第8話 ミスっちゃった……てへぺろ
魔道具を探して数分が経った。しかし、なかなか魔道具は見つからない。
「魔道具、ない」
私が呟くとリオ君はうんうんと頷きながら言った。
「全然見つからないっすね。……ところで、なんでクロエさんはあのエルフのガキを慕っているんですか」
「サリアをバカにするの、許さない」
「は、はい」
少し圧をかけすぎたかな? でもサリアをバカにするのは許さない。
そうしてしばらく無言で歩き続けるが、暇になってきたのでサリアとの出会いについて軽く話した。もちろん元魔王のことは隠して
話を聞いたリオくんは驚きながら
「クロエさんとエルフのが……サリアの出会い、なかなかいい話なんだな。さっきの勘の良さといい、思ったよりエルフの……サリアってすげぇな」
どうやらサリアの凄さを理解してくれたようだ。……でもまだところどころ小馬鹿にしているような気がするから後でしっかり躾けてあげないとね♡
しばらく歩いていると、突然甘ったるい匂いが漂ってきた。リオ君も気づいたのか手で鼻を覆っていた。
「めっちゃ臭い!?」
「たぶん、近くにある」
近くの隅々まで探してみると、棚の上に少しだけ魔力を感じた。
「んっ、たぶんここ」
私が反応がある部分に指を指した。そこには、
「香炉?」
そこにあったのは、美しい色彩が施された三つ足の小さな香炉のようなものだった。
「これっすか?」
リオ君がそれに触れようとしたので、私は慌ててリオ君の腕を掴んだ。
「待って! 触ると危険」
「え、でもこれを壊せば——」
「壊すのダメ。 暴走するかもしれない」
「め、めっちゃ危険じゃん!?」
「しっ、バレちゃう」
リオ君が大声で叫んだので慌てて口を塞いだ。いくら隠蔽魔法があっても大声を出すとバレるかなもしれない。
リオ君は落ち着きを取り戻すと小声で私に聞いてきた。
「じゃあ、どうやって止めるんだ?」
私は少し考えた後、
「わかんない」
正直に言うことにした。
「ズコッ……ど、どうすんだよ」
「今考えてる。サリアがいれば——」
私が言葉を続けようとしたその時、
「おや? ここにいると思ったんですが」
領主のセルロが来てしまった。しかし、隠蔽魔法の影響でこちらの姿は見えていない。このまま隠れたやり過ごそうとした時、私は目を見開いた。そこには、
「んん〜、ん〜」
「おいおい、そんなに騒がなくてもすぐに奴隷商に売ってやるから安心しろ」
口や両手を紐で縛られた、サリアがいたのだ。私は「サリア!!」と思わず叫んでしまった。
すると、声が聞こえてしまったのかセルロはニタニタと笑いながら言った。
「やはりここにいたのですね。さぁ! 出て来なさい。さもないとこのエルフがどうなっても知らないですよ」
私は唇を噛んだ。まさかサリアが捕まるなんて……でもすでにバレてる以上姿を出すしかない。
私はリオ君に「逃げて」と小声で伝えると自分だけ姿を現した。
「やはり、お昼の時のお嬢さんですね」
「サリアを離して。さもないと殺す」
私は殺気を放ちながら言った。男はそれでもなお平然としていた。
「おやおや、そんな顔をしてはせっかくの綺麗な顔が台無しですよ」
「関係ない。離さないなら今すぐ殺す」
私がそう言うとセルロはニヤリと笑いながら言った。
「あなた方が私の部下どもを倒したのは知っていますからね。一応対策はしてきてますよ」
そう言ってセルロは指をパチンと鳴らした。すると、どこからか二体人型の機械が現れた。
「それは何?」
私が聞くと、
「これはある方から頂いた対人型兵器。戦闘に特化していて、物理も魔法も通さない魔法障壁を施した特別製です。これであなたは動けまい」
「?」
私は頭の中に? を浮かべていた。《《この程度》》の機械に負けるわけない。まず、私は人ではなく元魔王だし。
私の沈黙を降参だと勘違いしたのか、セルロの話はどんどん進んでいき、
「もし、あなたが彼女の代わりに私の奴隷となるなら考えないこともないですがね。どちらにせよあなたたちは離れる運命です。そこで歯を食いしばりながら彼女の最後の言葉でも聞きなさい!」
セルロは、声高々に言うと、サリアの口の紐を外した。
「さあ! 最後の言葉を!!」
そんな興奮しきったセルロに対してサリアは露骨に嫌そうな顔をしていた。そして、私の方に向くと申し訳なさそうな顔をしながらこう言った。
「ミスっちゃった……てへぺろ」
次回、サリア視点に戻ります




