10.新しい町とマリーの妊娠
クレベンナの町を出たマリーはそのまま東へ向けて街道を進んだ。途中の村で1泊し、次の日の夕方フィローレの町着いた。ここはこの地方の中心都市みたいで、かなり大きな町である。ここならマリーは身を隠すには十分だと思った。あまり小さな町だとすぐに身バレしてしまう。
夕方門が閉まる前に市内に入ることが出来た。そしてそのまま真っ直ぐ冒険者ギルドに行った。そこで冒険者証の変更を行った。一応拠点をこの町にするためである。そこで、この町のことを聞いた。
「この町はいい街ですよ。気を付けることは特に貴族とは関わり合いにならないことですね」
あまり詳しいことは教えてくれなかったが、この町の貴族はフィローレ侯爵といって、あまり評判がいいようではないようだ。こんな噂でも侯爵の耳に入ると罰せられるそうだ。
「それと、若い娘は特に気を付けた方がいい。町中を歩くときはフードをかぶってできたら顔に墨でも塗った方がいい。町中で若い娘を見かけると、直ぐに妾になれと言ってくる」
ここまで聞いてマリーは次の町に行くことにした。その日はギルドで教えてもらった宿に泊まった。そして次の日また馬で町を出た。
そして、馬で街道を今度は南に向かった。そして夕方にはシァルナの町に着いた。そしてこの町で昨日と同様、冒険者ギルドに行って、この町のことを聞いた。
「この町はいい街ですよ。この町の領主はシァルナ伯爵で領民にも慕われています」
「この町で特に気を付けることはないですか」
「そうですね。これと言って思いつきませんが、他の町でも同じだと思うのですが、貧民街や狭い路地には入って行かない方がいいです」
「ありがとうございます」
そのあと、宿を紹介してもらって宿に入った。マリーはこの町にしばらく落ち着くことにした。次の日には乗ってきた馬を売りに行った。馬は厄介である。飼い葉がいるし、世話もしなければならない。それに泊まれる宿も限られてくる。
その後、マリーはギルドで魔獣討伐の依頼を受けた。ここへ来るまでのかなりのお金を使ったので、しばらくは稼ぐことにした。マジックバッグを持っていることから討伐系でもオークなど倒した魔獣を売れる依頼を好んで受注した。
そうやってシァルナの町に来て3か月ほどしたら体の異変に気が付いた。クレベンナの町を去る最後の夜にアントニオに抱かれた時に子供が出来たのかもしれないと思った。子供は産むことにした。子供が出来ればマリーが抱えている爆弾(日記)を子供に託すことが出来る。そして将来クレッセント族の転生者が現れた時に渡してもらえればいい。
しかし、子供が出来るとこれまでの冒険者活動が出来ない。特に子供が生まれる産前と生まれた後の産後は1人では不安である。そこで、マリーは奴隷を買うことにした。また、これまでの宿から町中に部屋を借りることにした。
部屋はギルドに紹介してもらった不動産屋に行くとすぐに見つかった。本当は1階がよかったのだけど、あまり狭い路地に入って行くのは不安である。そこで、中央広場に近いすこし路地を入った所の1階が商店になっている家の3階に空き部屋があったのでそこにした。大家さんはその店のオーナーだった。その家にはほかにも家族連れが入居していたので治安も問題ないと思われた。
次に奴隷商のところに行った。これも冒険者ギルドで紹介してもらった。奴隷商は市内の中央通りにあった。奴隷商の門をくぐって、「冒険者ギルドで紹介されてきた」というと、とたんに奴隷商は笑顔になった。冒険者でも実力を補うのに奴隷を購入することが有るそうだ。
「今回はどのような奴隷を希望で」
「身の回りの世話をしてくれる奴隷がほしい。文字は読めなくてもいい。出来たら安い女の子がいい」
そう言うと奴隷商は奥へ入って行って、3人ほどの5歳から7歳ぐらいの女子を3人連れてきた。マリーはその中から一番おとなしそうな子を選んだ。名前はカーラ6歳、農家の娘で口減らしに売られたそうだ。
これで住むところと世話をしてくれる奴隷は確保した。後は収入をどうするかである。




