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リベーラの昔語り2

「三十二年前、オーキッドにおおきな旱魃かんばつが訪れた。ここよりも北の、国の穀倉地帯とも言われる西都と北都の間の平原に、半年間、いっさい雨が降らなかったんだ。あのあたりの人間は餓死寸前だったともいうし、国を挙げて、とにかくこの危急を救わなければいけなかった。本来は……。」


「本来は?」


「ああ。自国民存亡の危機なのだから、国全土で、税金を負担し、飢えた民を救わなければいけなかった。痛みは全国民で分け合うべきなのに、王都の連中はそうはしなかった。旱魃(かんばつ)とは無縁で、港町で豊かに栄えている、という理由で、その負担をすべて南都に押し付けたんだ。」


 リベーラの太い眉間に皺がより、こぶしが固く握られた。


「自分たちが贅沢三昧をしたいばかりに、王族、貴族どもは王都に税を嵩ますこともなく、南都にだけ負担金を強いた。飢えた人間を救うためと言いながら、自分たちは懐を痛めず、コソ泥のように南都から上前を()ねていった。もともと奴らは嫉妬していたんだ。南都…いやカリエンテが、港町として海の幸が豊富にあり、さらに交易、貿易で栄えていたことを。でも、カリエンテの人間は、何もせず豊かになったわけではない。誰よりも必死で頭と体を動かし、働きに働き、それで富と幸を生み出したんだ。きみも知っているだろう?南都の男爵たちは領地らしい領地は持っていない。国から与えられたものは爵位という食えもしない名誉だけだ。彼らが努力して生み出した財産が、彼らを豊かにしているんだ。」


「はい…。」


 梨亜自身もよくよくわかっている。人よりも大金を得るためには、ただ漫然と働くだけではいけない。知恵も働かせて人と違うことを考え、学び、吸収し、そして、なによりも体も酷使しないといけないことを。


「それを王都の王族、貴族連中は領民から吸い上げる金と、身分の高さに応じてもたらされる王宮からの下賜金で贅沢三昧だ。それで足りないなら、下から吸い上げればいい、そんな腐った考えしか持っていない。それを自分たちばかり偉いと勘違いして、頭が高いやつらばかりだ。」


 ……これは梨亜はよくわからないことなので黙って聞いていた。王都の貴族様など、梨亜はひとりも会ったことがない。


「ともかく、そのとき、急激な重税で、カリエンテの民は苦しんだ。ただでさえ穀物が値上がりしているというのに、すべての物価が倍近く上がった。収入は変わらず、むしろ税金で多く取られ、さらに物価が倍になる。商店や工場は立ちゆかなくなり、町は失業者であふれた。」


 なかなか凄惨な状況だ、と梨亜は思った。それをどうやって、おじいさまは救ったのだろうか。


「ところで、旧アフィラードは荒地だったときみも知っているだろう?ほとんど山岳地帯で収穫できる食料も少なく、だからこそ、アフィラードはかつてカリエンテに攻め入ろうとしたんだ。」


 そこは梨亜もしっかりとうなずく。


「きみの祖父が譲り受けた領地も、そんな荒地ばかりの土地だった。それまでは悪名高い伯爵の領地だったが、この伯爵は、地形を利用し、南都と王都を結ぶ道に関所をもうけて通行税を取ることで利益を得ていた。そうしないと、領地を安全に治められないと王宮に訴えてね。そうやって高い通行税を取り、南都と王都へ行き来する人から金をむしりとっていた。この伯爵が亡くなったあと、子孫がいなかったため、領地はいったん王宮預かりとなったが、すぐに臣籍に降りたきみの祖父に与えられたらしい。きみのおじいさまは、領地に入り愕然としたらしい。通行税は伯爵の遊興費にあてられていて、領地の中はきちんと整備されることもなく、荒れ放題だったらしいね。まだ若かった公爵さまは、少しずつ領地を治めることを家宰と勉強されつつ、領内を整備されていった。領民が暮らしやすいようにね。そして、それから、関所の通行税を下げることをしていった。」


かたっくるしい話なので少し小分けにしてみました。

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