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マリー伯爵令嬢の秘密、古代クレッセント王国の滅亡を阻止せよ ~ ロイマーナ王国編 ~  作者: @000ーooo


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1.王都脱出

表紙作りました。

挿絵(By みてみん) 

「マリー伯爵令嬢の秘密、古代クレッセント王国の滅亡を阻止せよ」の続編です。元の作品は8000字以内というコンテスト応募用に作ったので、内容がかなりぶっ飛んでいたので、前作の内容を踏襲する形で作りました。

 EXCELに地名を書いた配置図を示します。距離はいい加減です。

挿絵(By みてみん)

 あと書いているうちに長くなったので、これだけで独立した小説とします。そのため続編はそのうち書くつもりです。表紙だけは作りました。

挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)

 クレッセント族の伝承には月の満ち欠けに伴う能力の変化がある。


 新月はニュームーン、始まりの日である。厳密な意味での新月は昼間しか見られないが、その日は前世の記憶をたどることが出来る。前世が魔法使いだったら、その記憶をたどることによって強力な魔法が使えるのである。


 そして、三日月はクレッセントムーン、この場合の三日月の日は三日目の日ではなく、新月後の日全般を指している。そして、この間は霊を感じることが出来る。さ迷える魂があればそれを浄化できるのである。


 さらに、満月、フルムーン、ここでは行使できる魔法力が最大となる。そしてその魔法力の増加分はスーパームーンやブルームーンの日は他の満月の日より3割増しになる。


 そして最大限の魔法を行使すれば魂を過去の世界に送ることができる。そして、魂は復活する。


 これが伝承のあらましである。


 マリーはクレッセント王国の第3王女である。そして強大な魔法が行使できる。そして彼女は王国では大聖女と呼ばれ慕われていた。しかし、その実態は転生者でもある。1000年後の未来から魂だけがクレッセント族の伝承に基づき舞い戻って来たのである。


 王国歴321年8月30日、王国は遊牧民の侵攻を受け滅亡寸前である。



 マリーは王都が陥落する直前に王都を脱出することにした。手にはこれまでのことを書き綴った日記を携えている。そしてその日記には1000年の時を越えても、腐らないように保存の魔法をかけてある。これを、王国のどこかに埋めるつもりである。


 王都を出ることは父である国王にも伝えることが出来なかった。国王は迫りくる敵に対して国軍の士気を高めるため城壁の上で国軍に檄を飛ばしていた。そんな中王族が王都を去るということが市民に知れ渡れば国軍の士気にも影響する。


 マリーは「城内の様子を見てくる」と言って王宮を出た。そして、王都の南門の近くのかねてから自分の脱出用に確保していた隠れ家に行くと、大聖女の白い衣装を脱ぎ捨ててみすぼらしい平民服を着た。さらにその上からローブをかぶって、魔法士の杖を持った。逃走用の金銭と食料と毛布などはあらかじめマジックバッグに入れて肌身離さず持っていた。


 また、顔に朝黒くなるよう墨を塗った。また今羽織った服にもところどころ泥を塗った。とにかくみすぼらしい貧民に見えなければならないのである。貴族に見えると捕まって遊牧民に売られるかもしれない。


 国軍が王都を最後の砦にすべく、立て籠もっている間にもこの国に見切りをつけて他国へ逃れようとする市民も多い。特に国をまたにかけて商売する商人などは早々に見切りをつけて、王都を出て行く。


 しかし、遊牧民の侵攻があまりにも早かったので、持ち出せる財貨はほとんどなく、着の身着のままで逃げ出そうとする商人も多い。


 そのような商人に紛れてマリーも王都を脱出することにした。付き従う護衛も、身の回りを世話するメイドもいない。そのような人がいればかえって危険である。すぐに貴族と分かってしまう。


 西門のところまで来ると、守衛に「何か聞かれるか」と思ったが、何も聞かれなかった。王都を出て行く人があまりにも多いので、守衛もいちいち気に留めないようである。そうやってマリーは王都を出た。誰にも告げずに、付き従う護衛もいない。一人で王都を出た。


 普通だったら、王都を出た避難民は遊牧民が迫ってくる南東の方向とは逆の北西の方向へ向かうのである。実際北西方向へは避難民の列が延々と続いている。


 途中まで、北西方向へ向かったマリーはそこで南の方向へ向きを変えた。南へ向かう避難民はいない。マリーはすぐに一人になった。そこで、ある家に入った。これもマリーがかねてから確保していた隠れ家である。そこには馬が2頭隠してある。馬の世話は奴隷にさせていた。


「ごきげんよう、ジル」

「マリー様、今日はどうしたのですか」

「今ここで、ジルの奴隷契約を解除するわ。この馬を1頭あげるから好きなところへ逃げなさい」

「マリー様は私のためにわざわざ来てくださったのですか」

「そうよ、ここにずっとしたら遊牧民が来て殺されてしまうわ」

「もう王都はダメなのですか」

「そうね。数日のうちに陥落すると思うわ」

「さすが大聖女様、私の様な者にも気に掛けてくれるのですね。でも、どこかへ行くなら私もお供しますが」

「私はまだやることがあるから、すぐにはいけない。あなただけでも逃げなさい」

「いいのですか。私だけ逃げても」

「いい。早くいきなさい。餞別にこのお金を上げるわ」


 そうやってマリーはジルに銀貨を20枚渡した。ジルはそれを受け取ると名残惜しそうにしていたが、マリーに急かされて隠れ家を出て行った。


 そしてマリーはまた一人になった。


 その後マリーは残った馬1頭にまたがると、南に向かった。王都の南の湖の近くに教会がある。その教会には教会の裏庭に天使の像がある。その近くに日記を埋めるつもりである。何故、そこに埋めようとしたかというと、マリーの転生前の記憶が正しければ、そこはマリーが5歳の時にスキル授けの儀式を受けた教会だと思ったからである。今はこれに賭けてみることにした。


 しかし、そこまでの道のりは、苦難の連続である。果たして遊牧民が来るまでにそこにたどりつけるのか、そして遊牧民に見付からずに日記を埋めることが出来るのか。すべては時間との勝負である。マリーは一路南へ馬を走らせた。

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