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学園戦兎トリプルバニー!~えっちな怪異は許さない!バニー戦士の三人娘は「ピンチ」に負けず魔を祓う~  作者: 優パパ★&タマネギーニョ
第8話「学園の人魚に迫る魔手! 碧衣、決死の水中戦!」
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その11「そして清水宗春は、生徒会の一員となる(ようやく)」

GW毎日更新最終日。そして第8話完結です。

最後までお楽しみいただければと!m(_ _)m

 一方その頃、プール付属の控え室では--


「あ~あ、まーた負けちゃったねぇ、セ・ン・セ♪」


 からかうようにささやくアゲハに、浮田はフンと応じて眼鏡を直す。


「まぁ実験としては悪く無かった。能力自体は強力だったし、《バニー戦士》をかなり良いところまで追い詰められた。全体としては十分結果を出せたと言える。そもそもたかが一敗したぐらいで、いちいち気にすることはないしな」


「ふーん、そんなもんかぁ……って、こないだアタシが負けた時はぼろくそに言ったよねぇ!?」


 理不尽ッ!と抗議するアゲハだったが、浮田はまったく相手にせぬまま、自らの思索に没頭する。


(……今回の敗因があるとすれば、あの小僧--「清水宗春」の存在だ。まさか「あんな格好までして」この場に潜り込んでいるとは……人畜無害な小僧に見えて思わぬ伏兵、実に油断のならぬヤツよ……)


 宗春が聞いたら「いや好きで着たわけじゃないですからね!?」と抗議しそうだが、そんな経緯まではさすがに知る由も無く、とにかく「清水宗春」という存在は、浮田の中で「警戒すべき人物」へと格上げされる。


 思い起こせば今回だけでなく、ゴブリンの時もローパーの時もキャリオンクローラーの時も、あの少年は常に戦いの現場にいた。聞いたところあの三人娘と同居までしているとのことだし、単に「学園初の男子生徒」というだけでなく、もしや「三ツ矢グループの隠し球的な存在」なのやも知れぬ。場合によれば、早急に手を打たねばならんかもな--


「でっもぉ、アゲハさんは心が寛いから許したげてもいいわよ♪ その代わりにだけど、アタシあの怪異の『濃厚なプレイ』観て身体が火照っちゃっててぇ☆ だ・か・らぁ、久しぶりにぃ……」


 思わせぶりな口調でささやきながら、チラッ♪とエロ競泳水着の胸元をずらしてみせるアゲハの前で、何やら考え込む様子を見せていた浮田が、「そうだな……」と不意に真顔でつぶやく。


「お前のその『無駄な色気』も小僧相手になら使えるかもな。今後はそういう作戦も考えてみるか……」


「一体何の話してるの!? てか、『無駄』って言うなし!!」


 一瞬「やった♪」と期待しただけに、ガビーン!とアゲハはショックを受けるも、浮田は全く気にした様子も見せずに、クルリとその場で踵を返す。


「ほら、用はすんだし撤退するぞ。小早川碧衣と鉢合わせたら色々面倒だしな」


「あっ、ちょっと、アタシへの『お詫び』は……??」


「何でお前なんぞに詫びねばならん。そうでなくても教員は日々忙しいのだ。そんな無駄なことするヒマがあったら、『次の作戦』を考えるわ」


「わああああんんん! いつものことだけどセンセが酷いッッ!!」


 「しかもまた『無駄』って言ったー!」と嘆くアゲハを置き去りにして、入り口のドアへと向かいつつあれこれ思考を巡らせる浮田。あの小僧への色仕掛けもそうだが、他にも試してみたい「研究テーマ」は色々とある。そう、自分にとってこの学園は巨大な、そして理想の「実験室」なのだ--


(ああ……研究者の血が騒ぐ! では《バニー戦士》の皆さん、また「次の実験」でお会いしましょう!)


 そう心の中で不敵につぶやきながら、控え室の窓から碧衣を一瞥した浮田は、まだブツブツ言っているアゲハを後ろに従え、その場を後にしたのであった--


          ※         ※  


 --そして場面は翌日の放課後、場所は三ツ矢学園本館最上階の高校生徒会室。


「それで、結局春くんはどのクラブに入ることにしたの?」


 部屋の中央に置かれた会議用のテーブルに腰掛け、同じく向かい側に座った宗春に問いかけてきたのは、この学園の生徒会長を務める吉川あかりだ。なお、この場に宗春を呼びつけたのもまた彼女である。


(何だ、そのことかぁ……)


 用件を教えてくれないものだから「何事!?」と身構えて訪れていた分(何気にここに来るの初めてだしさ!)、多少拍子抜けもしたし、それなら別に夕ご飯の時にでも話題にしてくれたらいいのに……と思わないでもなかったが、でもこうして学園であかりさんと話せるのはやっぱり嬉しい。そこは学年が違う分、意外と機会は少ないしね。


「それが……運動はもともと苦手ですし、特に趣味があるわけでもないですから……なかなかコレだと決められなくて……」


 中学時代は家事をしなければいけなかったし、何せ貧乏だったこともあって(部活は意外とお金がかかる……)三年間ずっと帰宅部だった宗春にとって、「高校生になったからクラブを始めろ」と言われても、今イチピンとこないのが正直なところだ。


 あかりさんの勧めに従い、高等部の全部活を見学はしたものの、確かに見聞を広めることはできたけれど、それを「自分がやりたいか」となるとまた別の話で。でも、「健全な高校生活を送る上で、何らかのクラブ活動を行うこと」というのが校則で決まっている以上、そろそろ決断しなきゃいけないよなぁ……


「ジャア、ムネリン『キイロ部』に入るネ! キイロ、ブチョーとしてカンゲーするヨ☆」


「ええ!? そんな部活あったんですか??」


 出し抜けの勧誘、しかも「キイロ部」って何!?と目を丸くした宗春に、キイロがフフン♪とドヤ顔で答える。

 

「キイロとイッショに、ガクエンセーカツをエンジョイするクラブだヨ! カツドーナイヨーは『ソノ日のキブン』☆ トニカク毎日タノしくアソび回ルネ♪」


「……それ、あんたがコイツ玩具おもちゃにして『遊びたい』だけでしょ。てか、そもそも勝手にクラブ増やすな」


 碧衣にピシャリとツッコみを入れられ、テヘペロ♪とばかりに誤魔化すキイロ。やっぱそんなクラブ無かったか。キイロさんならホントに作りかねないので、碧衣さんのツッコみが無ければあやうく信じちゃうところだったよ……


 と、感謝の気持ちを込めてチラリと視線を送ったものの、碧衣にはプイと顔を背けられてしまう。ちなみに碧衣は、昨日の怪異騒動以来、宿坊でも目すら合わせてくれない。まぁそりゃ「色々ありすぎた」から無理は無いのだけれど……


(……今更だけど、それ以前に僕って、「この部屋にいる全員」と「すごいこと」しちゃってるんだよな…………)


 何せまずは全員の裸を見てるし、その上で更に抱きつかれてるし、あかりさんや碧衣さんとはキスだってしてる(それも「大人の」を!)。キイロさんとはキスはしてないけど、そのかわりその、「ジュニュー」とかされたし、それどころか「ケガレオトシ」まで……ッ!


(…………まだ出逢って1ヶ月も経ってないのに、良いのか? こんなことで……(汗))


 いや基本全部「不可抗力」なのだが(後、大体「玉神のせい」)、これではクラブ活動をするしない以前に「健全な高校生活」とはとても言えそうにない。でも、そんな風に深く反省しつつも、ついつい色々と振り返ってしまい、そうこうしている内に正面のあかりのキリッとした姿に、〇〇を摘ままれビリビリしちゃってた色っぽい姿が重なって見えて、(わぁぁぁぁぁぁ!)と頭を振る宗春であったが--


「そっか♪ だったらこっちで決めちゃっていいね☆」


 だが、そんな宗春の苦悶には気付くこと無く、あかりはちょっとホッとしたような、同時にすごく嬉しそうに顔をほころばせると、ガタッと椅子から立ち上がると同時に、急に宗春の名前を呼んだ。


「1年1組、清水宗春くん!」


「は、はい!?」


 いきなりフルネームで名前を呼ばれて、戸惑いながらも反射的に背筋を伸ばした宗春に、あかりはゴホンと咳払いすると、改まった口調で宣告した。


「あなたを我が三ツ矢学園生徒会の『庶務』に任命します。任期はあたしが会長を務める間ずっと--ということで、今日からよろしくね。清水庶務!」


「えっ、ええええええっ!?」


 思わず驚く宗春に向かい、「あ、これもう決定事項だから」とあかりがサラッと告げる。それも強引な話だけど、そもそも僕が「生徒会」に入っていいの??


 この学園に入学して間もない宗春だったが、内部生の浦上さんや情報通の土橋さんから「生徒会」については聞いている。「会長」こそ選挙で選ばれるものの、その他の執行部のメンバーは会長による任命制で、基本、誰もが認めるような優等生ばかり。そんな選ばれし生徒たちの集団が「生徒会」なのだ、と。実際、あかりも碧衣も、キイロは……まぁ多少問題があるとはいえ優秀なのは間違い無い。


 そんな中に、平凡……どころかむしろ「できない子」寄りの自分が入るだなんて……そんなの認められちゃうものなの??


「あっ、今、『僕なんかでいいんですか??』って思ってるね? そりゃもちろん、春くんと一緒に生徒会活動したい!って言うのも本音だけど、あたしだってそこは『生徒会長』、別に私的な感情だけで言ってるんじゃないよ。あたし、ううん、『あたし達』は、春くんに力を貸して欲しいんだ」


「……え?」


「知っての通り、あたしたちはただの生徒会じゃなくて、日々学園の《怪異》とも戦っている。でも、正直あたしたちだけじゃ人手が足りない。あたしたちの活動全般をサポートしてくれる、そんな人材が必要なんだよ。だから、お願い春くん! 生徒会に入って!」


「で、でも僕なんかが入っても足手まといなんじゃ……その、あかりさんたちみたいに戦えるわけでもないですし……」


 さすがに玉神のことを言うワケにはいかないというのもあるが、でも同時にそれは本音でもある。もちろんあかりさんたちの力になりたいという気持ちはあるけど、それはあくまで「陰ながら」であったり、今後の努力目標的なもので、今の自分がそんな「すごい生徒会」の正式メンバーになる--となると、やっぱり気が引けてしまうワケで……


「何言ってるのさ。春くんはこれまで何度も、あたしたちのためにがんばってくれたじゃん。そりゃ、最後に倒したのはあたし達かもだけど、でもその一生懸命な姿にあたし達はいつも勇気づけられてきたんだから! ねっ、碧衣☆」


「………………まぁほぼほぼ邪魔ではあったけどね」


 おそらくあかりには昨日のことを報告していたのだろう、ツンと顔を背ける碧衣であったが、でもさっきあかりが「あたし達」と言ったことからするに、碧衣も宗春の「生徒会入り」に反対はしていないようだ。それは認めてもらえたみたいで嬉しいけど……でも、ホントに僕なんかでいいのかな……


「ああ、もうじれったいなぁ!」


 それでもためらう宗春を見て、あかりはムゥと顔をしかめたかと思うと、ググッとばかりに身体を乗り出し、開いた右手を宗春の前に差し出してくる。


「いいから、一緒にやろうよ、生徒会! あたし達と一緒に学園の平和を守って、でもって、この三ツ矢をもっともっと素敵な学園にしよう!!」


(あっ…………)


 ああ、ホントにあかりさんって人は真っ直ぐだ。こんなキラキラした目で、真っ向から想いをぶつけられたら、そんなの……そんなの断れるわけないじゃないか!


「分かりました。僕なんかでよければ……そ、その、ふつつか者ですが、こちらこそよろしくお願いします!」


 勇気を奮い起こしてその手をギュッと握ると、キイロが「オオ~♪」とパチパチ拍手を送り、あかりはぱあっと破顔する。とはいえ、やがて照れくさくなったのか、あかりは左手の指でポリポリ頬をかくと、顔を薄らと赤らめつぶやいた。


「『ふつつか者ですがよろしく』……って、もう、春くんたらプロポーズじゃないんだから」


「あ、あはは。た、たしかに、言い方変でしたよね……」


 しかも「それむしろあたしの言いたい台詞……」とあかりがボソッと小声で呟くものだから、宗春もものすごく照れくさくなって、握手をした手は離さぬまま、お互いに恥ずかしがる二人であったが--


「…………それじゃあ『庶務』に最初の仕事よ」


 そこでズズイ!と碧衣が割って入ったかと思うと、下僕を見るような目で宗春を見下ろし命令を下す。


「八〇堂の新作くりぃむパンが出たって話だから、今すぐポ〇ラで買ってきて。10分以内にね」


「え”え”ええっ!? 10分とか無理ですよっ!?」


 何せここは4Fで、しかも下りてからもポ〇ラまでは少し距離がある。そんなのいくら何でもできるわけ--


「は? 『庶務』引き受けといてまさかできないっていうの? ちゃんと仕事しなさいよ」


「ハイハーイ♪ ジャあ、キイロにもおカシ買ってキテー☆」


「あ……じゃ、じゃあこの後稽古もあるし、あたしも、その、お弁当を……」


「うええええええええええ!?」


 三人に同時にお願いされて、その瞬間、宗春は己の立場を覚る。「庶務」とはすなわち「雑用係」。要するに「パシリ」というわけで、となるとこれからの僕の学園生活は--


「いいからとっとと行きなさい! いい? 遅れたら1分につき一回殺すわよ」


「は、はいいいいいいいいっっ!!!」


 真っ青になったところに碧衣から物騒な「脅し」(?)を受けて、宗春はビクッと背筋を伸ばすや、全速力で生徒会室を飛び出していく。


「ジャア、キイロは遅れタラ『罰ゲーム』ネ☆ 何ヤッテモラオッカナー♪」


「あ、あたしは無理して欲しいわけじゃないからね!? で、でも、あたしのために春くんが一生懸命なのは、その、う、嬉しいかも……☆」


 背中越しに聞こえるキイロ&あかりの追い打ちに、「が、がんばりま~~~すッッッ!!!」と悲鳴みたいな答えを返して、宗春は階段を駆け下りる。そうだ! がんばれ、負けるな、清水宗春! 基本、たくさんの姉がいる弟なんてそんな扱いだぞ!(笑)


 ……かくして、清水宗春は晴れて(?)生徒会の一員となり、本格的な学園生活の幕が開く。果たしてこれからどんな冒険と苦難が彼を待ち受けているのか--


 その続きはまた、別のお話ということで♪


(『学園戦兎トリプルバニー!』第8話ならびに第2章・おしまい!)

これにて第二章「清水宗春の三ツ矢学園での日々が始まる」も完結。

そして連載2年4ヶ月にして「ようやく」宗春は学園に入学、そして生徒会の一員になりましたw


なお、恒例の「次回予告」がついていないのは、ここからの展開について少し考えていることがあるからで、それについては後日改めて発表したいと思います。

とりあえず、ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!m(_ _)m


この後ですが、続けて「Nocturne」の方で第8話のとても「なろう」では書けない内容を掲載(笑)

また、こちらの方では登場人物紹介編や設定紹介編を掲載していく予定です。


どちらにせよ、ここからが本当の「トリプルバニー!」なので、今後もお楽しみいただければ幸いです!

それではまた!(^^)/

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