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お菓子とあなた  作者: シロ
第三章 チョコタルトと本当の約束
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第20話 約束とチョコタルト

登校中、少し足取りが軽かった。


バッグに入れたチョコタルトが、崩れないか気になっていた。


教室に着くと、しゅんくんたちが目に入った。


心臓がうるさくて、声が出なかった。


......どうしてだろう。


ゴールデンウィーク前は、普通に「おはよう」って言えたのに。


入り口で立ち止まっていると、しゅんくんが私の方を見た。


それだけなのに、心臓が跳ねた。


「おはよう!まいちゃん」


息が苦しいのに、胸の奥がじんわりと温かくなった。


「......おはよう」


自分の声が、どこか遠くに聞こえた。


変に思われてない......かな。


しゅんくんの顔を見ると、いつもの笑顔だった。


......鼓動が落ち着かないな。


喉が少しだけ渇いていた。


うまく話せる気がしなくて、少し怖かった。


私は席に着いて、ぼんやり過ごした。


気がつくと、しゅんくんたちの方に耳が傾いていた。




授業中、なんとなくしゅんくんの背中を見ていた。


そういえば、今までも見ちゃってたときあったな......


今思うと。


胸が少しだけ苦しくなった。


気づいてほしいような、気づかれたくないような......


ボールペンを撫でると、少しだけくすぐったかった。




気がつくと、お昼休みのチャイムが鳴っていた。


「お昼だ~!」


教科書をしまっていると、しゅんくんの声がすぐ近くで聞こえた。


顔を上げると、しゅんくんたちが私の席の方に来ていた。


しゅんくんたちと、今日も向かい合うように席を移動した。


そうしていると、さきちゃんも来た。


なんとなく、しゅんくんから離れた席に座った。


さきちゃんと目が合うと、ニヤニヤしていた。


お弁当を食べていると、しゅんくんが口を開いた。


「ゴールデンウィーク楽しかったな~。......そうだ!きょ......明日の放課後、また遊ばない?」


返事をする前に、小さく頷いていた。


......遊びたい。


胸の奥が、少しだけ熱くなった。


さきちゃんは、私をちらっと見てから、少しだけ笑って言った。


「私もいいよ~。ゲームセンター?」


「あー......うん。たぶん、そこ」


「谷......また考えてなかったのかよ......」


鈴木くんは、呆れた目をして続けた。


「俺も空いてるから行ける」


斎藤くんも大丈夫そうだった。


「それじゃ、明日行こう!」


しゅんくんが嬉しそうに笑っていた。


それを見ているだけで、胸の奥がじんわりと温かかった。




みんなが食べ終わったのを見て、バッグに手を入れた。


うまく、チョコタルトを掴めなかった。


さきちゃん、鈴木くん、斎藤くんに順番に渡した。


最後に残った一つを、しゅんくんに向けた。


しゅんくんと目が合いそうになって、思わず逸らした。


もう、何回もお菓子を食べてもらっているはずなのに、鼓動が、全然落ち着かなかった。


タルトに視線を落としたのに、気がつくとしゅんくんの顔を見ていた。


しゅんくんはタルトをじっと見てから、パクっと食べた。


思わず、息をのんでいた。


なんとなく、しゅんくんの口の動きをじっと見ていた。


すると、しゅんくんの顔がほころんだ。


飲み込むと、ぱっと顔を上げた。


目がバッチリ合って、とっさに目を逸らした。


「すっごいサクサクで、おいしい!」


しゅんくんの声が弾んでいた。


気がつくと、肩の力が抜けていた。


うれしいのに、少し落ち着かなかった。


胸の奥が、さっきよりも、ずっと騒がしかった。

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