが、”投函方法が悪いことで濡れてしまう”のは配達員の責任に当たります。
普段から言われていると思われますが、濡れないように郵便物を投函することが大事です。
また、そのために”郵便物を無理矢理入れる”。これも止めてください。その場合は、素直に不在票を入れた方が安全です。
それと最近の”置き配”について、ちょっと話しますが。
置き配の指示がある場合に限りますが。
雨で濡れないように置く事も大事ですが、その前にお客様が家にいるかを確認してください。居留守ならそれでいいです。郵便物に限らず、荷物が濡れちゃって中身が台無しになるのは避けたいのはもちろん、雨の日は風も強かったりします。
配達地域の治安にも寄りますが、90%くらいは天候の方が悪さをしてきます。
”置き配”を依頼されて、荷物が汚れた、無くなったっていうのは、我々には関係のない話ではあります。ですが、連絡というのは来るモノなので、お客様を呼んじゃって大丈夫です。その事でお客様が怒るケースは滅多にないです。
むしろ、配達員が置いた時に、最悪のケースを容易に想像が付くなら、不在対応でOKです。再配達の負担よりもお客様の荷物の方を大事にしてください。
「雨天時の置き配依頼のある郵便物は、予め、ビニールに入れておきましょう。それなら多少の事じゃ中身は濡れません。置き配される荷物の大半は、お客様が待っているモノが多いです」
◇ ◇
ブロロロロロロ
雨天時の配達では出発もそうですが、帰局時もテマです。
「ぷはぁ~!今日の雨はすげーな!」
「だな、木下さん」
レインコートなどをすぐに脱いで、ハンガーをかけて乾燥機に放り込みます。乾燥機の中は争奪戦かつ、知らずに自分のモノが入れ替わっている事もあります。
あるいは、バイクの上にかけておくという事もしています(作者はこっち)。
当たり前ですが
「寒ぃ~」
「体を冷やして、風邪ひくなよ」
「だははははは、馬鹿は風邪なんかひかねぇよ!」
身体はかなり冷えます。特に秋~冬の雨は効きます……。着替えの用意を使いたいところですが、
「午後もこの降りか~、参るなぁ」
得策ではないです。(予備が沢山あるなら別)。配達の仕事が全部終えてからしましょう。
大変に思った雨天時の配達。もう一度です。徹しなら、あと2回やります。
雨天時の恰好は、薄着は勧めません。
人体のお話になりますが、首部分は冷やさないようにしましょう。ここが冷えてしまうと、体全体が冷え切ってしまいます。服が雨で濡れる分はいいのですが、体まで雨で濡れると早く体が冷えちゃいます。
夏場はそれでも平気、むしろ、体感として気持ちいいくらいですが。それ以外の季節ではかなり身体に来ます。風邪をひくなと、周りの方々は言いますが、言われたところで防ぐ手段は出勤前の自分にかかっています。
ちゃんと天気予報を見てから出勤してください。
「酷く濡れた郵便物があったら、ドライヤーで乾かせよ~!」
自分のことが終わったら、持ち戻った郵便物をチェックしましょう。
酷く雨濡れした郵便物はドライヤーで乾かした後、”水濡”や”汚損”した謝罪文が載った付箋を郵便物に貼り付けましょう。
「大抵、包装紙が濡れているだけだ。乾かしとけば、大体OKだ」
包装に使われているところは、雨濡で破けたりするケースもあります。その時はテープで補強しておきましょう。中身が飛び出さなければ、謝罪で押し切れます。
……ホントに”水濡”に弱すぎる紙で送る方もいますので、大事なモノだったらそーいうのは使わないでくださいね。
「DMハガキや封筒の住所表記が、雨でグチャグチャになってたりしたら、その辺も適正な住所を書いてな」
配達員がずぶ濡れになり、そんな状態で郵便物を問い扱うので、住所を記載している文字が見え辛くなったりしてます。特に不在になって持ち戻った場合、ちゃんと書き直しておきましょう。
「濡れたビニールは捨てておけよ。使えねぇから」
最後に、使ったビニールは捨てましょう。水に濡れたビニールはあまり使えません。使い捨てで行きましょう。
それから昼飯もちゃんととりましょう。なるべく、温かい食い物。タンパク質は体を温めてくれるので、大事です。
雨天の配達では、普段の業務より3,4つは工程が増えちゃいます。だからといって、配達などを急いでもしょうがないです。ここは割り切って、残業をする前提でお仕事をしましょう。
◇ ◇
キーーッ
「……はぁ~、終わった~」
いつもより1時間ほど遅く終わった、森橋くん。
1日中の雨。少しは止んでくれって思っていたが、一向に雨は止まないのであった。
レインコートや長靴を片付けたりしてから、班内に戻る。
「今、終わりましたー」
「お疲れー!よく頑張ったなー!」
「今日は大変な日でしたね」
いや、ホントにそうだった。
雨で濡れると体が重く感じる。寒さもそうだが、靴下や服が濡れた分、重くなる。
しかし、
「意外とお客様達が温かい事を言ってくれるんですね。励ましというか」
「雨の日は特に言われますよ」
「あと酷暑!」
こーいう悪天候の日は、お客様が優しい事が多いです。お客様目線からすれば、外で働く仕事の大変さが、自分のしない理由だったりします。それを込みで頼んでいる事も多いわけです。
新人にとっては、そーいう励ましはありがたいのかな?って思います。
ベテラン勢は仕事だから普通だろって流しちゃいますけれども。
悪天候への理解をされているのは、お仕事をされている方達です。大変なのはそうなんですが、配達のお仕事はこーいう地味なことではありますが、必要とされているお仕事なんだなって早い内に考えて頂けると嬉しいです。
「悪天候なんて1年、365日で5回か6回だ。自分が休みの時に悪天候だったら、家で笑ってるけどな」
「矢木さん。本音を言わない」
悪天候のお辛さを文面に記すのは難しいです。実際に体験されることが何よりも早いです。しかし、矢木の言う通り、悪天候を喰らう回数は1年で5回か6回です。1日中の雨は……配達地域によって気候は異なりますが、晴れる日より多い事はまずありません。
悪天候云々を語れば、配達の地域格差というのも、当然現れますし。
何事も実際に触れないと分かったもんじゃないです。
「お、お疲れ様でしたー」
書留や配達証などを返納したら、即帰る森橋くん。さすがに悪天候の時は、事故付けや雑談よりも家に帰った方が良いです。疲れているのもそうですし、
「うわっ、重い……」
ユニフォームやレインコートなどを、家で洗濯しなきゃいけません。当然、濡れた服も持ちながらです。
「仕事が終わったっていうのにな、ははは」
悪天候の時の出勤もそうですが、帰宅もメチャクチャ大変です。荷物が増える分、帰宅の方が厄介かもしれません。
そして、帰ってきても
「母さん。悪い。洗濯を2回していい?それと、先に風呂に入って良い?寒い」
洗濯やら風呂なども、先にやらないとかなりキツイです。
もし、ご実家に帰られる場合。ご家族さんは、風呂を沸かせたり、洗濯を手伝ったりしてくれると、かなり有難く感じます。独り身だと、これ全部やらないと寝られないし、明日の出勤にも響きますから。




