61.詳細鑑定
***寛太***
「それがのぉ」と言って話し出したカケル様。光太の能力は驚くべきものだった。
『交流のある異世界へ旅する能力』
「光太ちゃんは異世界トリッパーなの??」
「『交流のある』というのがみそじゃの。普通は異世界との交流なんぞありはせぬ。今回は柚子が何かの手違いで異世界に生を受けて、それを呼び戻す為に交流と言うか、通路が開けたというかのぉ。それで、光太の、普通なら一生気づかないであろう能力が発揮されておるわけじゃ。恐らく、寛太らの親のように帰還しても熱が出たりはせぬじゃろう」
「まさか幽体でこちらにこられたのもそのせい!?」
「そうじゃろうのぅ。能力はあっても人が通り抜ける道がなければ来られぬわけじゃから、幽体になって無理やり通ってきたのじゃろう。5ミリ通過があるからもうその無理やりもせず来られるがのぉ」
「そうなんだ。いや、これは……。言えないなぁ。言ったら渉兄ちゃんが大騒ぎだよ。光太だけ魂に傷がつかず異世界を行ったり来たりし放題だなんてこと」
「そうじゃがのぉ。帰って熱も出ずにぴんぴんしておったらバレるじゃろう」
「そうか……。早めに言う?いや!ダメだ!詳細な鑑定があるってユズに知られちゃうよ!」
「もう良いのではないか?詳細な鑑定が知られて、柚子が会得して、寛太が調べられて、そして、恋心がバレるのが嫌なだけじゃろう?」
「いやいや、めっちゃまずいじゃん。相当気まずいよ。家族みたいに大きくなってきたのに。こいつ、弟分だと思ってたら色気づいてたのか!?とか思われたら死んじゃうよ!」
子犬の表情が、哀れなものを見る顔になった。犬飼いなら、レアな表情だと喜んでもらえるかもしれない。僕は喜べないが……。
「でも、待って。言わなくてもいいじゃん。光太ちゃんが元気で、異世界を行き来できる体質って分かったら、その時に凄いね~そんなこともあるんだね~!ってみんなと一緒に驚けばいいだけでしょう?」
「……。」
なにか怪しい。とぼけた顔をしても騙されないぞ。
形勢逆転とばかりに、子犬の首をヘッドロックして捕まえて、
「隠し事はよくないよ。カケル様、とっとと吐いて!」
そんなこんなで、わちゃわちゃやっていると、アクセルが様子を見にやってきた。
事情を説明すると、
「聖獣様は、たまにポロって内緒だって言ったことを漏らす癖がありますから……。今回もそうでしょう」
「たまにじゃ。千年に一度くらいじゃ。誰にでもあることじゃ!」
開き直って説明し始めるカケル様。
どうやら、渉に剣鬼の話をしたようだ。自分の鑑定でそれが分かったと。
「それで渉さんに、光太さんも見て、結果を教えてくれと頼まれた訳ですね」
「そういう訳じゃのぉ」
「カケル様の失敗で僕が大変な目にあうの!?納得いかない!!!」
「柚子が詳細鑑定を会得するまでに、鑑定をブロックする方法を編み出すかのぉ」
「もう、そういう下手な取り繕いは止めたらどうですか。聖獣様だけでなく、寛太さんも向いてなさそうですし」
アクセルは穏やかな見た目で、言う事は言うタイプだった。
「そうじゃの!向いてないのは仕方なかろう。よし、告白大作戦決行じゃ!リーダーを連れてくるかのぉ」
「なにその急展開。光太ちゃんの能力カミングアウトじゃなくて僕の話になっている!?いや、それより、どうしてリーダー!?」
「リーダーも気づいておるからに決まっておる」
「リーダーが!?僕の気持ちを知っているってこと!?」
「そうじゃ。この件はワシが言った訳ではないぞ。リーダーが勝手に気づいたのじゃ。陰ながら二人で応援しておったのじゃ。感謝するがよいぞ」
「さすが、リーダーさん。周りをよく観察してますね」
「そうじゃのぉ。リーダー向きの人材じゃの。祠の旅が終わったら派手に大聖堂で結婚式をせねばと、二人で言っておったのじゃ」
け、け、け、結婚!!!?もう、ダメだ。今日の気力は失われた。僕は寝る。
「この話し合いはまた後で!絶対に勝手に進めないで!」せめてもの捨てぜりふを残してふて寝した。




