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お菓子とあなた  作者: シロ
第三章 チョコタルトと本当の約束
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第22話 プリクラと距離

鈴木くんと斎藤くんが格闘ゲームをしている横で、さきちゃんが口を開いた。


「さっき二人には聞いたんだけどさ、まいちゃんと谷口くんは、プリでどんなポーズやりたい?」


「あれ、あの合わせるやつやりたい!」


さきちゃんは少し考えてから言った。


「......猫とかハートの?」


「そう!それ!」


......しゅんくんと、ポーズ。


心臓の音が、少し早くなった。


しゅんくんの顔を見上げた。


......いいな。


でも、前はさきちゃんが隣だったし......


頭を振った。


......やっぱり、やりたいな。


「まいちゃんはある?」


さきちゃんを見ると、じっと見られていた。


......しゅんくんと、やりたいな。


でも、隣じゃないし......


「......みんなが好きなのでいいよ」


「そっか。りょ~かい」


さきちゃんに見透かされている気がして、少しだけ苦しかった。




対戦が終わると、さきちゃんが口を開いた。


「それじゃ~、プリ行こっか。ポーズは合わせるのにしよ~」


「......合わせるのってどんな?」


鈴木くんが、さきちゃんに目を向けた。


「んーとね。虫歯ポーズとかって聞いたことない?こんなの」


そう言って、さきちゃんは片手を頬にあてながら続けた。


「二人で合わせると、手で挟んでるみたいになるの」


「あ~。この前の片手バージョンか。理解」


「あとはハートと――」


ポーズを取りながら、「こんな感じ」と軽く合わせてみた。


確認が終わると、私たちはプリクラの機械に向かった。




プリクラの機械の前に着くと、鈴木くんが口を開いた。


「なー、今日は前と後ろ、グッチョで分けねえか?」


「いいね~」


すぐに、さきちゃんが答えた。


手を出す瞬間、さきちゃんが鈴木くんと斎藤くんを見た気がした。


私は、しゅんくんと同じ手を出していた。


「うん。それじゃ、まいちゃんと谷口くんが前で、私たちは後ろかな」


さきちゃんの声が、どこか遠くで聞こえた。


......しゅんくんの、隣?


さっきまで、いいなって思ってたのに......


プリクラの中に入る足が、少しだけ重かった。




椅子に座ると、しゅんくんが隣に座った。


......近い。


さきちゃんのときは、気にならないのに......


思わずしゅんくんから離れようとしたけど、隙間がなかった。


......匂い、大丈夫だよね。


それに、ちゃんと笑えるかな......


気づくと、プリクラの画面が切り替わった。


「それじゃ、虫歯ポーズからいくよ~」


さきちゃんの言葉に従って、みんなでポーズを取った。


すると、さきちゃんが画面越しに見ながら言った。


「まいちゃん、もうちょっと真ん中寄って~」


一瞬、身体が止まった。


「3・」


カウントダウンが始まった。


急いで、真ん中に寄った。


しゅんくんの匂いが、少し強くなった気がした。


さっきから、心臓うるさい......


......しゅんくんに、聞こえてないよね?


そっと、しゅんくんの顔を見上げようとした瞬間――


パシャッ


「次はハートね~」


さきちゃんの声に従って、ポーズを取った。


片手でハートの半分を作っていると、しゅんくんの手が近づいてきた。


指先まで、動かなくなった。


触れてないはずなのに、少し熱かった。


......大きい。


シャッター音が、鳴った。


「それじゃ~、次は――」




いつの間にか、落書きの時間になっていた。


画面には、違うところを見ている私が何枚も映っていた。


うまく、笑えてなかった。


いつの間にか、鼓動が落ち着いていた。


それなのに、胸が苦しかった。


消したい......


見て欲しくない......


そっとしゅんくんを見上げると、いつも通り、楽しそうに笑っていた。


なぜか、目を逸らしたくなった。




プリクラも、やっぱり同じだった。


気がつくと、ため息が出ていた。


「まいちゃん、どうかした?」


心臓が、強く跳ねた。


顔を上げると、少し心配そうな顔を、しゅんくんがしていた。


「......な、なんでもないよ」


すると、さきちゃんも話に混ざってきた。


「どうかした~?」


一瞬、私の手を見た気がした。


さきちゃんは小さく頷くと、続けた。


「谷口くん、今日のプリはどうだったかな?」


顔を見るのが怖くて、視線を落とした。


気がつくと、指を強く握っていた。


......私、変だったし。


きっと――


「楽しかった!」


思わず、しゅんくんの顔をじっと見た。


いつもの笑顔だった。


胸の奥が、少しだけほどけた。


「そっか。それじゃ~このプリ、どう思った?」


そう言って、さきちゃんがしゅんくんにプリクラを見せた。


とっさに足が動いたけど、さきちゃんに手で止められた。


しゅんくんが、じっと見た。


......そんな、見ないでよ。


さきちゃんを少し睨んでいると、しゅんくんが口を開いた。


「いいと思う!」


「だよね。かわいいよね?」


「うん!かわいい!」


心臓が、びくっとした。


......そんなはず、ないのに。


しゅんくんの顔が、キラキラして見えた。


胸の奥が、ぎゅっとした。


手の中のプリクラが、少しだけいいと思えた。

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