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お菓子とあなた  作者: シロ
第三章 チョコタルトと本当の約束
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第25話 決意とためらい

時計を見ると、もう少し眠れる時間だった。


でも、昨日より頭が軽い気がした。


......ちゃんと、言わないと。


そう思った瞬間、胸の奥がきゅっと締まった。


もし、嫌だって言われたら――


そこまで考えて、頭を振った。


少しだけ、胸の奥が落ち着かなかった。


なんとなく、枕元のぬいぐるみを触った。


しゅんくんが、近くにいてくれるような気がした。


それだけで、少しだけくすぐったかった。




鏡の前で、いつもより念入りに、髪の毛がおかしくないか確認した。


少しでも、しゅんくんに......


いつの間にか、櫛を持つ手に力が入っていた。


身支度が一段落して、冷蔵庫を開けた。


パウンドケーキが、少しだけキラキラしている気がした。


そっと取り出して、手のひらに乗せた。


しゅんくんに、おいしいって、また食べたいって言って欲しいな。


それで一緒に――


そのために、ちゃんと伝えないと......


胸の奥がそわそわして、落ち着かなかった。


袋に入れて、ゆっくりとバッグに入れた。


いつもより、バッグが重い気がした。


もう一度、鏡の前で確認して、息を小さく吸った。


そのまま、家を出た。




何度も歩いた道なのに、足元がおぼつかなかった。


すると、さきちゃんの声が聞こえた。


「あ、まいちゃん。おはよ~。LINE見た?」


その声で、足が止まった。


一瞬、言葉が出なかった。


「......おはよ」


スマホを見ると、さきちゃんから「今日も一緒に行こ~」と来ていた。


それに、一昨日と昨日も「何でも言ってね」と来ていた。


胸の奥が、じんわりと温かくなった。


「ごめん......見てなかった......」


少しだけ、声が小さくなった。


私の顔をじっと見てから、さきちゃんが言った。


「別にいいよ~。行こっか」


そのまま、さきちゃんと一緒に学校に向かった。


いつもは、さきちゃんから話しかけてくれるのに、何も言ってこなかった。


「......あのね、さきちゃん」


いつの間にか、足が止まっていた。


喉が、少し乾いた。


さきちゃんも足を止めて、私の顔を見ていた。


さきちゃんの目が、優しかった。


それだけで、少しだけ息がしやすくなった。


小さく深呼吸をして、口を開いた。


でも、すぐに言葉が出なかった。


「......このままじゃ、だめな気がして」


心臓の音が、早くなっていた。


「しゅんくんに――」


一瞬、声が出なくなった。


バッグを肩にかけなおした。


「......ちゃんと、伝えようと思う」


ゆっくり頷くと、さきちゃんが言った。


「......そっか」


それだけだったけど、さきちゃんは笑っていた。


気がつくと、肩の力が少しだけ抜けた。


でも、心臓はうるさいままだった。




学校に着くまで無言だったけど、不思議と落ち着いた。


教室の前でさきちゃんと別れて、教室の扉の前に立った。


扉に手を伸ばそうとして、一瞬止まった。


しゅんくんの声が、聞こえた気がした。


それだけで、胸の奥が強く鳴った。


静かに息を吐いて、手に力を込めた。


教室に入ると、自然としゅんくんを探していた。


今日も、楽しそうに三人で話していた。


しゅんくんの笑顔が眩しかった。


それだけで、少しだけ安心できた。


教室の入り口で立ち止まっていると、しゅんくんと目が合った。


その瞬間、心臓が強く跳ねた。


何か言わないとと口を開いたけど、うまく声が出なかった。


目を逸らしたいのに、逸らせなかった。


すると、しゅんくんが口を開いた。


「まいちゃん、おはよ!」


一瞬、何も言えなかった。


口から空気が漏れ出る音だけした。


「......おはよ」


やっと、それだけ言えた。


しゅんくんは、いつもみたいに笑っていた。


嬉しいのに、苦しかった。


しゅんくんから目を逸らして、私の机に向かった。


鈴木くんの、「お前、何かしたか?」って声が聞こえた気がした。


しゅんくんが、困ったように、少しだけ笑っていた気がした。

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