閑話 チョコチュロス
次はどこに行こうかと話していると、「ぐぅ」とお腹の音が聞こえた。
音の方を見ると、しゅんくんがお腹を撫でていた。
さっき袖を掴んでいたことを思い出してしまって、しゅんくんから目を逸らした。
まだ、心臓がうるさい気がした。
視界の端で、しゅんくんが口を開いた。
「お腹減った~!」
「そろそろお昼か。どっかで食うか」
鈴木くんは、案内板に目を向けながら答えた。
さきちゃんも案内板の前に行って、少し考えてから指さした。
「この近くだとここかな?」
「よし、行こう!」
そう言って、しゅんくんは先に歩き始めた。
その後を、私たちもついて行った。
お店に着くと、私はホットドッグといちごチュロスを買った。
みんなもそれぞれ違うのを買って、近くの席に座って食べ始めた。
私がホットドッグを食べ終わるころには、さっきより呼吸が楽になっていた。
チュロスを食べていると、視線を感じた。
そっちの方を見ると、しゅんくんが私の方を見ていた。
胸の奥が少し苦しくなった。
視線が、顔より少し下に落ちている気がした......
チュロスを見てるのかな?
しゅんくんはチョコのチュロスを食べてるけど......
試しに、チュロスを左右に振ると、しゅんくんの目が追っていた。
それがおかしくて、少し笑って言った。
「......た、食べる?」
すると、しゅんくんは即答した。
「いいの?」
私は小さく頷いて、チュロスをしゅんくんの前に出した。
「ありがとう!」
なんとなく、しゅんくんが眩しくて、テーブルを見た。
しゅんくんが、チュロスを頬張った気配がした。
「いちごもおいしいね!俺のも食う?」
言葉がうまく頭に入ってこなくて、顔を上げた。
首を傾げると、しゅんくんは持っていたチョコチュロスを私の前に出して言った。
「俺の食べてもいいよ」
こ、断るのよくないもんね......
それにチョコのチュロスもおいしそうだし......
「......あ、ありがとう」
私は、しゅんくんが持っているチュロスを一口食べた。
甘いな......
ふと視線を感じて振り返ると、さきちゃんがニヤニヤしながら小声で言ってきた。
「まいちゃん大胆だね」
首を傾げると、さきちゃんは私の手元としゅんくんの間を、視線を行き来させていた。
「わからないなら、今はいいや」
さきちゃんはいつもの笑顔になって、しゅんくんたちと次に行くアトラクションの話を始めた。
さきちゃん、何を言いたかったんだろう......
そんなことを考えながら、みんなの話をなんとなく聞いていた。
さっきの甘さが、口の中に残っている気がした。




