193 ミミ、衝撃的なことを思いつく……!
『マスター』
「なあに?」
どうしたのかな。
『ミミね、ジョゼさんの魔走車ができたら、おめでとうって言って、何かしてあげたいの』
「お祝いするってことかな。なるほど、それはいいアイデアだね」
完成祝いか。素晴らしい発想だな。
『うふふ。でも何をしたらいいかな?』
「そうだなぁ、プレゼントとかどうかな?」
こういうのはオーソドックスなのが一番。
『いいかも! う〜、そういう時は何をプレゼントしたらいいの?』
物を贈るという着想だけから、プレゼントを選ぼうとすると範囲が広すぎる。
そのせいでミミは何を贈ればいいか、頭を悩ませているようだった。
「お花はどう? ミミなら綺麗な花束とか作れるんじゃない?」
ここはミミの得意分野の出番だろう。
素敵な花束を作って贈る。シンプルで一番いいやつだ。
『できるよ! ミミ、花束作る!』
「決まりだね。試しに作ってみる?」
『うん! やってみるね……。よいしょ!』
俺の提案に頷いたミミが、両手をかざして力をこめる。
次の瞬間、地面から巨大なキンモクセイが生え、大量の花を咲かせた。
異世界のせいか花が大きく見応えがある。まるで黄色いサクラのようだ。
なんと巨大な。ミミの考える花束のサイズがダイナミックすぎた。
「おお……、キンモクセイか」
大木を見上げた俺は感嘆の声を上げる。
巨大なキンモクセイは満開となっており、周囲に甘い香りを漂わせていた。
『キンモクセイっていうんだ。ミミが知ってる中で、一番お花が一杯ついてるのを出してみたの。花びらも飛ばせるよ。ほら!』
ミミが合図を送ると、キンモクセイの花が散り、花びらが弾丸のように跳んでいく。
花びらの大群は凄まじい勢いで側の木に命中。
なんか花びらが当たったとは思えないほど硬質な音がするなと思ったら、木が蜂の巣状になっていた。
花びらを受け止めた木は原形をとどめておらず、ミシミシという音を立てて崩れ落ちていく。
「おお……。いつの間にそんな技を……」
『んふー♪ お魚さんを見て勉強したの』
ミミの言葉を聞き、ピンと来る。結界装甲陸船に乗った時か。
あの時、ミミは熱心に水槽の魚群を見ていた。
今の花びら攻撃は、魚の動きから着想を得たというわけか。
うちの子、賢いぞ。
「これはこれでありだけど。花束としては、ちょっと大きいかもしれないなぁ。色んな花を生やして、まとめてみたらどうかな?」
キンモクセイでも、庭に生やしてサプライズとか出来そうではある。
ただ、それだと手渡しができないし、後で撤去しないといけない。
ミミ的にも、今回はサプライズより、プレゼント色を重視したいはず。
ジョゼさんに直接渡したいだろうしな。
『そっかぁ、渡すと重いよね。もう一度やってみる。……よっこいしょ!』
俺の言葉を聞き、ミミが再挑戦。
両手をかざして力をこめると、一面に色とりどりの花が咲き乱れた。
普通ではありえない花の咲き方が、ここが楽園であるかのように錯覚させる。
「おお、綺麗だな」
きっと、ミミが今まで見たことがある全ての花が咲いているのだろう。
『マスター、どの花がいいと思う?』
「どれがいいか、一緒に選ぼうか」
『うん!』
俺とミミは二人で、あーでもないこうでもないと言いながら、花を摘んだ。




