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幕間① 嫉妬

話はアイリスが登場する場面まで遡る。



【クロエ視点】


 私は今とても怒っている。


 なぜなら、突然現れた「アイリス」とか言う泥棒猫が、サリアと仲良しアピールをしているからだ。


 それにサリアもサリアだ。「相変わらず元気そうだね」と、昔からの親友アピールをしているから余計に腹立つ。


「これには訳があるんですよ、アイリス様! こ、こいつらは勝手に領主邸に侵入した挙句、いきなり私を攻撃してきたんです。私は仕方なくこのエルフを人質にとったんです」

「ほう……では、お前はどうだ?」


 そんなこんなでアイリスとかいう女がそこのアホ領主への質問を終えて、私に問いかけてきた。


 あと少しでうちのサリアを奴隷商に売りつけようとしたアホ領主を燃やすことができたのに邪魔され、それに加えてサリアとの仲良しアピールもされ、クロエは完全にアイリスを敵と定めていた。


「私はサリアの《《助手》》として事件を調べていただけ。あなたに話すことはない。」


 こうして、「私とサリアの方が深い絆で結ばれている」とアピールするかのように《《助手》》を強調して言ってやった。


 サリアは絶対渡さない!


 すると、泥棒猫は目を見開いて驚いていたが、私とサリアを交互に見た後に、手をポンっと打つとニヤリと笑った。


「なるほど」


 そして、泥棒猫は私の近くまでくると、周りに聞こえないように耳元で小声で話しかけきた。


「君はサリアのことが好きなんだね」

「!?」


 私は思わずビクッと体を震わせてしまった。

 まだ出会ったばかりの人に一瞬で気づかれるなんて……


 私は泥棒猫を睨み返した。すると泥棒猫はニヤリと笑いながら言った。


「心配しなくても、私がサリアのことを奪おうなどとは思わないよ」

「それ、ほんと?」


 私は聞き返した。彼女は私の味方なのか敵なのかしっかり判断する必要がある。


「ああ、神に誓って嘘はついてないと約束しよう。もし、嘘だったら首を切ってもいい」


 彼女の様子を見る限り、本当のことを言っているのだろう。


「分かった。あなたのこと、信じることにする。結局あなたはサリアの何?」


 私は頷きながら一番重要なことを聞いた。元カノなんて言われたら、どう落とし前つけてくれようか……


 なんて、思考が良くない方向に行きかけていたが、一旦落ち着くと彼女の返答を待った。


 彼女は少し悩んだ後にこう答えた。


「まぁ、強いて言うならば昔、ある事件の調査をしていた時に一時的に協力関係を結んだ友という感じかな」


 私はそれを聞いてほっとした。


「まぁ、そういうことだから私のことそんな人を殺しそうな目で睨まなくても全然大丈夫だからね」


 そうして、彼女は話したいことを全て話せて満足したのか、私から離れると再びセルロの方を向いた。


 さっきまで私の胸に渦巻いていた黒い感情が晴れていくのがわかる。


「急がないと」


 私はサリアを見ながら小声で呟いていた。


 今回は大丈夫だったが、次も同じとは限らない。サリアは誰にでも分け隔てなく接して、どんな状況でも人を自分よりも他人を優先してしまう優しさがある。こんな私にも優しくしてくれた。これから、ガチ恋する人が現れてもおかしくない。


 私は今まさにセルロの悪事を暴こうとしているのにも関わらず、頭の中でこれからどうサリアにアピールするかを考えていた。

 ここから距離を縮めていこうと思うので、焦ったい2人の関係を温かく見守っていただけると嬉しいです


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