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お菓子とあなた  作者: シロ
第三章 チョコタルトと本当の約束
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第24話 距離と言えない想い

授業に集中しようとしても、先生の話がよくわからなかった。


ふと、さっきのしゅんくんの顔を思い出して、息が詰まった。


忘れたいのに、忘れられそうになかった。


もう少しで授業が終わるのに、ノートの空白の部分が多かった。


書こうとしても、うまく手が動かなかった。


気づくと、みんなが帰る準備をしていた。


私も帰る準備を始めたけど、身体が思うように動かなかった。


しゅんくんの声が聞こえた気がして、身体が固まった。


顔を上げると、しゅんくんたちが、いつもみたいに話していた。


楽しそうなのに、私の居場所がなかった。


「また来週」って言っちゃうと、もう会えない気がして、何も言わずに教室から出た。


気がつくと、バッグを、強く握っていた。


手が、少しだけ震えていた。




昇降口に向かいながら、「先に帰るね」とさきちゃんに送った。


うまく話せる気がしなくて、嫌なことを言いそうで怖かった。


下校中も、お昼休みのことを思い出してしまった。


そのたびに、歩くのがぎこちなくなった。


......いなくならないで欲しい。


しゅんくんと、一緒にいたい......


そんな自分勝手な自分が、嫌だった。


それでも、そう思ってしまった。




気がつくと、部屋が暗くなっていた。


帰ってから何をしていたのか、よく覚えていなかった。


電気をつけると、枕元のぬいぐるみが目に入った。


お昼休みのときの顔を思い出して、息が苦しくなった。


あの帰り道のことが、頭に浮かんだ。


......しゅんくんは優しいから、私にも優しいだけなんだ。


だから、他の子にも、ぬいぐるみを......


......私だけ、じゃないんだ。


そう考えたくないのに、お昼休みや帰り道のことが頭から離れなかった。


考えたくないのに、やめられなかった。


夜ご飯を食べていると、ママに「大丈夫?」と聞かれた。


思い出した瞬間、箸が止まった。


でも、「なんでもない」としか答えられなかった。


シャワーを浴びても、胸の奥は重いままだった。


布団に入っても、考えないようにしたけど、無理だった。


目を閉じると、しゅんくんの笑顔を思い出して、胸の奥がぎゅっと締まった。




窓から入る朝日で、目が覚めた。


身体が重くて、頭もぼんやりしていた。


時計を見ると、いつもなら朝ごはんを食べる時間だった。


......お休みだし、もう一回寝ようとした。


眠ろうとしても、何度もしゅんくんの優しさを思い出してしまって、眠れなかった。


諦めて、宿題を机に開いた。


いつもならスラスラ解けるはずなのに、数式が頭に入ってこなかった。


シャーペンが止まると、しゅんくんとの楽しかった記憶が浮かんだ。


さっきよりも、少しだけ苦しかった。




気がつくと、窓から入る光がオレンジ色に変わっていた。


昨日から苦しいのに、慣れそうになかった。


「......どうしたら、苦しくなくなるんだろう」


答えてくれる人がいないのに、口に出ていた。


しゅんくんと関わらなければ......


そう考えた瞬間、胸の奥がズキッと痛んだ。


「やっぱり......一緒にいたいな......」


思わず、口に出ていた。


少しだけ、胸の奥が温かくなった気がした。


でも、しゅんくんは......


ふと、しゅんくんに「一緒にいたい」って言おうかと思い浮かんだ。


でも、それって......


心臓の音が、少し早くなった。


......そうすれば、ずっと一緒にいられるし。


でも、しゅんくんの声で断られたら......


息がうまくできなくなった。


そうなると......もう、隣にいられないかもしれない。


話しかけても、くれなくなるかも......


胸の奥が、ぎゅっと痛んだ。


でも、言わないといなくなっちゃうし......


頭の中ぐちゃぐちゃで、もう、よくわからなかった。


ただ、怖かった。


それなのに、やめられなかった。

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