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【完結済】俺の彼女は幻かもしれない  作者: Melon
第4・8章 不信・幻の崩壊

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花火大会への興味

 それから、俺たちは七瀬の家に到着し、俺と坂月先生は七瀬の母さんと料理の準備を始めることにした。


 しかし、部屋に籠っている七瀬のことが不安である。

 そこで、俺は七瀬の様子を見に行くことにした。



「正道ー?」


 七瀬の部屋に入ると、自分の誕生日であり、これからお祝いされるというのに、黙々と勉強をしていた。


「わっ......。誕生日なのにそんなガッツリ勉強してるの?」


「あ、七瀬......」


「私も料理を手伝おうとしたんだけど、私たちに任せなさいっていうから、こっち来ちゃった」


 俺は適当に嘘を付いた。


「そ、そうか......。ま、まぁ立ちっぱもあれだし、適当に座ってくれ」


「うん」


 俺はベッドを背もたれにし、床に座った。


「あ、そうだ。私からの誕生日プレゼントがあるんだけど。先に渡しちゃうね......」


 少しでも楽しい気分で誕生日会を迎えて欲しいと思った俺は、先にプレゼントを渡すことにした。

 俺はトートバッグに手を突っ込み、プレゼントを取り出す。


「これ、私からのプレゼントなんだけど......。なんだけど......」


 プレゼントを渡す直前になり、俺は緊張で動けなくなってしまう。

 これで気持ち悪いと思われ、嫌われたらどうしよう。

 そんなことを考えたら、怖くて動けなくなってしまった。


「......ごめん。やっぱ、後日でもいい......? 今更、正道に相応しくないと思っちゃって......」


 俺は恐れてしまい、逃げることにした。


「いや、七瀬が俺のことを思って用意してくれた。それだけで、とても嬉しいよ......」


 しかし、七瀬はそんな俺を引き留めた。


「で、でも......」


「そんなに心配しなくていいって」


「......後悔しない?」


「......え?」


 俺は七瀬に確認することにした。

 本当に後悔しないかどうか。


 七瀬は真剣に考え始めた。


「こ、後悔しない......!」


「じゃあ......」


 俺は七瀬を信じ、指輪が入った箱を渡した。

 七瀬は、指輪の箱に巻かれているリボンをほどいていく。


「じゃあ、開けるぞ......」


 七瀬は箱を開けた。


「......これって、指輪......?」


「うん......。ふもとの街の、個人経営のアクセサリーショップ。そこで買ったの......」


 七瀬は指輪を指にはめた。

 指輪に拒否感を示さず、はめてくれたことに凄く安心した。


 そして、このタイミングで昨日の妄想を思い出した。

 指輪を渡し、二人で指輪をはめる妄想を。


「どうして指輪を......?」


「......もしかしたらね?」


 拒否感を示さないのであれば、昨日の妄想を現実にできるのではないか。


「もしかしたら、正道は今、私に不信感を抱いているかもしれない。なんでかは分からないけど、そう感じるの......」


「......っ! そ、そんなことは......」


「でも、でもね......? もし、その不信感が綺麗サッパリ無くなって、私のことを、信用できる交際相手として見れるようになったら......」


「なったら......?」


「......私の誕生日に、同じ指輪をプレゼントしてほしい......」


「同じ、指輪......」


 しかし、ここで俺は後悔した。

 流石に、指輪に拒否反応を示さなかった七瀬でも、これは引いてしまうのではないかと。


「......後悔したよね? 私の愛が重くて、こんなに思い上がってるって知っちゃって......」


 俺は緊張と後悔で、今にも泣きだしてしまいそうだった。


「七瀬......ごめん......!」


 しかし、七瀬が見せたのは、拒否反応ではなく謝罪だった。


「な、なんで正道が謝るの......? そ、それより、私こそごめん......。一方的に、こんなもの渡しちゃって......」


「いや、いいんだ......」


 七瀬は指輪をじっくりと見つめる。


「七瀬......。お返し、楽しみにしててくれ......」


 七瀬は、俺の案を受け入れてくれた。


「......うん!」


 俺は、元気よく返事をした。



 それから、料理ができたと思われる時間になったので、台所へと向かった。

 台所のテーブルの上には、ローストチキンが盛られた皿が置いてあった。そして、七瀬の母さんと坂月先生がパエリアを作っていた。

 その間、俺と七瀬は食器を用意することにした。



 用意を終え俺たちは、椅子に座り、料理の完成を待っていた。

 七瀬と料理のことについて会話していると、七瀬が俺の後ろをチラチラと見ていた。


「ん? どうしたの?」


 俺は背後を見た。

 背後の冷蔵庫には、花火大会のチラシが貼られていた。


「あー......。ふもとの街の花火大会、ねぇ......」


「花火大会かぁ......。久ぶりに行ってみようかなぁ......」


(えっ......!?)


 俺がずっと一緒に居たからなのだろうか。

 孤独だった七瀬に、人と過ごす楽しさが伝わってしまったからなのだろうか。


 自分から出かけたいと言った七瀬に、俺は驚いてしまった。


(ま、まずい......!)


 このまま七瀬が花火大会に向かってしまえば、今までの嘘がバレてしまう可能性がある。


(ど、どうにかして誤魔化さなければ......)

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