異世界召喚されたけど俺にチートスキルなんてあるわけがない。
第三作品目となります。
異世界をテーマにした作品です。
あまり、長い物語ではありませんが、よろしくお願いします。
評価などしてくれると、ありがたいです。
いや、評価してほしいです。
※この話に登場するものは、すべて実在するものとは多分、関係ありませんので?
こんな始まり方あるか?
1
「ここ、どこだよ!」
この疑問に答えるものはどこにもいない。
その青年が立つのは、大草原のど真ん中。
青年は、これといった特徴もない、ただの青年だった。身長もそこそこ、顔立ちもそこそこといった具合だ。
そんな彼は、町さえ見えないこの場所になぜいるか。それは、誰にも分からない。
2
田中憐斗、俺は普通の高校二年生だ。ただ一点を除いては。そう、その一点が問題なのである。それは、学校に行かない引きこもりであること。
俺は、裕福な家庭に生まれ、何不自由なく暮らしてきた。そして、小中学校ともに友達にも恵まれていた。しかし、中学校の終わりを迎えようとしていたある日、父親が事故で死んでしまった。そのころから、俺は、学校へ行けなくなり、母親に心配されるようになった。
そんな俺は、高校生活が始まっても立ち直れなかった。そこから、今までずっと学校に行ってない。もう、かれこれ、一年だ。
そんな彼がこの場所にいるのは、
「まさか、夢にまでみた、異世界召喚!?」
彼は、引きこもっていたとき、ゲーム→ラノベ→アニメのループをしていた。そのため、最近、異世界召喚に憧れを抱いていた。
「いや、ちょっとまて……状況を整理しよう。俺、なにやってたっけ? ……そういえば、俺確か……ゲームを徹夜ぶっ通しでやって、朝になったから寝たんだっけ……そしたらここにいた。こういうときは、ラノベの展開的に言えば……近くにいる人にいろいろ聞くんだよな。……と言ったものの、誰もいねぇじゃん! 普通は召喚された時にヒロイン的な美少女がいるでしょ。王道ラノベは全部そうだったんですけど!?」
そう、彼の今いる場所は大草原のど真ん中。
「はぁ~……こことかマジでなんもねぇ。いや、草はあるけど……モン○ンのフィールド1かよ! あ~あ、この流れだと絶対ヤバイ系モンスター出てくるだろ……」
一人、大草原で声を出していると、大きな影が憐斗を覆う。
「もしかして……今のフラグ?」
そこには、ライオンとトラを合わせて大きくしたみたいなモンスターが……ってそれライガーじゃん! 知ってます、ライガー? そう、ライオンとトラを合わせた奴ですよ。
「あーーーー!! もうっ! 完璧にフラグ回収しちまったーー!」
両手を頭の上に乗せ、踞る。
「いや、この場合、ラノベではチートスキルが発動する! ならば! いでよ、チートスキルーーーー!!」
期待の意味も込めて、かっこよくポーズまで決めて、吠えてみた。だが、何も起こらない……。
「あ~あ、何も起こらなねぇのかよ……じゃあどうすんだよ! 異世界初のこのイベント! はっ! 分かったぜ。このイベントは多分、ヒロインと出会う最初のワンカットなんだ! なら、もう少しで美少女が助けに来てくれる。さあこい! 我が異世界ヒロイン!!」
「……」
大草原を孤独な風が吹く。
「……はぁ? この異世界どうした? 異世界というものをぶち壊し始めてるんですけど」
俺が一人ぶつくさものを言っているときもモンスターは、近づく。その距離約2メートル。そのモンスターは、大きな口を開け、憐斗に襲いかかる。
「……もう終わりなのか……俺の異世界ライフ。異世界で死んだらどうなるんだ? 現実世界に戻るのか? まぁ、どちらにしろこの世界にいられないな。 さらば、俺の異世界ライフ……」
俺は、天を仰ぎ、諦める。その時だった。青い空に浮かぶ太陽に影が映し出されたのは。太陽の光を浴びて、何かが光り輝く。その影の主は、剣を握っていた。そのまま、一閃。俺を襲おうとしたモンスターは、どす黒い血を噴き出しながら倒れた。そして、斬られたモンスターの倒れた時に上がった砂ぼこりの中から影が近づく。
「大丈夫ですかな?」
モンスターを斬ったのは……
「あ、はい。大丈夫です……」
まだ見ぬ美少女ヒロインかと思いきや……ただの老人だった。期待した自分が愚かになる。肩を落とし、あからさまに落ち込む。
「いや、この状況化で助けてくれる人物ならきっと俺のこの世界で生きるためのキーカード! それなら、ラノベのありがちシュチュエーション! しかも、言語が同じみたいだから、やっと異世界らしくなってきたぜ~」
そんな一人大盛り上がりの憐斗を横目に、老人は不思議そうに首をかしげ、
「失礼ながらお聞きします。貴方はなぜこんなところに? ここは、危険な生物が多数存在します。そこに手ぶらで来るとは……考えられません。そしてなにより、貴方は、どこから? 貴方の格好は、見たことがないので……」
老人は、丁寧な言葉で話しかけてきた。この老人は、いわゆる貴族とやらなのだろう。どう答えるべきか分からず、いろいろ考えた結果、ある事を思いつく。
「ここにいる理由は分からない。ここがどこかも。この格好は、俺の故郷の"引きこもり"っていう族が着ることの多い、ジャージっていうものだ」
とりあえず、質問に答え、本題を切り出す。
「俺、今マジでここがどこか分かんねぇから街とかまで案内してくんないすか?」
まず、俺の知る異世界召喚になるよう街に向かうことにした。
「……なるほど。貴方の実情は少し理解しました。しかし、貴方のような人は珍しい。私に気兼ねなく話してくる。そんな方は、最近では数名しかいないもので……。貴方の故郷では、それが当たり前なのですか?」
「まぁね。"みんな平等!" とか、" 世界中で違う人間なんていない!" とか、"昨日の敵は、今日の友!" とか言ってるくらいだから」
なんか適当にいい感じの格言的なものを言ってみたが、老人はかなり感動したようで、
「貴方のいる世界は、平和でいいですな。今、この世界ではよからぬ事が動き出しているもので……」
この世界は今、混乱しているようだ。その時、俺の脳裏にある仮説が思い浮かんだ。
「まさか……俺は、この世界のピンチを救いに来た、勇者なのか!? それなら、俺っていきなり主人公的な役割で救世主!? それならきっと、この世界を救う、チートスキルがあるに違いねぇ!! はよ、目覚めろー!! 俺のチートスキルーーー!!」
いまだにチートスキルがあることを信じて疑わないが、目覚める気配は一切ない。
「……なるほど。貴方は、珍しい言葉も使うようだ。途中から理解出来ませんでしたよ。あの、貴方が良ければ、の話なのですが、貴方、私とともに来てくれませんか? 貴方の故郷には、いささか興味が湧いたので」
老人は、そんなことを口走る。その老人は、立て続けに、
「もちろん、食事なども出しますので……」
この展開では、ラノベだと誘いに乗って、異世界ライフがスタート! ってところだろう。しかし、宏明は、感じていた……。なにか、異世界ライフに危険が訪れるような予感、第六感的な疼きを……。
しかし、憐斗が出した回答は、その疼きを無視した。
「……ああ、いいぜ。連れて行ってくれ。俺も、正直困っていたんだよ。でも、その前に、自己紹介はまだしてねないよな? 俺の名前は、憐斗だ。あんたの名前は?」
「……」
老人は、しばらく黙っていた。だが、少しして、意を決したのか、
「私の名は、シュバルテ・ナインと言います。どうか、よろしくお願いします、レント殿」
「殿もいらないぜ?」
「いえ、自分が落ち着かないので」
差し出してきた、手を握り、俺は、少し微笑んで、
「なら、いいよ。よろしくな、シュバルテさん。これからは、貴方って呼ぶのはよしてくれよ」
それに少し驚いた顔したシュバルテだったが、応えるように微笑み、
「こちらこそ」
草原の草は、夕日に照らされ、光り輝いていた。
「もう、日が落ちます。急ぎましょう」
「了解」
短く返答し、歩き出したシュバルテに憐斗は続く。
爽やかな風が憐斗の髪を揺らす。風に揺れる黒髪をいじりながら、自らの心に問いかける。
――今の気持ちは、どんな感じだ?
――期待と不安が50:50ってところか……。
自問自答をする。
この選択がのちに大きな間違いとなる。
だが、憐斗は、そんなことは、知らないふりをした。自分の心の疼きが確かなものになっていることに、気づきながら……。
草原に強い風が吹く。その風は、憐斗の異世界ライフを180度回転させるものなのか。そんなことは、誰にも分からない。しかし、この瞬間、確かに宏明の異世界ライフは、危険な方向へ動き出した。
3
日が落ち、薄暗くなった街に二人は、到着する。すでに、街灯らしきものが町中を照らしていた。町の中をシュバルテを追って歩く。町中は、酒場の客達の騒がしい声で賑わっていた。
「すっげぇ、マジで異世界に来たって感じだな~。しかも、酒場のインテリアとか、七つの○罪かよ。あ~、こういうの見るとテンション上がるわ~」
「レント殿の故郷には、こういう風景はないのですか?」
平和そうな風景だと思うのですが、と言うシュバルテに
「いや、確かに平和そうだけど、俺の故郷では、ビールってもんをビンとか、カンとかから、注ぐんだよな~。しかも、こんなに開けた感じじゃなくて、扉とかドアがしっかりあるから」
俺の回答に、
「そのビンとカンというものに興味がありますな。ビールとやらも、酒と同じようなものですかな? それならば、ビンやカンは、食料を保存する時に役立ちそうですな」
シュバルテは、かなり頭がキレるようだ。俺の予想だと、シュバルテは、……
「着きましたよ。ここが、トゥエルブ邸です」
「やっぱり、あんた、使用人かなんかじゃないのか? それなのにいいのか? 俺みたいな部外者入れて?」
俺の予想では、シュバルテは、貴族ではないだろう、と思っていた。なぜなら、彼が貴族だとするならば、彼が一人で出歩いているわけがないからである。それならば、シュバルテはなんなのか?
それを教えてくれたのは、彼の口調である。彼は、かなり丁寧な言葉を使っていた。それは、身近に位の高い人物がいることになる。そうなれば、答えは、一つしかないだろう。……どうだ! 俺の推理!
内心でそんなことを考えていた。……なんだよ、これ。どこぞの名探偵かっつうの。マジでこれ、語尾を、~なんじゃないかって思ったんだよ、とか、~だと思わない? とか、あれれ~、これなんか変だぞ~、とかを子供っぽく言ったら、ガチな名探偵コ○ン君じゃん。……つーか、最後の関係ねぇ。
「惜しいですな、貴族でないことまでは正解ですが、使用人にではないんです。……いわゆる、護衛役とでも言いますか」
そんな、シュバルテのすっきりしない回答に、
「あんまし変わんなくないか?」
疑問をぶつける。
「いえいえ、ここの方は、かなり心の広い方ですので。今はいないので、明日にでも紹介しますよ」
そう言って、屋敷の敷居を跨ぐ。
「そうか」
「今日は、もう遅いので、すぐにお休みになられてください」
「分かった……」
そのまま、食事を済ませ、部屋に案内された。今日の疲れが一気に来たのか、ベッドに倒れこむ。
「はあ~、久しぶりに動いた気分だぜ。自分の引きこもり度がよく分かる……。さてと、状況を整理するか。まず、この世界。現実世界じゃねぇことは、確かだな。なら、ここはどこか。まあ、異世界であることは、間違いない。言語は、通じる。文字も同じだ。……都合のいい設定だな、オイ! 文字は、違ぇみてーだけど。そして、最大の謎。なぜ、この世界に俺が来たのか。なんの前触れもなく、いつ召喚されたかも、わかんねぇ。……おい、待てよ。この状況ってかなりヤベぇんじゃね? 何一つ分からないとか……かなり危ないな。こりゃあ、無知蒙昧って奴だな。しかも、この世界の金もないし、無一文かよ。シュバルテさんについてきてよかった~。あれ、断ったら俺は、もう死んでただろうな」
自分の状況を整理すると、自分がかなり危ない状況だと気付く。そして、この世界にいる理由のなさにも……。
「……今の俺じゃあ、なんもできねぇ。情報を集めつつ、ここに居させてもらうか」
今の自分が冷静過ぎることも気になる。しかし、その理由はすぐわかった。自分が現実世界にいたいと思っていないことだ。なにも、ない世界になど居なくていい、そう思っている自分がいた。
「悪くないよな……この世界にいても……」
その答えは、誰も持っていない……。
憐斗君の名前をあえて、異世界の人、例えばシュバルテとかが言うときは、カタカナにしています。
漢字がない世界なので。しかし、憐斗君自身が言うときは、漢字にしています。
これから、新キャラが出てきますが、混乱しないよう、ご注意ください。
途中まで、漢字だったので、まだ漢字のままのところがあるかもしれません。
そんなときは、コメントで教えてください。
前書きでも言いましたが、評価、感想等、よろしくお願いします!
一時間おきに更新します。
(三話目まで)




