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俺の彼女は姉です嫌です助けてください  作者: Melon
第1章

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5/12

二人でゲーム

 姉に無理やり連れて行かれ、辿り着いたのは、古臭い、ボロボロのゲームセンターだった。


「......姉さん。デートに行くとか言っておいて、デートとは縁遠い場所に連れて来られた俺の気持ち、分かる?」


「えっ!? えーっとねぇ......」


 姉さんは俺から目を逸らす。


「......せめて、駅前の新しいゲームセンターに......」


「で、でも! ここのゲームは少ないお金で長く遊べるんだよ! 駅前の新しいゲームと違って、とーっても、長く! それに、ここは暗いし、他の人があんまり居ないから、映画館みたいで雰囲気があるし!」


 姉さんは熱弁するが、俺にはそこまで響かなかった。


「おや、音々ちゃんじゃないか。いらっしゃい」


 カウンターの奥にある部屋から、五十代くらいと思われるおじさんが、姉さんに向かって挨拶した。


「知り合い?」


「うん。ここの店長」


「おや、そっちの子は?」


 店長が俺の顔をジーッと見つめる。


「こっちは英治。私の弟だよ」


「ほう......。坊や、君、今何歳だい?」


「え? 一四歳ですけど......」


「そうかい......。英治くん、お姉ちゃんとは、仲良くするんだよ」


「は、はぁ......」


(突然年齢を聞いてきたかと思えば、今度は姉さんと仲良くしろだなんて......)


「いやーしかし......。やっぱり音々ちゃんみたいな若い子が来てくれると、ここも活気が出て良いねぇ。そうだ、いつものアレあげるから、ちょっと待ってな」


 店長のおじさんは、再び部屋へと戻っていく。


「いつもの?」


「UFOキャッチャーとかで、景品としてお菓子が置いてあったりするでしょ? そのお菓子を、いつも私にくれるんだ」


「へぇー」


 俺と姉さんが話していると、様々な駄菓子を持った店長が部屋から出てくる。


「はいよ」


「ありがとう! 店長!」


「ほら、英治くんも遠慮せずに」


「あ、ありがとうございます......」


 俺は店長からお菓子を貰う。


「じゃ、私は仕事に戻るから。じゃあね」


 おじさんは手を振り、また部屋へと戻っていった。


「じゃ、二人でゲームでもしよっか!」


「え、でも、あんまりゲームに詳しくないから、何が面白いとか分からないんだけど......」


 俺はゲームを遊ぶとしても、基本的には家でしか遊ばない。

 だから、ゲームセンターのゲームの知識は、ましてや、古いゲームセンターのゲームなど、ちんぷんかんぷんだ。


「大丈夫! 私が英治でも楽しめそうなやつを選んであげるから! ほら!」


 姉さんは俺の肩に手を置く。

 俺は駄菓子をポケットに入れ、姉さんに連れられてゲームセンターの奥の方へ向かっていく。


「神谷さん! どうっすか!? 調子は!?」


「ん......?」


 急に、背後から馴れ馴れしく名前を呼ばれた。

 だが、友人や知り合いの声ではない。

 俺は背後を振り返るも、そこには、カウンターの前に立っている男性客だけだった。


「......なぁ、姉さん。もしかして、あの店長......」


「......うん。店長の名前は、神谷武かみやたけしさん。......私たちの親戚だよ」


 自分たちの親戚が働いていることに関しては、そんなに驚かなかった。

 子孫繁栄をしきたりとしている家だ。

 家族や親戚が多くて当然だ。


「......神谷家って、公務員とか銀行員が多い印象だけど、ゲームセンターで働いてる人もいるんだな」


「まぁ、あの人はゲーム好きだからね。......それよりさ、ほら、あのゲーム! 英治も知ってるでしょ?」


 姉さんがゲーム機の前の椅子を引いて、座るように促す。

 そのゲームは、今も新作が出続けている対戦パズルゲームだった。

 落ちてくるブロックを四つ並べて消し、お邪魔ブロックを相手に押し付け、天井まで届いたら負け、というルールだ。


「知ってはいるけど、やったことないぞ?」


「大丈夫だって! 私が手取り足取り教えてあげるから! ま、足は使わないけど。ほら、座って座って」


 俺が椅子に座ると、姉さんは隣の椅子に座った。

 そして、お互いの肩同士がくっ付くくらい、椅子を寄せてきた。


「姉さん、近くないか?」


「だって、ゲーム画面が見にくいから......。もしかして、意識しちゃってる?」


「そ、そんな訳ないだろ! 実の姉に寄られたって......」


「ショボーン......。ストレートに言われるとガッカリしちゃうなぁ......」


 姉さんはガクッ、っと項垂れる。


「いいもん。私は一生男性にモテずに一人で暮らしていくんですよーだ......」


「は、話が飛躍しすぎだって......」


 予想以上に落ち込んでいるので、若干可哀想になってきてしまった。


「そ、そうだ! ゲーム! ゲームやろうぜ! 俺が奢ってやるから!」


 俺は姉さんを励ますために、二人分のお金をゲーム機に投入する。


「ほら、始まるぞ!」


 姉さんの肩をユサユサと揺するが、姉さんは落ち込んだままだ。

 ゲーム内の時間がどんどんと進んでいき、このままではゲームが勝手に始まってしまう。


「姉さん!」


 何度もユサユサと揺すっていると、姉さんはハッっとして、ゲーム画面を見る。


「え? わっ! わわわっ!」


 姉さんは反射的にコントローラーを操作し始める。

 そして、圧倒的な速度での操作で、俺を攻める。


「ちょっと待ってくれ!」


 姉さんの操作は凄まじく、どんどんと落ちてくるブロックを消していく。


「姉さん! ストップストップ! 俺初心者!」


「あ......」


 俺の必死な声掛けで、姉は正気に戻る。

 だが、時すでに遅し。

 姉さんが押し付けてきたブロックのせいで、俺はもう少しで天井に届きそうだった。


「そうだ、英治に教えるんだった......! 英治、このゲームは縦長のブロックで一気に......」


「いや、もう無理だって!」


 ここからまともな勝負ができるはずもなく、俺は惨敗してしまった。


「......ごめん。......そうだ! つ、次は一緒に遊べるゲームをしよっか!」


「お、おう......。このまま対戦しても、勝て無さそうだしな......」


 俺と姉さんは立ち上がり、一緒に遊べるゲームを遊ぶことにした。

 しかし、姉はどのゲームも上手すぎて、俺の出番は無かった。

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