237 トラブル解決! まさかの展開に……!
二人は話を終え、別々の方向へと歩き出した。
ヴィヴィアンさんは自分の魔走車の整備へ。
ジョゼさんは俺たちの方へ。
俺たちのところへ戻って来たジョゼさんは、少し寂しそうな顔をして話しかけてきた。
「残念だが、ここまでだ。途中退場する事になってしまってすまない」
「いえ、怪我人が出なかったのは、ジョゼさんの判断のお陰です。魔走車は残念なことになってしまいましたが……」
ジョゼさんの魔走車も回収できればよかったが、それは叶わなかった。
「仕方ないさ。しかし、街長にはなんと説明したものかな」
「そこは俺も協力しますよ。豪快な性格の人なんで、あっさり受け入れてくれると思いますけど」
あの人の性格からして、事情を説明すれば、「そうか、分かった」で済みそうな気がしないでもない。
…………
その後、インターバルは終了。
コースを塞ぐ水たまりを通れるようにする作業に移る。
「ミミ、ここに橋を作れる?」
俺は通行不能となっている水たまりを指差し、ミミに尋ねた。
『前みたいに木を渡せばいいんだね?』
「そうそう。少し平らにできるとありがたいな」
『やってみる!』
真剣な表情で首肯したミミは水たまりの側までトコトコと歩いていく。
そして、両手をかざした。
『うーん……、よいしょー!』
掛け声と同時に、木の根を編みこんだ綺麗な橋が完成してしまう。
「おお、さすがだ!」
完璧な出来である。
これなら魔走車が通っても大丈夫そうだ。
『これでいい?』
「いい出来だよ。ありがとうね」
こちらへと戻って来て見上げるミミの頭を撫でながらお礼を言う。
『うふふ』
「おお、これなら魔走車を濡らすことなく渡れそうだな」
一連の出来事を見ていたジョゼさんが驚きの声を漏らす。
「はい。再スタートは橋を渡った後ですかね」
わざわざこの場から加速する必要もない。
橋は徐行しながら渡ってもらい、スタートは広い場所まで移動してからの方がいいな。
「そうなるな。誰か人を呼びたいが、ここは両方のチェックポイントから遠い。このまま我々だけで乗り切るしかないな」
「分かりました。選手の皆さんに説明してきますね」
頷いた俺は、待機している選手たちに事情を話し、了承を得た。
後はうまく仕切り直しができれば、なんとかなりそうだ。
早速、俺とジョゼさん、手の空いている選手の力を借りて、一台ずつ橋を渡ってもらう。
慎重に事を進めた結果、全員無事に橋を渡ることが出来た。
その後、場所を移動してからスタートしてもらい、レースを再開。
魔走車を失ったジョゼさんは俺が横抱きにして運ぶこととなった。
レースは順調に進行し、折り返し地点のチェックポイントへ到着する。
チェックポイントへ到着後、運営にスライムの一件とどう対応したかを報告。
映像で状況を確認していたことから、話はスムーズに進んだ。
その結果、魔走車に乗ったスタッフが念のために最後尾から付いて行くことが決まった。
不慮の事故に備える形で同行が増えたわけだが、その後は何のトラブルもなくレースは順調に進む。
折り返し以降、ゴールであるミルティユの街までは純粋な競争となった。
結果、ヴィヴィアンさんが見事一位。
長距離レースで優勝を飾った。




