3.行きついた町
夜に山道を使って国境を越え、ロイマーナ王国に入ったマリーは朝方には再び街道に出た。後はゆったりと気の向くまま、心の赴くまま適当なところまで行って、気に入った所があればそこに落ち着いて、適当に暮らすことにした。
それはいいのだが、この日記をどうするか、爆弾を懐に抱えているようなものである。しかし、今は少しでもクレッセント王国から離れることにした。そして数日してレンファルコの町に着いた。この町は港町で外国の商人も多くいる。
しかし、国境を越えて初めての大きな町ということで、クレッセント王国からの避難民も多くいる。マリーの顔を知っている人も多い。大聖女とばれれば暗殺者を送られる。そこで、船に乗ってさらに南へ行くことにした、馬を売ったお金で船の切符を買った。
その間にクレッセント王国が滅んだというニュースが飛び込んできた。そしてこの国も遊牧民に備えて、臨戦態勢に入ったようである。
幸い南へ行く船は出航するようで、ほっと胸をなでおろした。そして船はいくつかの港を巡ってクレベンナの町に着いた。ここまで来ると、クレッセント王国からの避難民もいない。マリーはここでしばらく落ち着くことにした。
これからの生活をどうするか。とにかく収入を得る手段を得なければならない。それも目立たなく。教会で治癒魔法を行使すればすぐに採用してくれるだろうが、そんな事をすれば遊牧民の国家から暗殺者を送られる。それと懐に抱えた日記をどうするか、いまだに決心がつかない。
マリーが選んだ職業は冒険者であった。これなら気に入らなければ、しなくていい。日々の生活の糧を得るだけの最低限の仕事をすればいい。剣の腕はそれほどでもないが、魔法の腕は確かである。たいていの魔獣なら魔法で倒せる。それに薬草を採取してポーションを作って売ってもいい。
冒険者ギルドの扉を開けて中に入った。ローブを深くかぶっていても若い娘である。目立つ。顔は墨を塗っているが、それでもあふれ出る気品は覆い隠せない。
厳ついおっさんがマリーの前に出てきた。すると受付嬢が
「カルロさん、新人をいじめるのは、やめてください」
「俺はただ、新人を案内してあげようとしただけだ」
そこでマリーは
「私は冒険者ギルドは初めてではないので案内は不要です」
そう言って、マリーは受付嬢のところまで行った。そして
「冒険者登録をしたいのでお願いします」
「それでしたら、この用紙に記入してください。都合の悪いところは書かなくていいです」
マリーは名前をこの国風にマリアとした。後は記入しなかった。そうして冒険者登録証をもらった。最初はFランクで、出来る仕事は薬草採取と溝掃除や草むしり、後食堂や商店の売り子もあったが、人と触れ合うのはやめた方がいい。薬草採取を選択した。採取中に襲ってきた魔獣は倒してもいいとのことであった。
冒険者ギルを出ると、先ほどのカルロという男が待っていた。
「俺が手ほどきしてやろうか」
「要りません」
そう言って、カルロを避けて前へ行こうとすると、その道をふさがれた。そろそろ頭に来ていたので、カルロの体を魔法で吹き飛ばした。
するとカルロが真っ赤になって向ってきたが、マリーはさっと身を翻して、走った。風魔法を背中に当てると尋常でない速さで走れる。すぐにカルロを引き離すことが出来た。
クレベンナ町の城門のところまで来た。そして、門番に冒険者証を見せるとすぐに通してくれた。そうやって、薬草採取の森まで来たが、このような森の浅いところで薬草を採取していてもお金にならない。
マリーは気にせず森の奥へ入っていった。すると、薬草が面白いように取れる。このような森の奥までは新人冒険者は行かないようである。しばらく薬草採取をしていると、オークが出てきたが、氷魔法で瞬殺した。そして倒したオークはマジックバッグに入れた。
ギルドにもどって、採取した薬草と倒したオークを見せると受付嬢に驚かれた。そして、FランクからEランクにしてくれた。オークはかなりの金になった。これで当分何もしなくてもいい。
その後ギルドを出て宿を取った。宿は女性冒険者が多く泊まる宿にした。少し高いが安全には代えられない。そして宿の部屋に入って結界を張ってほっとした。これからどうするのか。そしてこの懐の爆弾をどうするか。これを考えることにした。




