幕間② 事件のその後
【サリア視点】
セルロが捕まった後、アイリスがいろいろと事件の後処理をしてくれて、私たちの指名手配もなくなり、晴れて自由の身となった。
事件については魔族の魔道具であることは隠して、領主セルロ・ウェスティングの仕業だとして彼は一生牢獄の生活になった。
たぶんアイリスが情報を吐かせるために、拷問にでもかけられるかもしれないが、知ったこっちゃない。
魔族の魔道具についても、アイリスが組織に持ち帰って研究すると言って回収した。まぁ、あんなもん持っていても使えないからいいけどね。
私たちはしばらく、事件を解決した功労者として崇められた。魔道具の影響も消え、野菜の成長も良くなり、指名手配の件のお詫びと言ってどんどん野菜が運ばれてくる。……正直、もうお腹いっぱい
そんなこんなでこの町の謎も解決し、町に賑わいが戻った。
それと、最後にリオたちのことについて話しておこう。
リオや他の子供たちは、孤児院に預けられることになった。何人かの親は自分から捨てたにも関わらず、また一緒に生活しようと言ってきた。しかし、子供たちはあっかんべーをしながら文句を言って結局、全員孤児院に行くことになった。
まあ、普通一度捨てたのにまた戻ってこいなんて都合のいい話されても行かないでしょ。一度壊れた絆はそんな簡単に戻らない。
リオたちは私たちが次の町に向かう前に一度お礼を言いにきた。
「ありがとう、お姉ちゃん!」
「みんな、野菜が作れるって喜んでるよ」
「私たちもこれから頑張る」
「また遊びに来てね!」
「私も将来かっこいい大人になる」
「胸小さいけど、惚れた」
みんな思い思いに感謝の言葉を述べていた。……胸小さいは余計だけど
最後にリオは私たちに頭を下げながら
「今まで悪かった!」
と謝ってきた。
「え、ええっ! どうしたの?」
私はいきなりの謝罪に驚いてしまった。リオは顔を上げると言葉を続けた。
「最初ははっきり言って信じていなかった。お前らが動いたところでどうにもならないと諦めていたんだ」
そこで、一度言葉を区切るとまっすぐ私の目を見て
「でも、事件に本気で向き合っている姿を見て、少しずつ信じてみようと思った。それで、最後は結局解決しちまった。俺にとってお前らは救世主であり憧れの存在なんだ。だから……」
リオは少し震える声で言った。
「お、俺も、お前らのように誰かを救える人になりたい!」
私とクロエはその言葉に顔をほころばせると、そっとリオの頭をなでた。
「リオはすでにたくさん救えてるよ。だって、ほらこんなにもたくさんの子供たちのことを面倒みて1人で頑張ってきたんでしょ」
「そう、リオ君は頑張った」
私たちの言葉に子供たちも頷きながら
「リオお兄ちゃんはすごい!」
「僕たちのきゅうせいしゅだよ!」
「お兄ちゃんはかっこいいよ!」
「頑張りすぎはめっ! だよ」
「これからはみんなで頑張る!」
「ほんとにありがとう!」
口々にリオを誉めていた。リオは涙を手でごしごしと拭くと「ありがとう」と言って、すっきりした顔で子供たちと手を繋ぎながら帰っていった。
「あの子供たちはこれからどう成長するか楽しみだね」
私は彼らを見送りながらポツリと呟いた。
「あの子たちは、苦労いっぱいしてきた。だからきっとそれが報われるはず」
クロエはそう返すと、彼らを少し羨ましそうな目で見つめていた。
◇
【???視点】
「うまくいかないものですね」
一方、そのころ魔族国では幹部たちよる会議が行われていた。
「どうやら『断罪』に邪魔をされたそうです」
「あいつらは厄介だ。どうにかして排除する必要がある」
「さいわい、今回魔道具を渡したセルロというやつは私たちの情報をほとんど持っていない」
私はそんな幹部たちの会話をじっと聞いていた。
前魔王のクロエ、あれは本当に失敗作だ。魔族国ならば他の種族を攻め滅ぼすことなんて容易なのに、他の種族との仲を深めるなどと父の真似をして馬鹿げたことを始めようとしたからだ。
私は他の幹部たちを束ね、クロエを襲撃して《《魔王》》としての地位を得た。
もう私の邪魔をするものはいない。
「次の標的はドワーフ族とする」
私はニヤリと笑いながらこう宣言した。




