2度目の入院
「あー......」
俺は立ち上がり、チラシをマグネットから外した。
「な、何か都合が悪いのか......?」
「えーっとね......。......いや、都合は悪くないよ......」
俺は必死に、どうやって誤魔化すか考え始めた。
「じゃあ、何でそんな反応をしてるんだ......?」
何かいい方法は無いか。
そこで、一つ思い付いた。
「......あれ? これ、よく見たら中止のお知らせじゃん!」
「中止......?」
また考え、思い付いたことを口にすることにした。
「えっと......。今年は資産面で厳しくて、中止になっちゃったんだってよ......」
「え、でも......。中止の連絡を、そんなカラフルなチラシで......」
「......下半分花火大会中止のお知らせで、上半分はスーパーのセールのチラシみたい。しかも、期限過ぎてる」
俺は思い付いたことを次から次へと適当に言い、七瀬の母さんにチラシを見せに行く。
「正道のお母さん。このチラシ、もう要らないですよね?」
「え、えぇ。要らないわ。七瀬ちゃん。捨てちゃってくれる?」
「分かりました! じゃ、捨てちゃいますね!」
俺はチラシをクシャクシャに丸め、ゴミ箱に放り込んだ。
「あ、料理がもう少しで完成しそうですよ」
七瀬の興味をチラシから逸らすためなのか、坂月先生が嬉しそうな声で俺たちに伝える。
「良い感じにできましたよ......!」
坂月先生がパエリアを皿に盛り、母さんがそれをテーブルに置いた。
七瀬の視線はパエリアに釘付けで、今にも食べ始めそうだった。
坂月先生をチラリと見ると、親指を立て、俺に見せつけていた。
(坂月先生、ナイス......!)
俺もすかさず、親指を立てて見せた。
それから、七瀬を祝い、乾杯をした。
料理はとても美味しく、七瀬の食べる手は止まらなかった。
俺たちは楽しい食事と会話をし、充実した誕生日会を過ごした。
七瀬は食べ過ぎたのか、少し体調が悪くなってしまった。
俺は持ってきたケーキを冷蔵庫に入れ、七瀬の体調が回復することを祈りながら帰宅した。
誕生日会の次の日、七瀬から電話がかかってきたが、とても辛そうだった。
どうやら、体調は戻っていないらしい。
それから数時間後、七瀬のお見舞いに行った。
元気が無く、上の空という感じだった。
七瀬の母さんに聞くと、おそらく生理痛だそうだ。
前回の生理痛から1ヶ月と少し経過しているため、時期的にそう判断したそうだ。
俺は七瀬のことを考え、俺はお見舞いを控えることにした。
誕生日会から三日が経過した月曜日の夜。
七瀬の母親から連絡があった。
七瀬が倒れたという連絡が。
4・8章 終




