鎧、能力向上する
「キョウカ、ふっかーつ!」
「うぉ!びっくりした!」
今は深夜。
俺以外は、もう皆寝ている。
俺が樹火球をせっせと生産していた時のキョウカ出現だった。
「おぉ、キョウカ。無理させて悪かったな。」
「いやいや、大丈夫。私の見込みが甘かったようね。ダンナの魔力消費ハンパなかったねぇ。この鏡花水月には、魔術効果倍加と魔力消費半減って効果が有るはずなのにね。いやぁびっくりしたわ。」
「この鎧にそんな効果が?そういえば、俺が使った火壁や溶岩射出が予想以上に威力があったが、そのせいか。うん、今までそんな思いに至らなかったが、この鎧に付与されている魔術?属性?見てなかったな。見ることができるのか?」
「今なら、見えるんじゃない?」
「よし、やってみるか。」
(お?おー、確かに、さっきキョウカが言った効果魔術がこれか。あと、これはなんだろう経験増大?他は、見えないが、まだ何か仕込んで有りそうな気がする。)
「キョウカがさっき言った魔術以外にも何かあるようなんだが、よくわからなかった。」
「そのうち解るんじゃない?私がダンナに教えることができるのは、あくまで私の知っている魔術であって、キキョウ様の扱う魔術は解らないんだよねぇ。」
「そうなのか、、、」
「そんなあからさまに残念がらないでよ。ところで私の復活ついでに言うと。ダンナ、凄くレベルが上がったよ。かなりの数、あの妖狐を倒したものね。」
「そうなのか?相変わらず実感はないけど。」
「うんうん、えと、ダンナの能力もアップしたから、昼間に一気に使用した魔術を、そうねぇ、10回はできるよ。」
「な!マジか!」
「マジね。私も完全回復したし、あと、次元収納も今までの10倍は入るよ。」
「ほぅ更に便利になったな。」
なんで能力がそんなに簡単に向上するのか疑問は残るが、考えても仕方がない。と思っておこう。
(多分、さっき見た、この鎧に付与されている効果の内、経験増大ってやつのせいなのかな?)
「それにしても、エルトちゃん。神眼を身に着けたんだね。」
「シンガン?あぁ、弓矢で急所を射抜くってやつ?キョウカ知ってるのか?それは、どういった能力なんだ?」
「普通の眼では見えない、見えざる力ね。そうねぇ、エルトちゃんのは、神眼の中の炯眼ってとこかしら。」
「ほぉ、炯眼、、、本質を見極める眼って意味か?っていうか、他にも何種類かある?その神眼ってやつは?」
「えぇ、千里眼とか、鑑定眼とか。私の持ってる過去見とか。」
「え?えぇ!キョウカも神眼、持ってたんかい!」
「ふふ、そうよ。驚いた?過去見はそのまんま、少し前の自分の知らない過去を一部視ることができるってものよ。」
「あぁ。それで、俺の記憶やら、状況やらを視てるんだ。」
「正解。」
「でも、何でエルトはそんな能力を得たんだ?」
「これは、神から与えられし能力って言われているから、誰でも得ることができるわけじゃないみたいなの。そして、きっかけなんて様々な条件があるからわからないわ。それこそ神のみぞ知るって感じかな。」
「神様ねぇ。物事には、結果に対する原因や要因って有るはずなんだが、そういうのを完全に無視した事象のことを神の御技って言うのかもなぁ。」
「まぁ、強いて言うならば、何かしらの努力がその神の御技を引き寄せるのかもよ。何もしないのに身につくことはないから。」
「それもそうか。並み以上の努力の結果か。それならわかる。あの娘なりに今まで苦労してきたんだろうからな。」
「ま、だからといって、そういうのを得るには、努力だけじゃないんだけどね。」
「他に要因があるのか、、、キョウカのその過去見は、どうやって?」
「ひ・み・つ。」
「なんだよ。もう。教えてくんないのかよ。」
「繰り返すけど、私がダンナに教えることができるのは、私の魔術と、おまけで過去の出来事だけよ。」
「いや、ま、それだけで充分に嬉しいんだけどな。ま、いいか。俺にそんな力は宿るわけないしな。あ、そうだ。キョウカに聞きたいことがあったんだ。」
「ん?何かな?」
「昼間、薬屋で魔薬っていうものを買ったんだが、これは俺でも作れるか?」
「ん?あぁ、体力回復薬?傷の治癒薬?って、毒消しの方か。できるわね、多分。ただし、いずれも聖水という媒体が必要だけど。」
「聖水?普通の水からは作れないのか。」
「そりゃそうよ。普通の水で作れるんだったら、薬品店で売らないよね。」
「そうか。で、その聖水はどこで入手できる?」
「いや、そりゃ、教会でしょ?寄付でもすれば貰えるんじゃない?」
「教会?俺には縁が無いから良くは知らないんだが?」
「あぁ、それもそうね。詳しいことは、ハイリンちゃんに聞くとして一般常識程度の説明をしておくね。」
今夜のキョウカは、いつもよりも機嫌が良いみたいだ。
もしかしたら知識を教えるというのが好きなのかもしれないな。
「人間の信仰心って、結構エグくて、この世界のどこかに居るとされる女神に対しての祈りの力が少しづつ蓄えられるの。そして、その女神の使徒がその蓄えられた力を分けてもらって、人々を癒すの。それをできる人がヒーラーと呼ばれているのね。」
「ハイリンがまさにヒーラーだな。」
「そう。そして、ヒーラーの魔力量によって、女神の力を引き出す力量と効果が比例しているってわけ。当然、ヒーラー本人の魔力は消費される。」
「まぁそうだろうな。何事もタダって訳にはいかないよな。」
「教会は、その人々の祈りの場所なのね。その祈りを一番の目的として、その見返りとして女神の力を行使するのだけど、まぁ、自分たちにも生活が有るからね。教会の運営資金は、国からの補助や聖水などを生産して販売、治療に訪れる人からの診療代、あと寄付ね。」
「ふーん。経営が大変そうだな。」
「そうね。ちなみに診療代、治療費って、怪我や病気の程度や種類によって細かく決められているけど、基本的には安いはずよ。ココらへんは国によって違いが出るトコだね。あとは、国によって有無があるけど、ヒーラー育成機関があって、そこからの収益とかかな。」
「キョウカ、詳しいな。」
「そりゃ、私、、、いや、なんでもない。」
「ん?なんだ?何か言いかけて、、、」
「ごめん、なんか禁忌に触れるみたいで、私のことは話せないみたい。レベルの問題かなぁ。」
「そうか。俺がそのレベルを上げればわかってくることの一つなのかもな。」
「まぁともかく、教会については以上。もっと詳しく知りたいならハイリンちゃんを頼って。」
「わかった。でも、アレだな。人々の祈る力を少しづつ集めて、大いなる力にするって、精霊から魔力を少しづつ集めて、魔術を発揮するのと似ているな。」
「そうね。もしかしたら原理は同じなのかもね。ちなみに話しのネタに、もう少しだけ言うと、魔術師が複数人で何かしらを召喚するのも、その応用ね。例えば魔神とか。」
「!!!な!」
「女神の力ではなくて、魔神の力だけど。」
「とすると、魔神が召喚できるのなら、女神も召喚、この場合降臨?ってできちゃう?」
「かもね。召喚術といっても、条件やら依代やら道具が必要だったり、色々準備が必要だけどね。いろいろな魔力の使い方が有るからだけど、、、ちょっと待って。薬品やら召喚やら手広く試してみたい?って、ダンナ、まさか、自分で新しい魔術を作ろうとしている?」
「なんで、わかったんだ?いや、面白そうだな、そういうの。とは思っているが。」
「う〜ん、そのバイタリティはどこから来るのやら。ダンナらしいっちゃらしいけど。」
「はっはっは、こうやってキョウカと魔術談義をするのが楽しいんだ。それにこの鎧状態だと何でもできそうな気がしてな。」
「そりゃ、結構なことで、、、っていうか、ダンナのレベルアップのスピードがハンパ無いからなぁ。もう少しすると、上級に当たる難易度の高い魔術も使えるようになるよ。」
「な!マジか!レベルって凄いなぁ。」
「いやいや、凄いのはダンナなんだって。」
「そうなのか?実感がないからわからないんだけど。」
「まぁいいか。で、話を戻すんだけど。魔薬の作り方ね。」
「お?教えてくれるのか?」
「ダンナの期待に答えるのが私の使命。知らんけど。」
「、、、あいかわらず、お前の発言は意味がわからんな、、、」
「で、聖水を手に入れたら、その聖水にこの術式で魔力付与すると疲労回復薬ね。傷を治癒する治療薬は、この術式。毒消し薬の場合は、これにこうして、、、」
「ほうほう、、、」
そうして、この夜は、どっぷり魔薬の授業となってしまった。




