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マリー伯爵令嬢の秘密、古代クレッセント王国の滅亡を阻止せよ ~ ロイマーナ王国編 ~  作者: @000ーooo


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27.戦争の爪痕

 その後ロイマーナ王国軍はアーデシラ王国軍のいなくなったロイマーナ王国の北部の町に進駐したが、そこで見たものは、目を覆うばかりに惨状だった。破壊された城壁、壊された家々、累々と横たわる死体、目をそむけたくなるような惨状だった。


 抵抗した都市は徹底的に破壊されたようだ。かといって抵抗せずにすぐに降伏した都市が無傷だったかというとそうでもなかった。先ず金になりそうなものは根こそぎ奪われた。また、若い娘や技術者もそのまま奴隷として連れ去られたようだ。


 そのような都市を1つずつ解放していったが、このままでは住民が戻ってきても暮らせそうにない。国境付近の砦を復旧して、そこに軍を駐留した。


 つぎに、指揮官のアルマンド第1王子はアーデシラ王国に連れ去れたロイマーナ王国人の引き渡しを要求した。しかし、その回答は、なしのつぶてだった。


 なお、センセンチェリ平原で捕虜とした負傷兵2万人は奴隷として、破壊されたロイマーナ王国の北部の都市の復興に従事させることにした。その捕虜と交換に連れ去られた住民の返還を要求したが、これもなしのつぶてだった。


 北部の人々には「アーデシラ王国に侵攻すべき」という意見もあったが、実際それは不可能に近い。アーデシラ王国に侵攻した場合は補給が続かない。それに戦争の場所が平原となってくる。平原での大規模な騎兵戦はロイマーナ王国には経験がない。それに大規模な騎兵をそろえるだけの馬がロイマーナ王国にはいない。たぶん平原で決戦に望めばロイマーナ王国は完敗する。


 結局アルマンド第1王子は国境の砦を補強しそこに駐留軍を配置すると、王都へ戻ることにした。このままここに大軍を維持すると、動員した兵士の給料は無給としても、食料代や馬の維持費がかさむ。


 今回動員した兵は5.7万人である。必要な食料が1人1日1kgとすると1日5.7万kgすなわち、1日57tの食料が必要である。1か月だと1710tである。小麦の価格をt当たり金貨20枚(1kgで小銀貨2枚→10kgで銀貨2枚→100kgで金貨2枚)とすると、1か月で金貨約3.4万枚である。


 また馬も金食い虫である。馬が1日20kgの水と15kgの飼い葉を必要とすると、今回1.5万頭の馬を連れてきた。すると水は1日300t、飼い葉は225tとなる。1か月だと、水は9000t、飼い葉は6675tとなる。水は運搬費用だけだが、飼い葉を仮にt当たり金貨1枚(1kgで小銀貨0.1枚)とすると、1か月で金貨約0.7万枚となる。


 合わせると1か月に金貨約4万枚である。とてもここでこのまま軍を維持する訳には行かない。


 王国軍が王都へ引き返すと言うと、ここに領地をもつ貴族たちが猛反対した。しかし、彼らに軍の駐留経費を持てるかというと、それは不可能に近い。とにかくこの地方は徹底的に破壊されて住民の生活さえままならないのである。たぶん軍が引けば、南へ避難した住民は戻ってこないだろう。そんなところから税収が上がるはずがない。


 王国軍の撤収に合わせて、一緒に従軍した領主軍も帰ることになった。公爵軍が久しぶりに領都クレベンナ市に戻ってきた。これでやっと、また、親子で暮らせる。マリーは軍が帰って来るのを城門のところまで迎えに行った。


 長男フィリベルトを抱いたマリーを見つけると夫アントニオが駆け寄ってきた。そして、マリーの手から長男フィリベルトを受け取ると嬉しそうに頬ずりした。

「無事戻ってこられた」

「お役目ご苦労様です。こちらは変わったことはありません。領都クレベンナより北の地域の復興はこれからですが、計画では3年ほどで復興できます」


 するとアントニオが目を見張った。

「そんなに早く復興できるのか」

「はい。国王様が今回被害を被った地域の貴族家の税を免除してくれました。その資金を復興に当てます。そして、この地域で新しい農法を展開します。これで農地の生産力が上がります。これが上手くいけば今回被害を受けなかった領都よりも南の地域にもこの農法を普及させます。詳細は後程館に戻ってからご説明します。もう公爵様の了解は得ております」


 マリーはこの地域の復興にマリーの1000年後の前世の知識を用いることにした。もうなり構っていられない。ここで公爵家が亡ぶとマリーの日記を託す子孫がいなくなってしまう。

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