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俺の彼女は姉です嫌です助けてください  作者: Melon
第2章

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11/12

仕事

 俺は布団の中で目を覚ました。


「あれ、なんで布団が......?」


 勉強をしていたのは覚えているが、そこから先の記憶が無い。

 もしかして、途中で寝てしまったのかもしれない。


「母さんが布団を敷いてくれたのかな......?」


 そんなことを考えていると、誰かが俺の部屋に近づいてくる音が聞こえた。


「あ、起きてる。英治、おーはよ」


 音の正体は姉さんだった。

 既にパジャマを脱いでおり、昨日着ていた服を着ている。

 仕事に行くから着替えたのだろう。


 ふと、時計を見ると、時刻は朝六時だった。


「それじゃ、私はお仕事に行くから」


「え? こんなに早くから?」


「そうなの。私のお仕事、出勤が早めでね。それじゃ、英治も頑張ってねー」


 姉さんは手を振りながら、俺の部屋を出ていった。


「......大変そうだな」


 そんな姉さんに対して、俺は二度寝をしようとしたが、なかなか眠れなかった。

 姉さんが頑張っているのに、俺はのんきに二度寝をしていていいのか、と思ってしまったからだ。


 姉さんのことなんて、気にしなくていいはずなのに。


「......眠れない」


 俺は体を起こし、布団を押し入れに収納した。

 体を伸ばし、ストレッチをする。


「いたたたた......。やっぱ、寝落ちしたんだな......。体が痛い......」


 数分ほど体を動かし、ほぐしていく。


「ふぅ......。......朝飯、できてるかな?」


 体を動かして目が覚めてくると、空腹であることに気が付いた。

 俺は台所に向かい、あとどのくらいで朝食ができるか確認することにした。



「おはよう」


「あら、おはよう英治。そうだ、縷々ちゃんはお仕事があるって言って、出てっちゃったわよ」


「知ってるよ。さっき、会ったから」


「縷々ちゃん、大変そうねぇ......。でも、その分、体力とか精神とか鍛えられてそうよね」


「まぁ、そこら辺の人よりはたくましいんじゃない......?」


 数日前までの、俺に対する姉さんの執着心を思い出しながら、お母さんに返事をした。


「英治、良い人と出会えて良かったわね。このまま、長続きしてくれれば、お母さんも安心できるんだけど......」


「だ、大丈夫だよ。今のところ上手くやれてるから、安心してよ」


 俺は適当に返事をする。

 だが実際は、本当にバレないかヒヤヒヤしている。


「そう。良かったわ。それじゃあ、朝ご飯を作っちゃうから、ちょっと待っててね」


「うん」


 俺は台所を出て、居間へと向かった。

 それから、朝食を食べ、着替え、家を出た。

 家に居ても暇なので、早く学校に行き、勉強をすることにした。


「......あれ?」


 外に出ると、家の塀に寄りかかった姉さんが立っていた。

 手に持ったスマホをジーっと見ながら、何か呟いている。


「姉さん......?」


「ひゃあ! ......え、英治? 家出るの、早いんだね」


 姉さんは驚き、スマホを落としかけた。

 落としそうになりながらもなんとか拾い、ポケットにしまう。


「いや、暇だったからさ。それより姉さん、仕事じゃなかったの?」


「じ、実は、今日のお仕事が中止になっちゃって......えへへ......」


「中止? そ、そうなんだ......」


「それで、暇になっちゃってさ......。......そうだ、良かったら、学校の近くまで着いて行っていい?」


「え、いいけど......」


「いいの? ありがと」


 姉さんは俺に歩み寄り、手を勝手に握る。


「手、手を握る必要は無いんじゃ......」


「いいじゃんいいじゃん。カップルなんだからさ。それに......」


 姉さんは耳元に口を近づける。


「家族がいつどこで見てるか、分からないからさ......」


 俺は唾をゴクリと飲み込む。

 確かにそうだ。

 あんなに徹底的なルールを作るような家だ。

 俺たちを監視していないとは言い切れない。


「......それじゃ、行こうか」


 姉さんは俺の手を引き、歩き始めた。


 通学路を、姉さんと二人で歩く。

 俺は少し緊張しているが、姉さんはそんな様子はない。


「......懐かしいなぁ。私もこの道、何回も歩いたよ......」


 辺りをキョロキョロしながら歩く姉さん。


「あー......。あの建物とか、無くなっちゃったんだぁ......。......って英治? ちょっと元気ないね」


「いや、ちょっと......」


「お悩みなら聞くよ?」


「......姉さんは、不安じゃないの?」


「......不安?」


 俺は、いつバレるか不安で仕方がない。

 だが、姉さんは家に入る直前に緊張を見せただけで、それ以降、以前は全く緊張する素振りを見せていない。


「だって、家族を騙していて、いつ追い出されるか分からない状況で......。なんで、そんなに余裕なんだ?」


「うーん......」


 姉さんは顎に手を当て、じっくりと考える。


「......大人だから?」


「大人だから、ねぇ......」


 こんなことが余裕なくらい、色々なことを経験してきたということなのだろうか。


「まぁ、不安なのは分かるけどさ。ここは、お姉ちゃんを信じてみてよ」


「信じるっていってもなぁ......。そもそも、姉さんが俺と付き合うだなんて言わなければ......」


「でも、あのままだったら、英治も.......」


「......そうだけど。そうだけど......」


 あのままでも付き合える、なんて、何の根拠も無いのに言い切れなかった。


「とにかく、付き合うことでお互い助かってるし、お姉ちゃんが頑張るからから、任せてよ」


「わ、分かったよ......」


 そう言われ、渋々姉さんを信じることにした。

 果たして、本当にうまくいくのだろうか。

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