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【完結済】俺の彼女は幻かもしれない  作者: Melon
第3・7章 謎・不安

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三つ目の理由

「そういえばさ、七瀬」


「ん? どうしたの?」


「なんでそんなに演劇家になりたいんだ?」


 下校中、七瀬に突然こんなことを聞かれた。


「色々理由はあるんだけど......。一つはね、昔両親と演劇を見に行ったことがあってね。その時に主役のお嬢様を演じている人がいたんだけど。その人に憧れちゃって......」


 お嬢様に憧れた、というのは嘘である。

 本当は、カッコいい王子様や騎士、紳士の役に憧れたのだ。



「いい理由じゃん」


「これが一つ目の理由。二つ目の理由はね......」


 俺は少し恥ずかしくなり、言葉がなかなか出てこない。


「大丈夫だって。笑わないから」


「......本当?」


「......理由による」


「......正道を引き留めたかったから」


 七瀬は少し驚いた顔をした。


「え、俺......? どういうことだ?」


「正道はこの田舎が嫌で、都会の頭のいい高校に通うことを理由に、都会で一人暮らししたいからでしょ? それで、そのまま大学に行って、就職するつもりでしょ? だから......」


「だから......?」


「......私が頑張って有名になって、ここで活動すれば人が集まるでしょ? それで、ここが観光地にでもなって田舎っぽくなくなれば、もしかしたら戻ってきてくれるかな......って......」


「な、七瀬......」


 これは紛れもない事実だ。

 七瀬は、田舎であるこの土地が嫌で出ていこうとしている。


 だから、ここが田舎で無くなれば、七瀬が戻ってきてくれると思ったのだ。

 そうすれば、好きなこの地元で、七瀬と一緒に過ごせると思ったのだ。


「でもさ、独立して自由に活動するとなると、とてつもないくらい大変でしょ......? だから......」


 七瀬は、少し申し訳なさそうにしている。


「七瀬、ごめん......」


「え......?」


「七瀬がそんな思いを持っているのも知らずに、勉強ができないことに対して色々言っちまって......」


「いや、勉強してないのは悪いことだし、正道が謝ることじゃないよ......」


「だけど......」


「じゃあさ、申し訳ないと思うなら、応援してよ」


「そ、それは勿論! 当たり前だ!」


「ふふ、それじゃあ私のこと、ちゃんと見守っててね」


 七瀬が応援してくれると言ってくれて、俺は嬉しくなった。


「あ、そうだ。演劇家を目指してるというか、演劇を頑張っている理由があるんだけど......」


「もう一つ?」


「うん。でも、それはまだ言えないかな」


「ま、まだ......?」


 もう一つの理由。

 それは、七瀬を騙すこと。

 今の計画のこと。


「い、いつ教えてもらえるんだ......?」


「うーん......。......分かんない」


 七瀬が自分を正道ではなく、七瀬であると気が付くまでは言えないので、そう答えるしかなかった。


「わ、分からない......?」


「うん。だから、楽しみにしてて」


「お、おう......」


 俺はそう言って、七瀬をワクワクさせるためにそう言った。

 そのワクワクが、精神的に良いと思ったからだ。

第3・7章 終

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