オリエンタルな輝き
ほどなくして、梨亜の新しいデザインのアクセサリー図を見て、夫人もセリオも息をのんだ。
「これは確かに豪華で華やかで…、そして今まで見たこともないデザインのアクセサリーね。」
梨亜が描いたデザイン画はラリエットを額飾りに使用したものである。インドの王族の女性たちが額飾りなどを使用して顔まわりを豪奢にしていたのをイメージして描いた。もちろん、梨亜の好みに添って、あまりクラシカルにならずに、可愛らしい感じのデザインにして、真珠を多用したものに変えてはいる。
南都の文化として黒髪、黒目が好まれるということは、デザインもどちらかというとオリエンタルなものが好まれるのじゃないか、と梨亜は考えてこれを描いたのだ。
「そして、ここからが職人さんの腕の見せ所なのですが、ダンスパーティで、振り付けの大きな、動きの激しいダンスを踊ってもけして外れず、かつ、頭を締め付けないデザインのものを考えていただきたいんです。フェルディナント商会の職人たちは一流の腕です。簡単に真似されていいものじゃない。彼らにしかできない仕事をしていただくことで、類似品の流布を防ぎたいです。」
梨亜の言葉を受けて、男爵は力強くうなずいた。
「そうだ、うちのお抱え職人たちに腕によりをかけてもらおう。猿真似できない、素晴らしいものを完成させよう。ほかのデザイン画も見せてくれるかい?」
「はい…もちろんネックレス、ピアス、ブレスレットなども新しいデザインを考えましたが、これらはどうやっても少しすれば類似品が出てしまうと思います。……これを防ぐ方法は私には残念ながら思いつきませんでした。」
梨亜は唇を噛んだ。
「そうだね、これらの半分は商会の売り場に出さずに、社交界限定商品として売り出すことで、いくらか類似品が出てくるのを遅らせることはできるよ。……しかし、レッスンの合間にこれだけのデザインを考えるのは大変だったね。体に無理はしていないかい?」
「それは大丈夫です…。でもひと段落ついたら、お休みいただいてもいいですか?ブルーノとお医者さんの畑に行く約束をしているので。」
「ああ、なにか高山にしか育たない薬草を育てているんだっけ。きみもあちこちに駆り出されて大変だね。」
「駆り出されているわけではありません、どれも好きでしていることですから。」
「……セリオも大変だ。」
「何がでしょう?」
男爵はなにか言いたげな顔をして、黙り込んでしまった。息子の嫁にするには活発で手に負えない、と思われているのかもしれない。別にそれはそれでかまわなかったが、梨亜に言わせてもらえれば、男爵夫人の発想と行動力も相当なものである。
結局、梨亜が医師の畑にブルーノを連れて訪れることができたのは、前回の訪問からひと月もしてからのことだった。




