表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お菓子とあなた  作者: シロ
第二章 お菓子と募る想い
27/40

第18話 お化け屋敷と約束

みんなで話していると、しゅんくんが「次はお化け屋敷がいい」と言った。


さっきまで、さきちゃんに言われたことを考えていたけど、


しゅんくんの一言で、考えていたことが散り散りになった。


自分でもわかるくらい、顔が引きつっていた......


さきちゃんが、目で「大丈夫そう?」と聞いてきた。


みんな楽しそうだし、私が嫌だって言うのも......


無理そうだったら、目をつぶればなんとかなるかな......?


ぎこちなく、さきちゃんに見えるように頷いた。


「それじゃ、行こっか」


みんなが席を立って、歩き出した。


さきちゃんは私の隣に来て、耳元で言った。


「もし無理そうなら言ってね?」


私は小さく「ありがとう」とだけ言って、みんなの後を追った。




お化け屋敷が近づくにつれて、足が重くなった気がした。


お化け屋敷に着くと、なぜか空いていた。


なんで、すぐ入れちゃうの......


誰に文句を言っているのかもわからないまま、お化け屋敷に入った。


中に入ると、外の明るさが嘘のように暗かった。


隣にいるさきちゃんの袖を、気がついたら握りしめていた。


ゆっくり進んでいると、先頭を歩いていたしゅんくんが振り返った。


「まいちゃん、どうかした?」


何か言わないと、と思ったのに、うまく言葉が出なかった。


さきちゃんが小声で、「言ってもいい?」と聞いてきた。


私が頷くのを見ると、さきちゃんは言った。


「うーんとね。まいちゃん、お化け屋敷ちょっと苦手なんだよね」


「あ、マジ?付き合わせてごめん!」


そう言って、しゅんくんは私たちの方に来た。


「まいちゃんは俺が守るから!」


急に心臓の音が大きくなった。


何か言わないと、と思って、やっと声が出た。


「......あ、ありがとう」


いつもと同じ話し方なのに、胸の奥が、少しだけ温かくなった。


何度もお化けが急に出てきて、そのたびに身体が固まったけど、


そのたびに、しゅんくんが前に出て、お化けが見えないようにしてくれた。


怖いけど、胸が締め付けられるようで、それでも、少しだけ嬉しくて......




気がつくと、いつの間にか出口にいた。


さきちゃんは耳元で小さく言った。


「今日は、あんまり目をつぶらないで行けたね。それに......」


そう言って、私の隣に目を向けた。


目を追うと、しゅんくんが近くにいた。


身体がこわばって、息が詰まるような気がした。


ち、近い......


でも、友達なら......普通、だよね......?


安心しているはずなのに、心臓の音は静かにならなかった。


その後も、アトラクションを回っていたけど、お化け屋敷のことが忘れられなかった。


ふと思い出すたびに息が苦しくなった。


それなのに、胸の奥は、少しだけ温かかった。


あの言葉が、頭から離れなかった。


そんなつもりじゃ、なさそうだったのに、忘れられなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ