Wパート
1つ、忘れていた郵便物があった。
「”税付”のことを忘れてた!」
「”税付”って”国際の代引”って事ですよね?」
「そうそう。……これ局によって対応が違うらしいんだが、……”国際書留”をやりながら、”代引”をやる感じでいい」
お金を頂いて、配達証に判子ORサインをもらう。この配達証は”国際書留”と同じです。
配達証は代引と同じようにしまいましょう。”国際書留”と似た配達証なので、別個か目印をつけるといいです。”EMS”も同じ配達証ですので、EMSの場合は”E”……税付の場合は”税”と、配達証に記入しておくと良いです。
「これは滅多に来なくて、”代引”と同じように領収書と振込先の紙が入っているんだよ。配達完了がしたら、振込先の紙も忘れずに回収な。局によっては、郵便課がちゃんと管理してるらしいから、ちゃんと勤め先のところで確認してくれ」
「でも、滅多に来ないんですよね?」
「そーなんだよなぁ……。”税付”は車の人達が基本は対応だから。デカいのが多いんだよ」
そんなわけで、”税付”のお話はパスです。
基本は”国際書留”と”代引”が合わさった処理であり、代引の配達証をごちゃ混ぜにしないようにってところが落としどころです。
◇ ◇
ブロロロロロロ
……世の中、なるたけ、平等を……って願う奴ほど、貧困なのが頂けないお話。価値は人それぞれ。
不平等こそが世界の平等であって、今の人達が騒ぎ散らす個性になっていくからさ。
「この郵便物だけは、送料を10倍にしてぇ(作者は100倍希望)」
「そんなに”特別送達”は嫌なんですか?」
「やりゃあ分かる。というか、こいつだけに関しては……”郵便局”以外はまずやらねぇ。やらない連中にとっては儲けもんだと思うがな」
”特別送達”
差出様は、裁判所から発送される書留。
そして中身の方は、訴える側よりも訴えられる側、……訴状やら通告、催促、勧告やらのお達しである……。
書留が対面配達である以上、お客様と出会わなければいけないわけだ。で、こーいう奴等は
「態度云々じゃなくて、人としてやべぇーのが多い。その2割ぐらいは外れを引く」
「…………」
「そもそも、借金ある奴と人付き合いなんかするもんじゃねぇ。……親の借金だと騒ぐ奴よりも、自分の借金で騒ぐ連中が多い事多い事。それと、離婚関係の裁判も正直ふざけんなって気持ちだ」
……山口の言う通りです。
ガラの悪い人やキチガイ的な人、頭のオカシイ人、犯罪者などに荷物を届ける……しかも、彼等にとっては都合の悪いお荷物を配達するって話です。クロネコヤマトやら佐川急便は、お客様のためと、笑顔でご対応されますが。彼等とて、お客様は選びたいものです。
言わせていただきますが、こんなもんこっちは、配達したくないんですよ!
切手貼り付けて配る時、送料がとてもお安く感じます!支払の催促、差押えなどの通知を配りながら、通販の商品を一緒にお届けしたりすると、はぁ?って気持ちになりますよ。
ベネッセを配ってるところに、離婚の裁判所の”特別送達”を届けるのも、精神的に面倒ですし。どこも幸せを感じませんからね。
「とにかく、厄介な奴に届いているのが”特別送達”。で、”特別送達”をもらう奴はクレーマーが多い!!メチャクチャなイチャモンもこいつ等からよ~~くもらう。……そんで”無職”も多くて、暇人!……金が返せない奴だから当然だけどな!」
「めっちゃ愚痴りますね」
どっちも悪者だと思っています。
我々、関わりたくないです。送料高いじゃんって思われますが、クソ安いですよ。1通に付き、10万円の送料が欲しいと思います。
「”特別送達”は、こっちも届けない方が楽だからな。面倒な奴に会わなくていいわけだし」
他人同士の裁判なんて、関わらないが一番ですからね。
あえて、真っ当な”特別送達”を挙げるのなら、裁判員制度の書類ですかね。まともな人にお伺いしている印象です。選ばれた方は大変でしょうが……。
とにかく、”特別送達”を配達するというのは、厄介な性格で話を聞かない奴等が多くて、自分勝手でクソ野郎ってことで
「配達する上で注意点は……4つくらいあるかな。1つは受取相手が良くねぇこと。次に……受取相手に絶対、見覚えがあるかの確認をとれ。そして、受け取るか受け取らないかを訊く。相手に責任能力がねぇと感じたら、不在通知を渡せ」
「配達しなくていいんですか?”本人限定”とは違うんでしょ?」
「”特別送達”を渡す際には、受理する側に責任能力があるかどうか、配達員が判断しなきゃならねぇ。言ったろ?離婚関係とかもあるって。小学生が受け取りに来る事はおかしくねぇ。……見た目の判断になるが、高校生以下の年齢の子には渡すな。子供が裁判にかけられることはねぇーからな」
1.”特別送達”を受け取る相手を判断しましょう。
まず、”特別送達”の相手が、ご本人様かどうか、そして、覚えがあるかの確認をするべきです。
相手が本人なら話が早いですが、同居者が出て来る場合は多々あります。
”特別送達”は裁判関係の書類であり、ご本人様以外の場合は”知らない”可能性が十分にあります。お子さんは、家族の借金なんか分からないので、親御さんがいなかったら、いる時に再配依頼をしてとお伝えください。
「厄介なのは、子供より大人なんだよな……昔々からそうなんだよ」
「……家族に借金とかを隠していたってわけですからね」
旦那の借金とか、娘の借金とかを知らないパターンは……相手方も混乱する場合があります。
本来、相応に責任能力がある相手には配達するのが、”特別送達”の義務ではありますが。ぶっちゃけ、背いています。こーいうのは遅かれ早かれバレるので、少なくとも、家族の関係者には話をして欲しいです。借金がどうこうなる事は厳しいですが、一緒に暮らす相方なり親の力を時には頼って、……あとでちゃんと返すようにすりゃあいいのです。できねぇからダメなのは分かっておりますがね。
「訴えられてる事を知らなくて、別れたってケースも見てきている」
「…………他人の事なんで、自分も借金は止めます」
少なくとも、金融会社に金を借りるより、親から金を借りた方が精神的には楽ですよ。
”特別送達”に限っては、相手が受け取るか受け取らないかをちゃんと確認しましょう。……それで、”受け取らない”と言った場合、十中八九、”受取拒否も嫌だ”って言ってきます。
”特別送達”には受取拒否という項目もあるのですが、……作者を含めて、多くの配達員が使った事はないと思います。(したことある奴、すげーレベル)。そこで不在対応をします。
「受け取らないって言った場合は、不在票を渡して、”期間経過”って形で裁判所に戻りますからって感じで伝えれば良い。これなら受取人側も、受取拒否をした事は分からないし、郵便局側も対応によるミスはねぇからな」
「なるほど。そーやって、回避するんですか」
「ただ、そのやり方も裁判所側には筒抜けだからな。別の手段で通達してくれるし、訴えられている事実は変わらない」
”特別送達”を受け取らないという選択ですが……。正直な話、悪手だそうですよ。
簡単に言えば、弁明などの機会を本人が放棄しているわけです。情状酌量の余地はなしって感じに処理され、……実際に夜逃げをされたり、居場所を変えざるおえない方達を郵便局の配達員をやってれば、嫌でも分かります。
「次に配達証は裏面(たまに表面もあるけど)、の細長い紙にフルネームのサインを頂いて持ってくること。”欄内”にちゃんと書いてもらうようにな」
「はぁ」
”特別送達”の配達証は裏面の細長い紙を使います。端末上で処理をすると、”配達証”は出て来ません。
紙の方には、欄がちゃんと書いてあるのですが……、必ず、お客様に”ここに”サインをするように促しましょう。
「一例として(作者がやられたことだけど)、これをもらう奴等って、何も見えてないし、頭もやべぇ。ミュージシャンのサインみたいにど派手に書いたバカも結構いる。分かってもいねぇのに、分かる分かる言って、テキトーな事を書いて、二度も書かせたりするからな」
「そんなに馬鹿なんですか」
「俺も森橋が該当するけど、若い奴にこーいうのを届けられると腹が立つみたいなんだよ。借金なんかしてんじゃねぇーよ、バカ」
2.
”特別送達”に限っては、フルネームのサインだけでなく、ちゃんとした欄に記入して頂かないとOKが出ません。
まずはその欄にフルネームのサインを頂くようにしましょう。
そして、これも大事です。
「”必ず”、必ずだぞ!!」
強調します。
「”特別送達”を今、受け取る相手のフルネームをもらってくれ!”特別送達”の宛てのフルネームのサインをもらうんじゃないぞ!これも勘違いされるから、必ず、確認しろ!」
先に話すのですが”特別送達”は、誰が受けとったのかを裁判所に報告する必要があります。
そのため、受取人のフルネームではなく、受け取った人のフルネームが重要なんです。
【特別送達は、あなたに届いたんですよね?】
【はぁ?俺は受け取ってねぇーぞ(事実)】
なんて、回答をされている事例もあります。
万が一、お客様が間違えた場合は……もう一度、書いてもらいましょう。あるいは、そのご本人が今、家にいるかを確認した後で、本人が受取ましたという事にしましょう。家にいるけれど、別の誰かが受け取りに来たってのは、在り来たりなことなのでね
「サインをもらったら、”2度確認”。ちゃんと、欄内にフルネームのサインをもらえたかどうか、そのフルネームのサインがちゃんと読める字で書かれているかどうか……点検な。後者については、下の名前の読み方が分からなかったら、普通に尋ねていい」
3.
”特別送達”は誰がお受け取りされたかを確認します。
なので、判子での確認とお渡しは極力避けましょう(できるが、本人じゃない場合に結局、サインをもらったり、裁判所側も本人がちゃんと受け取ったのか?って確認してくる場合がある。だったら、受領印の欄を消せや)。
ご本人様の場合は、1番のご本人様の〇を。
あて所が住居の場合は、同居人の欄に〇を付け、渡した方のフルネームを記載しましょう。
あて所が会社の場合は、従業員の欄に〇を付け、渡した方のフルネームを記載しましょう。
フルネームのサインが読めないと困るのが、この確認があるからです。
この同居人などの名前を書く作業は帰局後にやりましょうね。
「会社宛ての”特別送達”の場合、受取人がもう退職していることもある(逃げてる)。いるかどうかの確認は確実にな」
「はい!」
「…………そして、最後だな。実質、”特別送達”はこの点がラスト」
4.
配達前に”特別送達”の住所を記録しておく。
”特別送達”にはフルネームのサインをもらうだけでなく、”送達場所”という欄もあります。これは”特別送達”のお届け先を記載する欄となっております。
この”送達場所”は、”特別送達”の住所をそのまま記載すれば問題ありません。
ただし、注意点が2つあります。
1つは、集合住宅の場合は、そのマンション名までも記載する場合があります。
”特別送達”に限らず、マンション名が入った住所で出される郵便物もあります。それと同じようにマンション名を書きましょう。結構、長いマンション名の時もあります。面倒だけれど、全部を書きましょう。
もう1つは、転送されてきた”特別送達”の対応です。(滅多には来ませんが)
”送達場所”は転送先となる住所を記入すればOKです。ただし、送達場所の小さい欄には”送達場所とは異なりますが、正当処理をしています”という欄にチェックを入れましょう。
「お客様に渡してしまうと、住所が確認できない。……本当なら出発前に教えるべきだったが、そこは悪い」
「いえいえ」
「手っ取り早いやり方を2つ教える」
1.”特別送達”がある場合は、事前に住所をメモする。”交付票”などの紙に、”特別送達”の住所と郵便番号を1文字も間違えずに記載しておきましょう。
パシャッ
「な、なんで”特別送達”を写真に収めているんです?」
「お客様には言うなよ?人の郵便物を写真に撮っているのは、あんまり公表するべきもんじゃないし、よりにもよって”特別送達”だからな」
2.”特別送達”の住所を写真に撮る。スマホがあるので、ほとんどの方はこちらを使っていると思います。お客様にバレるとあれなので、内緒にしてくださいね?
◇ ◇
ガララララララ
……これでようやく……書留の種類とその配達方法についての説明が終わりました(ほぼだいたい)。
本来、1日でこれらが揃うことはありません。
分からない郵便物の処理が来たら、その都度、職場の先輩達に確認をとってください。
また、指導者を任された方は、全ての書留の取り扱いを覚えるまでは、最初は直接教えてあげましょう。”特別送達”や”本人限定”は、一度だけだと中々身に付きません。数がそう多くは来ませんからね(特別送達なんてそう何通も来てたまるか!!)
「ふぅ~……」
「いやぁ、疲れたな~、森橋くん」
書留の説明には、物凄い労力が掛かった。こんなにも長く同行して教えることはない。作品内だから、しゃーないねぇ。……で、どうやって、森橋くんが山口を半日以上も借りられたのかと言うと、……
「山口テメェ!!この俺をコキ使いやがってーーー!許さねぇぞ!」
「さっすが、木下さん!!超カッケー!!3区分の速達をこなしながら、自分のところの配達もするなんて!老いて益々ですよ!!」
「褒めてりゃあ良いと思ってるのかーーー!?おかげで、俺のところはま~~ったく、進んでねぇよ!」
「そりゃあこっちも、森橋くんも同じ。矢木さんと実さんは、俺達を手伝ってくれなきゃ困るんで!木下さん!あと頑張って!!」
「だーーーー!!この野郎ーー!!」
木下が、自分の配達地域をこなしながら、森橋と山口が担当している配達地域にも足を運んでいたからだ。午前中だけとはいえ、3人分の仕事をしていた。
午後からは山口には矢木が、森橋には実がフォローに入るシフトである。木下は自力でやれ。
そんな彼を見て、森橋も感嘆としてしまう。世の中には凄い人が多い。
「……木下さんって凄いですね。60越えでそんなに仕事ができるなんて……」
「あのおっさんはなんだかんだで馬力がすげぇな。もうとうに、全盛期じゃねぇのにな。俺が生まれる前から配達をやっているおっさんの中で、間違いなく1番仕事をしてるよ。だから、そーいうことを頼めるんだよ」
「頼めるからって、放り投げていい仕事量じゃ~ねぇ~よ~~」
……今までなら、帰局すればすぐに休憩に入れたようなモノだが。書留をやり始めたら、絶対にやって欲しいのが
「”途中返納”の作業をする!」
「と、途中返納……?ああ、午前中に配達した書留の数を合わせるんですね。みんなしてましたね。いつもの俺は、不在になった郵便物を戻しているだけでした」
”途中返納”……書留の中間査数をする業務である。
これは配達より大事でありますし、多くの配達員が軽んじている業務であります。
書留の数を昼休憩前に数えましょう。
「というわけで、書留を返納する前に……まずは”課代席”にあると思う、書留の再配達依頼をチェックしろ」
1.不在になった書留の再配があるかをチェックしましょう。
一度、郵便課に書留を返納してしまうと、郵便課にまた話をしなきゃいけず。再配に気付かなかったから、配達員とその班の責任です。これは”通常郵便物”などと同じですね。
違いがあるとすれば、この再配依頼によって、書留を返納する数が変わることを覚えてください。再配依頼がある書留は、不在入力を取り消しすると良いです。もし、再配依頼を確認する前に”途中返納”を出してしまった場合は、札を不在書留に貼り付け、郵便課に出しましょう。
「再配依頼はなかったです!」
「よし!次は、不在になった”書留”の数の確認だ!(どれからでもいいが、全部やれ)」
「分かりました!……ところで、数はどーやって確認すればいいですか?端末上のお話です」
「それは途中返納画面を開けば分かる。印刷はまだするなよ。万が一、印刷して数が違っていた場合は一大事だからな。印刷した後にもう一度同じのを出すのなら、前回の返納票を出すを選んでくれ」
「えーっと……完了は17通!不在は7通です!」
2.不在になった書留の数を数えましょう
書留の査数で取返しが付かないのが、不在になった”書留”の紛失です。
不在を切った書留がなかったら、大変です。
「7通……全部あります!」
「よし!次に完了した配達証の数!」
3.完了した配達証の数を数えましょう
配達証は裏面がシールになっているため、くっついている場合もあります。
”配達証明”、”特別送達”、”代引”は配達証が異なっているので、数えミスがあった場合は、それらの配達証があるかを確認しましょう。
……あとは”書損”ですね。
配達証を印刷したけれど、お客様が出て来なかった、あるいは受取を拒んだなどで、結局は”不在”や”返還”の処理になった時、印刷してしまった時に起こります。この場合、作った配達証は半分に切ってしまった方が良いです。局には”書損”した配達証を入れるところが用意されてるとか、されてないとかがあります。
「……あ、あれ?」
森橋くん。必死に数える。
「お、おかしいです」
「どうした?」
「書留の完了の数が……合いません!!」
まさかの書留の完了数が不一致!!そうなると、当然と
「わぁっ!?ど、ど、どうしましょう!山口さん!」
「すまん、ワザとだ」
「え?」
「森橋くんが慌てるところを見たかった……というより、そーいう気持ちになるのを理解するため、あえて俺達は言わなかったんだ」
いずれ、やるわけですが。書留の数が合わなかったら
「そりゃあ、慌てるよな」
「は、はい。やっちまったのかと……」
「それが書留を失くすという心理だ。……山口、言ってやれよ。まったくなぁ。性格が悪い」
これについては、”配達完了数”でしか起きない現象である。
「”代引”の配達完了は、途中返納の完了数にはカウントされてねぇんだ」
「い、言ってくださいよ!!表示されている数より、配達証の数が多いからビックリしましたよ!!」
”代引”の完了数は、”精算処理”でようやくカウントされます。
配達証の数が返納する数よりも多い場合は、”代引”か”書損”を数えていると思います。
「じゅ、17通全部あります」
「よし。……じゃあ、次は午後分の”書留”の本数+事故処理の書留を数えろ」
3.午後分+事故処理する書留の数を数える。
午後に持ち出す書留は、局内に預けておきましょう。失くすリスクはわずかでも下げるためです。預ける書留の数は紙にでも書いておくと手間が省けると思います。……新人の場合は、午前中で全部の書留を処理するのは、中々大変なので、推奨はしません。
とはいえ、疑問に思うことがある
「と、”途中返納”ってやる意味があるんですか?」
「「ナイス質問!」」
書留の”途中返納”や”中間査数”を怠っても良いじゃない。って思う人はいつもいます。ですが、止めてください。
何度も言ってますが
「リスク管理のためだ。……”書留”は大事な郵便。それを失くしちゃ務まらん。そーいうところもあるが、失くしたのが”午前”なのか、”午後”なのかで大分変わる。”書留”を失くすと、そりゃあもう、山狩り状態!班はもちろん、課長と部長の総出の捜索になる!行動経路や時間の把握やら、時間との勝負なのに、残業代出さずに労働させられるぞ、コラァッ!!」
「”午前”に失くしたと分かれば、その書留を出したところに連絡を入れて、謝罪はもちろん、中身を尋ねる……カード関係なら使用停止にしてもらわないといけない!”夜”だったら、翌日になるからな?」
休憩をとってから数えればいいやって人をよく見かけますが、そーいう奴等は結局、最終返納で合わせようとします。
マジで止めてください……。
書留の紛失の話は、この話のラス前に持ってきますが……山口達の言う通り、”山狩り”になります。
そんな話を終えてから
「ふは~~~」
「ど、どうしたんですか?山口さん」
「いや、無事終わった。……というより、これから俺が森橋へのオシオキタイムだから、ちょっと休憩をくれ」
「ええぇぇっ!?俺、なんかやっちゃいました!?」
「木下さん。”特別送達”と”本人限定”の、帰局後作業を頼みます。……ちゃんと配達ができてれば、あとは流れで済むから」
ちょっと投げやりだが、山口は早めに休憩に入る。森橋のやり方に口を言えるのは、最後。とはいえ、概ね合格だ。ただし、この書留をやる上で絶対にするなっていう事を伝えて終えようと思う。そのための休憩。
実際に森橋くんは、やらかしているのだが……
「だははははは、しゃあねぇな。とりあえず、森橋くん。”本人限定”から行こうか」
「はい。……これなんですけど、どのような処理が残っているんですか?」
「”特例型”は実質なしだが、”特伝型”は番号やらのチェックOR記入が終われば、課長を捕まえて確認をとらせてOKだ」
”本人限定”の処理はかなり簡単である。
配達時間とその日、担当者を記入+判子で、ほぼ終了である。
事前連絡でされている身分証明の情報に間違いがないか、確認とその修正が終えてれば、どちらも大丈夫です。
「じゃあ、配達をちゃんとしとけば問題ないんですね?」
「当たり前だ。”特別送達”も同じだぜ。……面倒なのは、こっちの方が↑だがな」
”特別送達”の帰局後の処理。
1.送達場所の記入と配達時刻の記入(1時間刻みで可)。郵便番号から住所まで、”間違いなく”、記入しましょう。
2.受取人について、記入。
3.配達担当者と配達日の記入。
「そこから課長にチェックしてもらう。そんでコピーをとって、別の課長にチェックしてもらう。2人の確認がいるんだ」
「はへ~……」
「一言」
「面倒ですね!」
「だから、”特別送達”なんて配達なんかしたくねぇんだよ。とりあえず……堀山~。森橋の”特別送達”を認証してくれよ~」
「!おー、なんだ。木下さん!我を呼ぶとは……そして、”特別送達”。そうかそうか、森橋くん、いよいよ、これを扱うか」
「お、お願いします!」
丁度、近くを通った堀山班長に認証を頼む。
山口、木下、実、矢木の4名には、”特別送達”や”本人限定”を確認する役職ではないため、別の班にいる課長を捕まえる必要がある。
「住所に間違いはなかろうなぁ?森橋くん。それと、相手によっては欄外にサインをするアホゥもいる。ちゃんと確認をするのだぞ」
「はい!山口さんにかなり言われました」
「なるほど、ならば大丈夫であろうな……では、これが我の”認証番号”と”印鑑”を貸してやろう。あの印刷機を使って複製し、……もう一人は江渡に頼もうか。さっき帰ってきたところだったはず」
「課長とかは面倒だよなぁ。だははははは!帰ってきてはすぐに認証させられ、自分の時は自分のが使えねぇから!!」
「課長達を泣かせる書留なんですね。やっぱり」
木下と堀山の説明通りの流れです。とはいえ、どちらにしろ。ちゃんとした配達をしていれば、帰局後の処理は概ね問題ありません。
「ぷは~~っ、炭酸サイコー。ほれ、森橋くん。それと木下さんには、缶コーヒー」
「ありがとうございます!」
「気が利く」
山口が飲み物を買って来て戻って来る。
説教タイムと称しながら、飲み物を片手にするのが、このゆる~い組織だ。ちょっと、森橋はビビっていた。そして、山口から森橋に尋ねるのであった。こっちが悪魔の誘いをしたわけだが、
「森橋くんさ。……俺は2つほど、あえて、説明しなかった事があるんだが……。どっちもよく”書留を失くしやすい”行動についての事なんだが、何か分かる?」
答えから言っても、その時に対応が出来なくなるから。頭は常に回しておけってのが、本当の意味では山口の答えである。
長い事、色んな書留の処理の仕方について話を書いたわけだが……。
正直にそんなことよりも、”書留をいかに失くさない”かというリスク管理の話。
そして、失くしやすい”書留”というのがあり。失くしやすい”行動”というものがある。この2つを森橋くんが答えられるかどうかで……、その時に頭を冷静に回せる。
「う~~んっ」
ヒントでも出したらって、木下の表情ではあるが。ここは指導者として選ばれた山口に一任する。これは新人の内に言われると思いますし、言われるべき事です。失くしやすい”書留”というのは、あります。いくつかの実例はまた今後挙げますが……
「そうですねぇ。”書留”って”書留カバン”に入れますけど、これに入らない”書留”って、どう扱えばいいですかね?」
なんとなくではあるし、自信なさげではあるが……。
「”通常郵便”と一緒に組み込んだ方が早いんですけれど、……そうはいきませんよね?大きめのメッシュケースに入れた方が良いのかな~。それと”速達”も一緒に書留カバンに入れるんで、混同しちゃいそうですね。別々に整理した方が良いんですかね?」
「「…………」」
山口と木下は互いに顔を見合わせた後で、
パチパチパチパチ
「……へ?」
「森橋くん、100点満点。……正直、答えるとは思ったが、100点は想定してなかった」
「良く引っかからなかったな。その通りなんだよ」
「????いや、俺はたぶん、分かってないですよ」
二人の謎の拍手に混乱する森橋くん。しかし、山口と木下が言うように、100点の回答であった。書留の”種類”ではなく、書留の”規格”によるところの、紛失はかなり多く。また、”書留”と”速達”を混同してしまう意見も素晴らしい。
1つ1つ行こうか。まずは、後者についてだ。
「初めて指導した時をよく覚えているな。”速達”や”時間指定”は、先にやれってのが染みついている証拠だ」
「そりゃあ山口さんに脅されながら、教わりましたから……!って、そーいう事なんですか!!」
「ああ、……ぶっちゃけ、お客様には配達されているから、まだマシなんだがな」
1.”速達”と”書留”を混同しての紛失はかなり多いです!
だいたい、”速達書留”を失くしています!
なので、配達を始める際に”速達”を先に回るようにしろって言うのは、”書留”との混同を極力避けるためです。お仕事が慣れない内に小細工は使わないでください!これはホントにお願いします!
「ただ、この場合。お客様に届いているから、なんとかなるんだけどな。……良くはねぇけど」
2.定形外サイズの書留を通常郵便の中に入れてしまう。
書留は本来、書留カバンに収めているよう指導されておりますが、……。定形外サイズの書留については、通常郵便と混ざらないよう取り扱う事となります。作者の場合は、専用のケースの中に定形外の書留を放り込んでいる形で、通常郵便と混ざらないようにしています。
紛失理由という言い訳は、”通常郵便”と同じ取り扱いをしてしまった。”集合住宅”に置き忘れた。の2点が主です
新人にしろ、ベテランにしろ。このように取り扱っている方は……残念ながら多く見受けられます。
自分のところの局で、書留の紛失はだいたいこれです。次に”速達”との勘違いです。
「絶対に新人は”通常郵便”と”書留”を一緒にするなよ~~」
「は、はい」
「周りの人達に迷惑を掛けないように、焦ったやり方をするとこーいう行動をとり始める。1日だけ上手くいくと、ず~~っと、それになる。ミスに気付いた時にはもう遅い。焦ったやり方でみんなと並んでいるようじゃ、底が知れるし、周りは知ってて黙っているからな?」
山口が今回だけ、注意深く、森橋くんの事を見ていたのは……もう、”最後だぞ”って意味である。こっちから見ればもう、森橋は一人前!その配達地域はお前に任すぞ!って、ようやく、仕事仲間として認めています。
もちろん、困った時はその都度、手助けはするけれどね。
「みんな、人の事を注意なんかしねぇからな。ただ、周りに迷惑をかけた時は覚えてろ」
その人にはその人のやり方があります。しかし、それは継続して出来上がって来るものです。そのやり方にはそのやり方なりの、性格を考慮した処世術や対応策、を講じる必要があります。
「とにかく、”書留”そのモノを失くすのは、責任重大だ。これだけはぜってー避けろ。山狩りはマジでやりたくねぇ。この物語のラス2に持ってくるのによ(どんな紛失かはご想像してください)」
「予告しないでください。ぼ、僕はしませんから。絶対しません!」
……まぁ、基本に徹していれば、そのような大事はないです。”書留”や”ゆうパック”の紛失は、10:0の交通事故並みの事です。起きる交通事故も、何割かは相手方に責任があります。
そして、最後に
「ゆうパックをやらせる時に言えば良かったが(入れる暇なかったんだけど)……”配達証”を失くすパターンを教えてやる」
「あえて、山口が途中返納の時に、”代引”の配達証が入らない事を伝えなかったのも、ちゃーんと数えろの意識付けだからな」
3.配達証を失くす。
今回の森橋くんのケースは配達証の数が多いケースです。これはその場で対処可能なので、特に咎めはないです。(代引を数えてたり、EMSを混ぜてるだけ)。
「配達証ってどうやって失くすと思う?ちなみに俺は森橋くんの動きを見てたが、その可能性がある」
「えええっ!?僕、配達証を失くしませんよ!」
「……じゃあ、失くすな」
「し、しっかりと数えますし!書留カバンの前回しで、開けてます!」
「それは”不在書留”の紛失の防止なんだよ(そっちの方が大事だが)」
書留紛失編の話が無くなっちまうから、……その話は止めろ。つーか、もう長ぇ。
配達証を失くすって事は、普通の”書留”の配達証なら大問題になりませんが、ゆうパックは個人情報が載ってますので大問題になります。
「じゃあ、”配達証”のケースを貸す。この中に配達証がいくつか入っているとして……。どうやって、『配達先にいる時に確認』する?」
山口のまた質問である。
これはもしや、引っ掛けなんじゃねぇのかと、森橋くんも考え始める。
……自分の行動を振り返りながら、この山口の答えを探す。
配達証のケースの中にある、”配達証”を確認する。
おそらく、どうやって、数えるかって方法。複数の答えがある。
どっちも訊いている……。どっちもやり兼ねないから手段であるからだ。
20秒ほど考えて、かなり簡単な答えが出てきた
「……!そもそも、配達先で配達証の確認をするんですか?だって、帰局後作業じゃないですか」
「正解だ……1つだけな。現地で絶対に、配達証の数を数えるな」
配達証を失くしやすい1番の行動は、配達先で配達証を数えるという行為です。不安なのは分かりますが、現地では絶対にしないでください。発見が遅れるのは致し方ないかもしれませんが……配達証が足りないというのは、お客様に書留が届いていれば、どーとでも対処ができるからです。もう1度お伺いして、配達証をもらえばいいだけなんですから。(書留がちゃんと届いているかの確認をしてからね)
「もう1つは……”万が一”、必要な場合の現地での数え方ですか?」
「そうだな。俺はその時に指摘しなかった」
「やっぱりですか。あの時、大口登録の時に、ワザとらしいなぁーって思ってましたよ!」
なんで、遅れて言ったのか。理由が分かった。その上で、現地で確認する際のやり方である。
ここは山口が言うわけにもいかない。森橋くん自身が考える必要である。……こーいうところで人の機転が試されるもの。言われて覚えることと、考えて覚えることは違うし、その時に反応ができるかどうか
「うーん……」
この場合。現地で”配達証”を数えるとして、この郵便局内で数えるとしたら
「マンション内で数えるとかですか?外だと風が強いから、配達証が飛びます!」
「「……………」」
惜しい、80点!残り20点分が足りない!言われるともっとクソ簡単な方法であったと分かる。
天候に左右されないように数えるのは一緒である。その上で、配達証を失くさない。不在に切った書留や寄り切れなかった書留を数えるには……。
「……あ。キャリーケースの中で調べればいいんですか」
「100点」
「書留の数が合わないと思った時は、書留カバンをキャリーケースの中に入れて数えるんだ。……ただ、実際にはするなよ。あくまで緊急の対応だ。主に夜間の再配依頼をもらった時に、そう対処しろ」
最大の理由は、万が一、落としたとしても……キャリーケース内に残るという点です。
ただ、木下が言うように緊急で数える場合、取り出す場合です。
書留の紛失の際、足元確認が疎かで失くすケースがあります。不用意・不必要な取り出しはNGです。もし、するのならまずは天候に左右されないところで行ったり、キャリーケース内に体ごと入って確認しましょう。




