17.王族との話
国王一家への挨拶にクレベンナ公爵家一行は王宮をとずれた。国王一家との会談は和やかな雰囲気で進んで行く。
第1王子が
「結婚は俺の方が早かったけど、子供は先をされたな。俺の子供は生まれてない。妻のベルティーナは今妊娠中だが、だいぶ苦しそうだ。今回もだめかもしれない。結婚もしていないアントニオがまさか子供を作っていたなんて思わなかった」
すると第2王子が
「俺も早く妻を見つけないといけない。妻になりたいと言ってくる令嬢は沢山いるが、たぶん彼女達では子供は出来ない」
「マリアさんは子供を身ごもった時、苦しくなかったか」
「私は妊娠中はこれといった苦痛は有りませんでした。それは多少のつわりは有りましたが、安定期に入ってからは元気なものでした。いつもの様にポーションを作ってそれを売って暮らしていました」
「そうなのか。マリアさんは妊娠中も苦しくなかったのか。失礼ですが、妊娠中は世話をしてくれる次女とかメイドとかはいなかったのですか」
「私は、6歳の奴隷の女の子を買って、その子に身の回りのことをしてもらいました。といっても出産間際になってからで、それまでは普通に生活していました。それにポーションを作らないと生活費が得られませんから、月に中級ポーションを100本作ってそれを売って暮らしていました」
「そうなのか、マリアさんは王家の子を身ごもっても体はなんともなかったのか」
「私は、この子供が特別とは思っていませんでした。フィリベルトが生まれたら、出産を手伝ってくれた大家さんが紫の目を見て王家の子供でないかと騒ぎ出した時に初めてこれは大変なことになったと思いました」
「マリアさんは紫の目のことは知らなかったのですか」
「はい下賤の生まれですから」
「下賤といっても、その仕草と言葉使い、絶対に貴族だと思うけど」
「私の生まれは何卒、ご容赦願います」
すると、アントニオが
「妻の生まれは内密でお願いしたい。何か特別の事情をかかえているみたいだ」
すると、国王が
「そうだな、詮索するのはやめておこう」
その言葉で、マリアは解放された。
第1王子が
「マリアさんはポーションを作れるのですよね」
「はい、大抵のポーションが作れます。傷用ポーション、毒消し用ポーション、それに体が弱った時の体力回復用ポーションまで作れます」
体力回復用ポーションと聞いて、第1王子が反応した。
「私の妻にも、体力回復用ポーションを作ってくれないか」
「分かりました。後で第1王子妃の状態を確認させてもらえれば状態に合わせたポーションを作ります」
「後で妻を紹介するので、妻の状況を見てポーションを作ってもらえないだろうか」
「分かりました。第1王子妃用にポーションを作ります。私のマジックバックにはポーション作成の用具と薬草が入っていますので、いつでも作れます。しかし、症状によっては足らない薬草もあるかもしれませんので、その場合は後日となります」
「感謝する」
すると国王陛下が
「これで、王家の証である紫の目を持つ者は6人になったわけだ。若し第1王子の子供が生まれたら7人になるわけだ。喜ばしいことだ。」
この言葉にマリアは驚いた。すると、国王が
「マリアさんは驚いているようだが、私たち王族は子供が生まれにくい。特に紫の目を持つものは少ない。私の子供は3人いるが、紫の目を持つものは第1王子と第2王子だけだ。側室が産んだ王女は青い目をしている。
弟のフェルディナンドは子供はアントニオだけだ。アンジェラ殿に遠慮して側室を持っていないので、もう子供は生まれないだろう。だから、今回王家の証である紫の目をした子供が生まれたことは大変うれしい」
それからとりとめのない話の後、公爵様が
「私たちが王都へ来る途中、賊に襲われました」
と言った。
すると、国王が
「たぶんあれは、クレッセント王国を亡ぼした遊牧民が放った刺客だ。遊牧民を率いているのはアーデシラという男だそうだ。それで最近は自分たちのことを、アーデシラ王国と名乗っているそうだ。そして、ロイマーナ王国を混乱させるために各地に刺客を放っているようだ。襲われた貴族も多い」
「何とかならないのですか」
「難しい。討伐隊を差し向けるとすぐに違う場所に行ってしまう。神出鬼没だ。それとここだけの話だが、ロイマーナ王国北部へ大規模な侵攻を計画しているようだ。そのために兵を準備しているという情報もある。今それに対抗するために準備しているところだ。王家からも第1王子が出る。それでアントニオにも出陣してほしい」
「わかりました。私で役に立てることが有れば」
クレッセント王国を亡ぼした遊牧民はロイマーナ王国にも侵攻してくるようである。危機感を覚えるマリーであった。




