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RMT/リアルマネートレード  作者: jh


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8/10

8. 万能感

この数日、僕はずっと戸惑っている。いや、正確に言えば、あえて戸惑おうとしている。物事が面白い方向に進み過ぎて、万能感が毛穴から漏れ出しそうな気がする。こういう時こそ調子に乗らないよう、一生懸命に悪い材料を探している。

自分の顔が鏡では普通に見えるのに、写真では老人に見える。これには象徴的な意味がある気がする。

医者の友人が他にいない。だから音無拓は僕に連絡をした。

話が進むうちに、RMTの詐欺にあった柿谷を利用して就職したと彼は告白した。精神的に壊れかけた原因が、他人を利用した報いであることにやっと気がついた。

告白のおかげで高校時代のことが腑に落ちた。彼が数学を教えてくれと頼んだのは、彼に抱いていた僕の好意を利用していたわけだ。僕を利用した報いはいつ訪れるのだろう? いじめて楽しんでいるうちに、その時が来るのだろうか。ワクワクする。

僕は悪い人間ではない。責任は果たすつもりでいる。無職になった彼に、住む場所とやることを提供しているし、もしこのまま社会復帰ができないなら、僕が食べさせていくくらいの覚悟もある。途中で放り出したりはしない。

東京の高層のオフィスビルで自分を失いかけていた音無を、僕はひょいと持ち上げて、北鎌倉の小さなベーカリーにそっと降ろした。そしてまさか、何年もの間彼の心に襞のように張り付いていた、RMTというものを開発した人間と接触することになった。

導いたのはすべて僕だ。

音無にとって、僕は、神に近い存在かもしれない。

音沙汰のない数日間、はやる気持ちを抑えるようと、僕は必死に戸惑っていた。

そして、ついにメッセージが届いた。「話したいことがある」

やったね、拓君。僕は自宅マンションの部屋で思わず手を叩いた。

「今からでもいいよ、ぜひ電話して」僕は返信をした。

「一つ確認したい」

「何?」

「絶対に口外しないと約束できる?」

「もちろん、医者には守秘義務がある、僕は医者だよ」

すぐに彼から着信があった。

電話に出ると、彼はすぐに今日の出来事を詳細に語り始めた。


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