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お菓子とあなた  作者: シロ
第二章 お菓子と募る想い
30/40

閑話 チョコタルト

カフェを出ると、さっきより眩しく感じた。


「また明日~」


そう言って、さきちゃんは手を振った。


私も手を振って、家に向かった。


少しだけ、足が軽かった。


さっきの言葉が、何度も浮かんだ。


......しゅんくんと、一緒にいたい。


そう思うと、胸の奥がじんわりと温かくなった。




家に着いて、お菓子を作る準備をした。


この前、しゅんくんに「作ってくるね」と言ったチョコタルトだ。


あの時はなんとなくで提案したけど、今思うと......


少しだけ、くすぐったくなった。


いつもより、手が少しだけ丁寧になった。


何度もタルト生地を作ってるはずなのに、手の感覚が少し違った。


生地をまとめて、冷蔵庫で寝かせた。


たった30分なのに、妙に長く感じた。


冷蔵庫から取り出して、麺棒で生地を伸ばした。


崩れないように気を付けながら、1つずつ型に敷き込んだ。


底をフォークで軽く突いて、いくつか穴をあけた。


いつもは、ピケローラーがあれば楽なのにって思うのに。


今日は、このめんどくささが少しだけ嬉しかった。


底にクッキングシートを敷いて、重石をじゃらじゃらと置いた。


生地を、ゆっくりとオーブンに入れた。


焼いている間に、中身の準備を始めた。


温めた生クリームでチョコを混ぜていると、甘い匂いに包まれた。


そういえば――


しゅんくんが声をかけてくれたときは、チョコチップのカップケーキ食べてたな......


まだ1か月も経ってないはずなのに、少し前のことみたいに感じた。


そうしていると、オーブンのタイマーが鳴った。


オーブンからゆっくりと生地を取り出し、重石を外した。


......うん、ちゃんとできてそう。


あと、2つ......


そうして、タルト生地を3つ作った。


これくらいあれば、大丈夫かな。


さっき混ぜた中身をタルト生地に流し込んで、もう一度オーブンに入れた。


使った調理器具を洗いながら、嬉しそうに笑ってくれた顔を思い出した。


また、あの顔を見たいな......


甘くて、やわらかい匂いが広がっていた。


手を拭いて、オーブンの前に立った。


タイマーはまだなのに、待ち遠しかった。


しばらくして、焼き上がった。


ちゃんと焼けてる......よね。


ココアパウダーと粉砂糖を振りかけて、仕上げをした。


いつの間にか、3つのチョコタルトが並んでいた。


いつものように写真を撮って、さきちゃんに送った。


......しゅんくんにも、送ろうかな。


でも、急だし......


しゅんくんとのトークルームで、打ち込んでは消してを繰り返した。


「チョコタルト作ったよ 明日持っていくね」


気がつくと、これだけになっていた。


これで、いいよね......


少し考えてから、送信ボタンをちょっとだけ強く押した。


なんとなく、画面を見つめ続けた。


すると、既読が付いた。


私は反射的にトークルームを閉じた。


少しだけ、息が苦しくなった。


スマホが震えた。


そっと通知を見ると、スタンプが来ていた。


目をキラキラさせている、犬のスタンプが、なんだかかわいかった。


思わず息が漏れた。


......よかった。


くすぐったくて、なにかが満たされるような気がした。

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