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お菓子とあなた  作者: シロ
第三章 チョコタルトと本当の約束
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第21話 約束と格闘ゲーム

「今日はどう周るの~?」


さきちゃんの声に顔を上げた。


教室は、お昼休みで少し騒がしかった。


周りの声が混ざっているのに、しゅんくんの声だけやけに耳に残った。


「あー......どうすっかな」


しゅんくんは、腕を組んで少し考えていた。


「なら、またプリ撮ろ」


一瞬、さきちゃんと目が合った。


昨日のさきちゃんの言葉を思い出して、頭を振った。


......たぶん、冗談のはず。


......隣で、か。


心臓の音が、うるさかった。


気づくと、話はもう決まっていた。


「それじゃ、ゲームやってからプリクラでいいか?」


鈴木くんが、みんなにそう聞いた。


「おう!」


しゅんくんの笑顔が、眩しかった。


ずっと見ていたかったのに、目を逸らした。


ふと、さきちゃんに見られている気がして、気まずかった。




放課後、昇降口でみんな揃うと、さきちゃんが口を開いた。


「それじゃ、行こっか」


歩き始めて少しすると、さきちゃんが鈴木くんと斎藤くんに声をかけた。


「......聞きたいことあるんだけど、いいかな?谷口くんは、まいちゃんと話してていいよ」


「わかった!」


そう言って、しゅんくんが隣に来た。


胸の奥が、少しだけ苦しくなった。


......離れたい。


でも、変に思われたくないし......


「まいちゃんは格ゲーやったことある?」


......そういえば、お昼休みに言ってたっけ。


「......ないよ」


ちょっと、怖いし......


「なら、俺が教えてあげる!楽しいから!」


しゅんくんの笑顔に、ドキッとした。


少しだけ、楽しみになっていた。




ゲームセンターに入ると、独特な機械音が少しうるさく感じた。


そのまままっすぐ、格闘ゲームがあるところに向かった。


店内の隅に着くと、しゅんくんが鈴木くんを見ながら口を開いた。


「よし、一戦やろう!」


「はいはい。嵌め技なしでな」


そう言って、二人が座った。


しゅんくんはキャラを決めると、腕まくりをした。


対戦が始まると、画面の中で、二人のキャラが技を次々と出していた。


しゅんくんの指は次々とボタンを押していた。


「......すごい」


思わず、口に出ていた。


なんとなく、しゅんくんの横顔を見た。


思わず、息をするのを忘れた。


いつもと違う、真剣な表情だった。


......こういう顔も、するんだ。


それが少し嬉しくて、画面よりしゅんくんの横顔に目が行っていた。


すると、しゅんくんが笑顔になった。


「よっしゃ!」


そう言って、ガッツポーズをした。


「お前強すぎ。もっと縛るべきだったか......」


鈴木くんの声が、どこか遠くで聞こえた気がした。


しゅんくんと鈴木くんが少し話すと、しゅんくんが振り返った。


バッチリしゅんくんと目が合って、すぐに目を逸らした。


......ずっと見てたの、気づかれてない、よね。


「まいちゃんもやってみる?」


少し考えていると、さきちゃんが口を開いた。


「せっかくだし、やってみたら?」


さきちゃんに背中を押されて、格闘ゲームの前に座った。


なんとなく、画面よりも隣の気配の方が気になった。


「初めてなら、練習のがいいかな。ちょっとごめんね!」


そう言って、しゅんくんが身を乗り出した。


思わず、息を止めた。


一瞬、しゅんくんの匂いがした。


胸の奥が苦しいのに、なんとなく、じんわりした。


「はい。これでできるよ」


しゅんくんの声が、いつもより近かった。


口をなんとか動かして、答えた。


「......ありがと」


画面を見ると、たくさんのキャラが映っていた。


なんとなく、しゅんくんが使っていたキャラに、カーソルを合わせた。


「あ、それ難しいから、こっちおすすめ!」


そう言って、しゅんくんは画面を指さした。


言われたとおりにカーソルを動かして、選択した。


少し、寂しい気がした。


......同じキャラ、使ってみたかったな。


画面が切り替わった。


......もう、動かせるのかな。


ボタンが多すぎて、手を彷徨わせた。


すると、しゅんくんが言った。


「敵に近づいてみて」


言われたとおりに、敵にゆっくり近づいた。


キャラの動きが、ぎこちなかった。


これで、いいのかな......


なんとなくしゅんくんを見ると、視線は画面に向いていた。


「次は攻撃してみよう。このボタン押してみて」


私の手元を見てから、しゅんくんは手を伸ばした。


しゅんくんがボタンを指さすときに、ちょっとだけ手が触れた気がした。


身体が、びくっと震えた。


小さく深呼吸をして、ボタンを押した。


指が、少し震えていた。


「そうそういい感じ。それじゃ、次は――」




しばらくすると、ぎこちないけど最初とは見違えるほど、キャラが動くようになっていた。


......しゅんくんみたいに、できたらいいのに。


そうしたら、しゅんくんと......


それを想像するだけで、胸が締め付けられた。


しゅんくんの顔を見上げると、いつもみたいに笑っていた。


それが、少しだけ苦しかった。

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