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マリー伯爵令嬢の秘密、古代クレッセント王国の滅亡を阻止せよ ~ ロイマーナ王国編 ~  作者: @000ーooo


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2.国外脱出

 王都を脱出し、隠れ家で馬を手に入れたマリーは南へ向かった。南に向かう街道には、時々北に向かう避難民がいる。それらの避難民を避けながら進むのである。思ったよりも時間がかかる。


 時々マリーの馬を奪おうとするならず者もいて、戦闘になる。優しいことは言っていられないのである。向こうが力ずくでくるなら戦うだけである。マリーは大聖女、魔法の腕は確かである。風魔法で相手を傷つけずに退散してもらっている。というか単に吹き飛ばしただけである。


 そんなことをしていたら夜になった。1人での野営は危険である。マリーはそのまま夜通し馬を走らせた。馬が疲れてくると回復魔法かけながらである。そうして夜半過ぎには教会に着いた。


 教会はもぬけの殻のようだ。もう神父もシスターも逃げ出したようである。「誰にもに見つからずに日記を埋めるには返ってこの方がいい」と思った。


 教会の裏へ行くと、転生前の記憶の天使の像はなかった。つまりこのあたりは後で、掘り返される恐れがある。すると、クレッセント族の転生の秘密が他者に漏れる恐れがある。


 これは危険である。とにかくこの日記はマリーの集大成である。これが他者に奪われると、クレッセント族が転生するのを邪魔されるかもしれない。今回侵攻してくる遊牧民の国家がいつまで続くか分からないが、続かなくともその子孫がいる限りこの日記がその子孫に渡れば大変なことになる。


 そこで、この場所には日記の最後のページを破って、「王国歴321年8月30日、王国はもう数日で滅ぶであろう」と記載して、その紙を埋めることにした。そしてその紙には保存魔法は掛けずに掘り返して空気に触れると砂のように崩れ去るように破壊の魔法をかけた。


 そして庭の片隅を掘り返して、そこにこの紙を埋めた。掘り返した場所が分からないようにその上には近くにあった大きな石を乗せた。普通このようなことは何人もの人夫が必要になるが、大聖女であるマリーは魔法で簡単に来てしまう。


 それはよかったのだが、さて、そうなるとこの日記をどこに埋めるかハタと困ってしまった。転生後の世界まで持っていければいいのであるが、そんな事は出来ない。転生後に蘇えらせることが出来るのはあくまで魂だけである。品物は持っていけない。


 この日記を今ここで燃やしてしまえば簡単だが、せっかく作った日記である。それも忍びない。しかし、ここで時間を取られると遊牧民がやって来る。もうこのあたりの住民はすべて避難しているのである。残っているのはマリーぐらいである。


 どうするか迷ったが、日記を燃やすのは最後の時と思って、とにかく西へ向かうことにした。再び馬にまたがると、西へ向かって馬を走らせた。馬が疲れると回復魔法をかける。すると早い。


 明け方にはクレッセント王国と隣国との境界あたりに来た。しかし、そこには避難民が列をなしている。隣国としても、難民は受け入れたくないようである。入国審査を厳しくしたのと数が多すぎて手が回らないのと両方で、入国できない避難民が多数いるようである。


 マリーは偽の身分証も用意しているが、たぶん若い娘と見ればどうなるか分からない。魔法で無理やり通ることもできるが、大聖女とばれれば、遊牧民に追手を差し向けられる。


 今日は国境の検問所の手前で過ごすことにした。ここで夜まで寝て、夜になったら、馬で山道を行くことにした。


 道端でマントをかぶって寝た。馬も眠らせた。そして自分と馬に隠蔽の魔法をかけた。夜暗くなるとマリーは起き出してきた。


 初めての場所である。そして道なき道を行くのである。それも夜暗くなってからである。たいていの人なら道に迷うか狼の餌食である。しかし、やらないわけにはいかない、今遊牧民に捕まるわけにはいかないのである。


 覚悟を決めるとマリーは自分と馬に再び隠蔽の魔法をかけた。せめてもの保険である。そして、馬にまたがって、馬をゆっくりと歩ませた。今日は満月それもスーパームーンである。「スーパームーンの日にはクレッセント族の魔法は最大となる」その言い伝えを信じて後は山道を行くだけである。


 道なき道はそのうち完全に藪になった。草が倒れている所が獣道、たぶんこの馬なら通れる。時々遠くで狼の遠吠えが聞こえる。しかし、なぜか狼は襲ってこない。


 不思議と魔獣が襲ってこない。「襲ってくれば返り討ちだ」と思っているのだが狼もビッグベアもビッグホーンも襲ってこない。


 今日は満月、それもスーパームーンである。マリーの魔法は今最大である。魔法が最大ということは魔力も最大である。


 どうも気が張り詰めたために魔力が駄々洩れだったようである。マリーの魔力に恐れをなして魔獣は襲ってこなかったようである。


 しばらくしてマリーは国境を越えた。王国歴321年8月31日、マリーは住み慣れたクレッセント王国を後にした。そして隣国ロイマーナ王国に入った。

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