表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ナイトウィザード 二次創作  作者: 西玉
呪いの家
40/62

消える世界

 地裏ムカサの前に、白い手が落ちていた。

 手首から先は部屋の中にあるのだろうか。

 あるいは、手だけなのだろうか。

 開け放たれた扉の手前で、ムカサは足を止めた。

 恐れている、とはムカサ自身は認めなかった。

 だが、足を止めたのは事実である。

 白い手は動かなかった。

 廊下に零れ落ちてから、少しも動かなかった。

 ムカサは白い手から目を放し、一歩踏み出した。

 女が倒れていた。

 死んでいた、と断言できる。

 首の骨が折られ、頭頂部が床に落ちていた。

 ムカサが殺した、そのままの姿だった。

 傍らにはおさな子が倒れていた。口から血を流し、焦点の定まらない目をムカサに向けていた。

 現実のはずがなかった。床で死んでいた女が、さっきは玄関で迫ってきたのだ。ムカサ自身が拳を打ち込み、霧散させた。

 ムカサは自分の手を見ていた。手が、赤く染まっていた。

 血にまみれたように、赤く染まって見えた。

 女の姿は霧散した。

 そのはずだった。

 手に、感触が残っていた。

 残っているはずがない感触だった。

 女の胸を抉り、心臓を掴み、引きずり出した感触が、手に残っていた。ムカサが行っていないはずの記憶だ。

 精神が操作されている。

 その事実を、ムカサは感じた。

 目を閉ざす。

 体内に意識を集中させる。

 レビュアータの注ぎ込まれた毒が全身を巡っていた。

 目を開ける。

 女の死体も、幼子も消えていた。

 ムカサの前には、ただ廃墟のような荒れた部屋があるだけだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ