15.王都への道中の襲撃
マリーの夫人教育が順調に進んだことから、一度王宮に行って、国王にマリーを紹介すると、公爵様が言い出した。その場合生まれたばかりのフィリベルトをどうするか問題になった。
マリーとしては、この敵だらけの家にフィリベルトを置いていくことはできない。そこでフィリベルトも連れて行くと強硬に主張した。
すると公爵様も王家の瞳を持つフィリベルトを連れて行くと国王様も喜ぶだろうということで許可してくれた。
こうして、クレベンナ公爵家の王都行が決定した。王都へ行くのは公爵様にその夫人、それにアントニオ様にマリーとフィリベルトそれにメイドである。マリーはメイドはカーラを連れて行くことにした。アンナとカリーナはあまりマリーに従順でないので、いてもあまり役に立たない。むしろカーラの方が役に立つ。
王都までは馬車で5日である。前回シァルナからクレベンナに来た道を今回も通る。また襲撃がないか不安である。そこで公爵様は護衛を30人にした。前回より10人多い。しかし、マリーは公爵家の従士はあまり強くないと思っている。
前回襲撃された時もあまり役に立たなかった。前方に見通しの悪いところがあれば当然警戒すべきである。しかし前回は同じように進んで行って弓矢で負傷した。マリーがポーションを持っていなかったら、従士の何人かは死んでいたと思う。
前回襲われたところの近くに来たので、マリーは
「前回は、もう少し行ったところで賊に襲われました。少し確認してもいいですか」
すると、夫人は
「そんなことは護衛に任せておけばいい」
しかし、マリーは
「ここで襲われると、王都には行けませんよ。時間は取りませんから」
そう言って、馬車を止めてもらい、馬車の外に出た。フィリベルトを入れた籠はアントニオ様に預けた。馬車の外に出ると、マジックバッグの中から弓を取り出すと、前回弓兵がいたあたりをめがけて強く弓を引き絞った。そして矢を放った。矢は連続して10本放った。そしてその矢を風魔法で遠くの斜面に飛ばした。
矢が斜面の茂みの中に消えていくと、
「うわー」
男たちの叫び声がした。
そして斜面を駆け下りてくる騎士がいる。前回は1人だったが今回は5人である。マリーはその騎士めがけて矢を連続して10本放った。矢は駆け下りてくる騎士めがけて飛んでいった。
1本目の矢は騎士が剣で防いだが2本目の矢は騎士の肩に当たった。そして矢の当たった騎士は落馬した。3本目の矢は隣の騎士の馬の尻に当たった。すると馬が大きく跳ねて騎士が落馬した。4本目の矢も馬に当たった。そして騎士が落馬した。
しかし、それ以外の矢は騎士にも馬にも当たらなかった。そして騎乗した2人の騎士がそのまま突っ込んできた。公爵家の護衛が馬車を守るように周りを固めた。
しかし、騎士は馬のスピードを緩めずに真っ直ぐ馬車に向けて突っ込んできた。1人の騎士は周りを固めた従士によって止められたが、1人の騎士が公爵家の従士の守りを突破してマリーに向けて突っ込んできた。
マリーは手にした弓を捨てるとマジックバッグから槍を出して、その騎士の馬に向けて投げた。槍は馬の胸に当たった。すると、馬が倒れ込んで乗っていた騎士は前のめりに放り出され地面を転がった。マリーは転がってきた騎士にマジックバッグから出した剣でとどめを刺した。
後の処理は公爵家の護衛に任せて、馬車に戻ると公爵夫人が震えている。公爵夫人のメイドも同様である。声も出ないようである。公爵様が
「よくあの斜面の賊が潜んでいるとわかったな」
「分かったわけではありません。前回もあの斜面だったので、今回は確認のために矢を放っただけです」
「それにしても矢とはあんなに遠くへ飛ぶものなのか」
「この弓は特別製ですから」
敢えて風魔法を使ったとは言わなかった。手の内は秘密にした方がいい。
公爵家の護衛が賊の体を調べたが、身分を証明するものは何も持っていなかった。一番偉そうな賊を残して後は体を拘束して転がしておくことにした。血の臭いに引き寄せられてすぐに狼がやって来る。そしてこれらの賊を処分してくれる。公爵家の一行は急いでその場を後にした。




