16.王宮への参内
その後は賊に襲われることなく公爵家の一行は5日後には王都に着いた。なお、捕まえた賊の一人は頑として口を割らなかった。そこで、途中の貴族家に預けて引き続き尋問してもらうことにした。
また、マリーの強さを知った公爵夫人も何も言わなくなった。公爵夫人のメイドはマリーを見るとおびえるようになった。
マリーは王都ロイマーナは初めてである。前世の記憶を探ってみてもロイマーナに来たことがない。城門を過ぎたあたりから、周りの景色に見とれている。
どれぐらいの人がいるのだろうか、道はかなり広いがそこをいっぱいの人が歩いている。そんなマリーを公爵夫人が冷めた目で見ているが、マリーの強さを知った今となっては何も言わない。
そして公爵家一行は王都の公爵邸に着いた。次の日は王宮への参内である。あらかじめ参内の伺いは出してあったようである。
王宮の門をくぐると、普通の貴族はそこからは歩きだそうだが、公爵家の馬車はしばらくそのまま進んだ。そしてひと際立派な建物の前で止まった。なお、護衛は王宮の門をくぐった時点で待機となっている。
そこには、1人の男が部下を従えて待っていた。マリーはこの国の王宮のことは知らない。たぶん王族に仕える事務官だと思うがよくわからない。公爵も何も言わない。
ここで、武器はその事務官に預けるそうである。マリーの場合武器はすべてマジックバッグの中である。アントニオ様にどうすればいいか聞いたところ、「マジックバッグごと預けるべき」と言われたので、マジックバッグをその事務官に預けた。このマジックバッグは使用者制限が着けてあるのでマリー以外には使えない。問題はないのだが、武器がないというのは不安である。
そして、事務官に連れられて、連れて行かれた場所は、宮殿の奥の離宮だった。そこには公爵様とよく似た顔の男の人とその夫人そしてたぶんその息子と思われる若者が2人いた。すると公爵様が
「ご無沙汰しております。アルフィオ兄上。そしてアリーチェ王妃様、アルマンド第1王子様、カルメーロ第2王子様」
どうもこの人たちはこの国の国王とその家族のようだ。
「よく来たな、フェルディナンドそれにアンジェラ殿。アントニオ、元気にしていたか。お前もやっと結婚したそうだな。王宮に上がってきた書類にいきなり婚姻の許可伺いと長男の出生届けがあって驚いた。やる時はやるのだなと思った」
「すいません叔父上。婚姻と出産が一緒になって」
「まあ良い。それでその女性がお前の妻か」
「はい、こちらが私の妻のマリアです。そして妻の抱えている子が長男フィリベルトです」
「ようこそ。マリアさん。そしてフィリベルト君、君たちを歓迎しよう」
「お初にお目にかかります。国王陛下。王妃様、それに第1皇子様、第2皇子様。マリアと申します。私のような下賤の者をアントニオ様の妻として認めていただいて感謝します。また、私の産んだフィリベルトも同様に歓迎してくださって感謝します」
「中々利発そうな女性だな。アントニオもよい伴侶を見つけたものだ。そしてその子が生まれた長男か。その子供をよく見せてくれ」
そう言われてマリーがフィリベルトを国王のところへ連れて行くと
「確かに金髪の髪に紫の目、まぎれもない王家の証だな」
マリーはそこで気になった。どうして紫の目が王家の証なのか不思議でならない。マリーが不思議そうな顔をしていると国王が
「王族は魔力量が多い。だから、目の色は紫色になる。これが、魔力が少ないと紫が薄くなる。それに、魔力が少ない人との間には子供が出来ない。アントニオは魔力が多い。だからアントニオの妻探しは難航していたのだ。
魔力量が少ない人と結婚すると子供が出来ないからな。それが、1度の交わりで子供が出来たのだから、それにフィリベルトの目の色は完全な紫、たぶんかなりの魔力量だと思う。ひょっとするとアントニオより魔力量が多いかもしれない。」
どうも、国王一家はマリーが王家の証である紫の目の子供を産んだことを歓迎しているようだ。それに、マリーの結婚も歓迎しているようだ。ほっとするマリーであった。




