Zパート
天候が悪い場合。
”道順組立”、”大区分”などでは配達業務を楽にしていくという動きにしていく感じです。
それを新人の内にやれるには、……まず不可能です。そんなに頭が回りません。
小細工というのは、積み重ねた後にできるようになります。
そして、なによりも大事なのは、”大区分”、”道順組立”を間違えずに行うことなのです。
これらがミスれば、配達の遅延、誤配の原因になり得ます。積み重ねればなんとやらです。
「雨が結構降るからな。お前の”積込”は大丈夫か?」
「俺は大丈夫です!!というか……」
郵便バイクの置き場にて。
森橋くんが心配そうに見ている。山口、木下、矢木の3人の”積載量”……
「皆さんはその量を詰めるんですか!?」
……以前にも書いたが、この班の物量はシャレになっていない。他班と比べると大きく違っている。その差を互角以上に渡り合えているのは、配達員の業務能力にある。
彼等とて、”悪天候”の中でこの業務。それでも、むしろそうしてようやく、他と近づいてくれるというか。
「「「大丈夫だ、問題ない」」」
「それは死亡フラグです!!」
今回は”積込”のお話をしようと思います。
積込作業というのは軽視されたり、人によりけりなので、書き辛いのですが……。そもそも、これは森橋くんに正論を言わせます。
「あなた達の配達量っておかしいです!!キャリーケースから郵便物がはみ出てるじゃないですか!!雨で濡れちゃいますよ!!」
配達量がおかしい地域というのは、バイクの後ろのキャリーケースから郵便物が溢れている事が多いです。これには”嵩物”の多さもありますが。とにかく、このような状態で配達に赴くというのは良いとはよろしくないですが。
やりゃあならんのですって、状況です。彼等にとっては
「だははははは、落ち着け。俺達が何年やって、何日もこーいう天気で配達やってるんだ。さすがに分かってる」
「俺達がいつも郵便物を全部配達し終えて戻ってくるのは知ってるだろ?」
「普段から出来てることをこなすだけだ」
ちょっと前に書きましたが。
”郵便物を持ち戻る癖”は早めに止めましょう。これを癖にすると、悪天候の日にやっちゃいます。自分の力量を踏まえた上で、全部を配り切る。これが鉄板です。それを成す上で、”積込作業”は大事です。
まず、自分のできる範囲で準備しましょう。
「積込過ぎると、重いし、大変だからな。俺達はその辺弁えてる!」
「道順通りに積めるのはもちろんだが、こーいうところは器用にやらねぇとな」
雨天時の積載について。
1.キャリーケースから郵便物をはみ出さないようにする。
蓋を締めておけば、そんなに雨で濡れることはありません。(原因は後述)
とはいえ、キャリーケースの”鍵がかけられる程度の積載”にするのが無難です。
このくらいの積載量ならば、配達時での”遅れ”が出にくいです。重いだけで運転が大変ですから。
2.午前配・速達などは取り出しやすい位置にする。そして、早めに寄る。
新人の内から”午前配”や”速達”を早めに回れと言われる理由として、”悪天候”というのは予測しやすい困難です。
特に”午前配”というのはお客様が待っている郵便物です。
普段の天気なら午前中に回れる場所も、悪天候だと12時を超えることも珍しくありません。
また、キャリーケースから郵便物を取り出す動作の都合上、取り出しやすい位置においてあるモノほど、濡れやすいです。なので、配達完了になりやすいのは取り出しやすい位置にしましょう。
「雨濡れしやすい郵便物の1つは、不在になった”郵便物”だ。四輪と違って、バイクだと、安全な屋根はないと言っていい。ビニール袋に詰めておけば、基本は大丈夫だけど」
木下はそのめんどくさがりなところも含めて、言う。というか、配達員の多くの本音
「袋に入れるのは面倒だ!」
「人の郵便物を大切に取り扱ってください!」
森橋くんの鋭いツッコミ!ウチ等もサボりたいんですよね。
「だってよ。あいつ等がビニールの包装をしとけば、こっちが水濡れ対策をする必要はほぼ皆無だぞ。池ポチャレベルをしなきゃ、中は無事だ。それをサボってるのは、お客様同士だろうが。俺は関係ねぇ。なんで配達する俺達がコストを払わなきゃいけねぇんだ?おかしいだろうがよ」
「そ、そういえば、確かにですが……」
「大切な荷物をちゃんと包装・梱包されているお荷物と、そうじゃないのに注意書き書いておしまいの荷物を同価値で取り扱うのなんて変だろう。もっと言えば、”通常郵便”と”追跡郵便”で料金違うのに、同じように取り扱えって、お客様の我儘だぜ」
「それは言い過ぎだろ、木下さん」
「矢木さん!それはそうですよね」
「”通常郵便”で出されたモノで偉そうに文句言ってんじゃねぇよ!”追跡郵便”の方が、包装がしっかりされているケースが多すぎる。マジで”通常郵便”で大事なモノとかほざく奴は、ホントのカス」
「もっと酷かったーーー!!」
……現に言われる事ですし、配達員側からすれば、”水濡れ”対策を優先するのは”追跡郵便”です。だったら、いっそって事で。”通常郵便”を残す判断は大切に取り扱っていると思ってください。
「もう大分配達には慣れたろ?あいつはこの時間にいるとか、ここは宅配BOXがあるとか。そーいうのを把握しとけば水濡れ対策になる」
普通に配達することが1番早いです。ですが、配達する”郵便物”を大事にするのなら、正解とは限りません。
雨が強い時に配達をするなら、マンション配達がいいですし、ポストに入らない郵便物を絶対にお渡しできるところならそっちを優先した方が良いです。バイクでの配達は、無理を言ってしまいますが。
「不在票になるような郵便物は配らない方が良い。そんなのはありえねぇけどな」
3.キャリーケース内をゴチャゴチャさせない。必ず、積み込むパターンを決めておきましょう。
「郵便物を取り出す都合、その蓋は必ず開けるよな」
実際にはわりと無意味だと、分かるんですが……。
「新人も、遅い配達員も、よくやっているケースとして、どーいう風に積み込んだかを忘れちまうケースがある。森橋だって、”嵩物”や”書留”の寄り忘れを経験してるだろ?」
「うっ……」
「そのミスは、”積載”する時に配置をよく決めてないのが原因というのがある。”悪天候”の時は、それが響いてくる」
「木下さんがビニールの袋詰めを嫌ってるのは、キャリーケースの中からビニールだらけで見にくいんだよ」
「年取ると目が悪くなっていけないんだよ」
”水濡れ対策”というのは、こちらのコストはもちろんですが、ビニールの表面に水滴がちらついて、中に入れている郵便物が読みにくいです。
「これは人間の目に限らず、端末にある”追跡郵便”をスキャンするところも読み辛くなるからな。ビニールに包まれて、中にバーコードあるタイプが読みにくい原因はこれ」
あとは”ゆうパック”や”レターパックプラス”といった、郵便物に配達証がくっついているタイプ。これはビニールに入れていますが、結局、外さないと配達証を剥がせないため、外したビニールがキャリーケースに戻ったりします。(他で使ったりもしますが)。
配達に影響が出ている場合、ビニールの使い過ぎや大きすぎるビニールの使い過ぎなども細かいながらあります。
そして、完全に水濡れを防ぐ手段というのは、配達員側にはできませんし、する義務はないです。努力と経費をかけるだけで精一杯です。お客様にはご理解のほど、お願いします。
「普段から整理 OR 整頓をしとけば、配達が早くなる・安定するコツだ。これは個人差あるけど、配達の仕事に限らず、どの仕事でも利用できるから案外やっとけ。部屋掃除とかな」
「いくつになってもお母ちゃんに、部屋掃除頼んでる大人になるなよ」
4.前カバンの蓋をしっかりかける、……ではなく、引っ掛ける!
これまた人による話なんですが、自分としては前カバンのカバーは旧来のタイプにして欲しいです。
柔らかくて、先端が伸びていて、概ね役目をはたしてくれました。ただ、取り出し辛いという欠点もあり賛否両論な気もしますが
「今の奴は、カバーの役目を果たしてねぇーーーだろ!!最近の奴、なんだよ!どいつもこいつもカチコチ固くて!!年寄りの両肩か!?」
「まるで木下さんだな」
「本当にお前のことだな」
……現在の前カバンの雨除けカバーは、全部を覆うタイプではなく、カバンとカバーをバイクに取り付ける部分が開く形状となっています。前後から郵便物を取り出せるのは、そこそこ利点なのですが。
どちらにも言える欠点として、この雨除けカバー。あっさりと
”正面から吹き込んで来る風で外れちゃいます”
「雨除けカバーは風に弱すぎるんだよ。むしろ、邪魔」
「多少、防いでいるだろ。多少」
前カバンをどのように取り扱うかは配達員にお任せします。作者は定形外を入れるタイプ。定形を入れる方もいるでしょう。
雨除けをしっかりして頂く。この出発から配達先に到着するまでの間は、濡れないようにしましょう。そこで、ただカバーを被せるだけでは不十分です。
”雨除けカバーの先端を前カバンの底で抑える” OR ”バイクのヘッドライトと前カバンで引っ掛ける”ようにするといった、物理的な工夫も必要です。
「今のタイプは後ろの方も開いてるから、その隙間から雨が入ったりするんだよ。止められる工夫もされてるが、あんまり役に立たん」
雨除けカバーは役に立たないと思ってください。
「雨降ってる時は前カバンに詰めた郵便物ごと、ビニールで包むといいぞ。節約にもなるし」
出発時には前カバンの上に、ビニールを被せておくと良いです。
配達を始めてしまえば、郵便物を濡れることはあまり気にしなくて良いです。まず、防げないので。
「ほへ~」
バイクに郵便物を積込ところはこの辺まででしょうか。
とりあえず、キャリーケース内に郵便物を抑え、水濡れ厳禁や大事そうなのにはビニール。前カバンの雨除けカバーは信用するな。
バイクに関してはこれでいい。悪天候で、一番の問題は
「”ここ”には気を付けろ」
「”ここ”……とは?」
悪天候で最も濡れやすく、大事な部分があります。必ず、ビニールで収めても必ず濡れます。
「”書留カバン”は絶対にビニールに入れろ」
”書留カバン”が一番、雨に曝されます。必ず、ビニールで覆いましょう。書留は重要な郵便物ですので、ちゃんと取り扱わないと色々と言われます。そう言われるものであるため、みんなちゃんとビニールで覆うのですが、よく濡れます。
ここでも書きますが
「ちゃんと”書留カバン”の中を整頓しろよ」
「悪天候で辛いのは、”不在票”や”お報せ通知”などがダメになりやすいことだ!!」
装備している位置からしょうがないのですが、書留カバンが一番濡れます。旧型の書留カバンはかなり酷く、書留カバンが濡れているだけで、中にある郵便物にまで水が染みこんでボロボロにしていました。そのため、ビニールで書留カバン全体を保護する必要がありました。
雨が降ってなくても、ビニールを常に入れている方もいます。
後述で書きますが
”絶対に濡らさない方法がありません”
「不在になった”書留”は、別の袋を用意して、まだ配達が残っている”書留”とは別にしとけ」
「は、はい」
……”書留カバン”は、もっとも雨に曝されやすいです。そして、キャリーケースよりも開閉する頻度が高いです。なぜなら、”不在票”や”お報せ通知”の紙を出し入れする必要があるからです(当たり前)。
細かいですが、そーいう開閉が多いと中身が濡れやすくなります。書留カバンの中で不在になったモノとそうでないモノを分けておくことで、少しは水濡れを防げます。
「「「じゃ、俺達は先に行くぞ」」」
「は、はい!」
雨天時での配達の流れの前に……。(まだ配達に行かないのか)
出発前の服装について、お話します。絶対にそうしろというわけではなく、揃えておくといいですという形です。
「レインコートを着て長靴に履き替えないと」
1.レインコートと長靴を用意しましょう。
プールの授業などで”着衣水泳”をした事はありますか?あれをやっている感じだと思ってください。
悪天候での配達では、自分自身がかなり濡れます。濡れた服というのは冷たくて重いので、レインコート(会社支給のもあるけど)や長靴はかなり有効です。通常の靴ですと雨でかなり傷んだり、汚れたりします。
2.ヘルメットのシールド。(大抵ついていると思いますが)
バイクを走行中の雨は、常に石ころをぶつけられているような感覚です。ヘルメットのシールドは付け替えが簡単なので、こーいう日はつけておきましょう。紫外線とは違った意味で露出を控えると良いです。
3.靴下や替えの着替えの用意
傘を差して配達をするわけではないので、身体が確実に”濡れます”。これに関しては絶対ではないので、あると便利ですという話です。1日中の雨の場合、午前も出て、午後も濡れます。
そして、メッチャ寒いです。
雨が分かっている日は、いつもより多めに服を着こんだりするといった事前の対策をしておきましょう。
体温の低下は動きが鈍くなりやすく、体調不良にも繋がります。
「よーーしっ、出発!!」
ブロロロロロロ
森橋くん。出発である……山口達と談笑しながら、それに続いたわけだが。
「な、なんだあの新人!すげぇ早いな……。この前、来たばっかだろ」
「やっぱり、あの班の面子はすげぇのばっかりだな。俺なんか、今日の天気でやる気失くしちゃってるのに」
雨の日は、”出発準備”の段階で色々とあります。気持ちも結構とられちゃいます。
そんな中で普段通り、もしくはそれ以上のお仕事ができるようになっていたら、そりゃあ成功した証です。
森橋くんは山口達のレベルにまだまだ到達していないが、すでに他班のレベルには追いついております。
ブロロロロロロ
次に、雨天時の走行についてです。
山口部長が言っていましたが、ブレーキのチェックはしっかりしましょう。運転免許を取得したのなら、制動距離と空走距離の話があったと思います。実際に雨で地面が滑りますので、ブレーキをいつも通りにしていると危ないです。
こちらもですが、”危険な運転”とされることを普段から控えるようにしましょう。人間の心理というのは、慣れが身体に現れるため、いつもと同じように、場合によってはより”危険な運転”をします。
前の車との、”車間距離”だけはしっかりと確保してください。
早く仕事を終わらせたいと、バイクを飛ばしても、そんなに変わりません。
むしろ、交通事故を起こしたらより遅いです。
急ブレーキをかけるとタイヤがロックされ、かなり滑ります。荷物を積んでいる状態ですとかなり不安定な感じです。(ここらへんはやらんと分からんか)。ブレーキは強く踏まず、予め速度を抑えて走った方が安全です。また、前方が黄色信号の場合は無理に止まろうとせず、多少強引でも通過した方が安定します。積載があって、ロックして滑るバイクを制御するのはかなり大変です。
基本は道路を通るのが常かと思いますが、郵便配達は路地やマンホールの上、タイル帯、砂利道なども走ります。2輪車ということも相まって、かなり滑ります。足元を気を付けろというのは、難しいですが。慣れてきた道ならその道を避けて走るように心掛けてください。
これはバイクもそうなのですが、自分の足もそうです。
濡れたタイル、濡れた階段というのは非常に滑りやすいです。中には手すりもない階段も珍しくありません。そして、転倒による労災というのも実際にあります。怪我をすると仕事のみならず、生活にも支障が出るので、雨の日の配達はまず。自分を守ることにしましょう。




