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聖女と僕のやりすぎお忍び冒険譚  作者: グーグー


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65/69

65.ピートの仕事

 ***ピート***


 トリナテに到着して教会に向かう。宿は取らずに教会の隅にキャビンを置かせてもらって、そこを拠点にして行動しようとしていたのだが、トリナテ司教に、

「キャビンで!?野宿のごとく聖女様を生活させるとおっしゃいますか!?いくら、いくらお忍びとはいえ、それは……。いくらなんでも……」と、言われてしまった。


 まあ、気持ちはよくわかる。実際、街まで来ておいて馬車の荷台で宿代をケチるなんていうのは、駆け出しの運び屋くらいだ。しかも教会に場所を頼むなんて、荷馬車を駐車する広場の使用料もケチって教会にすがっていると思われる。相当底辺だ。


 =======


「でも、キャビンが快適だし、この人数がキャビンで寝泊まりしていたら空間拡張を知らない人からビックリされるわよ。それのほうが嫌じゃない?教会なんてだだっ広いに決まってるんだから、隅の方にちょっと停めさせてもらってもバチは当たんないでしょ」

 そう言う柚子様に押し切られてしまったが、当然それらの説明を司教にするのは私の仕事なのだ。

「説明が面倒になったらキャビンに招いちゃいえばいいじゃない。そうしたら納得してくれるわよ。ナルドさんも凄いですって言ってたもの」

 教皇様が凄いと言ったのは、その膨大な魔力量と多様な魔法と、更にそれを応用させる柚子様に言ったのだと思う。キャビンがどうこうではなく……。

 躊躇する私に寛太様は、

「頼みにくかったら透明にしてその辺に浮かせておけば邪魔にならないんだから。それでもいいんだよ。大聖堂の敷地では、そうしてたんだし。ただ鳥が激突してきてたから、それはちょっとかわいそうだなって思っただけ」と悲しそうな顔をして言う。


 そういうことか。柚子様はあの時の寛太様の顔を見て透明のまま置いておくのを良しとしなくなったのか。甘いと言うか過保護と言うか。でも、そういうことなら仕方ない。

 私も大概過保護な保護者になりつつあるな。


 =======


 トリナテ司教は大きな街を任されているだけあって、温厚で人望の厚い良さそうな感じの人だった。かなりのご年配で、お付きの人たちも大勢いるが半分は介護要員のようだ。


 その司教をもってしても冒頭の驚愕っぷりだったわけだが、丁寧に説明をして分かってもらった。

「キャビンにお越しになりますか?」と聞くと、

「聖獣様と聖女様の御座所に私ごときがお邪魔する訳には……」と言われた。

 御座所とか、初めて聞いたな。

「あ~、祠の魔力注入で会うと思いますから挨拶も兼ねていかがですか?恐らく思っている聖獣、聖女象と真逆の人たちに会うことになると思いますよ。心臓お悪いとかないですよね?」

 私は思わず、心配になってお付きの人にも質問してしまった。


 挨拶も兼ねてというなら、もちろん拝謁いたします!と言って、身なりを整える為席を外す司教の後ろ姿に、

「本当に、普通で!普通でお願いします!」と声をかけた。

 ププカ司祭のように功名心で聖女を利用しようとするのも考えものだが、崇められすぎるのも考えものだ。どちらもお忍びを台無しにする。


 そんな私の声が聞こえたのか、ひょこっと開いた扉から顔をのぞかせたのは王都のギルマス、ドガルだった。

「おう、やっぱりピートの声だったか。神出鬼没だな。ププカのダンジョンの新しい階層を踏破したって聞いたばかりだぞ?」


 ドガルは変異体ワームの指揮を任されたので、教会の宿坊にやっかいになりながら、遠距離通信を使わせてもらって王都の仕事もこなしているらしい。なんと多忙な。

 簡単にこちらの事情を話すと、

「キャビンを俺の部屋に入るサイズにしてしまえば、人目につかなくて済むぜ。俺の部屋なら、怪しさ満開のお前たちだろうが、冒険者だろうが商人だろうが出入りしてても誰も不振に思わないしな。そんでもって、俺をそこに泊めてくれ!教会の宿坊の隙間風と堅い布団にまずい飯って、どこの囚人だ!?って思ってたところなんだよなぁ。好意で提供してくれてるもんだから無碍にもできなくてよぉ」

 文句をいう割にお人よしなギルマスであった。

 それにしても、聖女様たちへの扱いが雑だ。トリナテ司教との差が激しすぎる。『御座所』に泊めろとは。


 とは言え、部屋の中にキャビンを丸ごと入れるアイデアは良い。早速相談しようと駆け出した。



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