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僕は、魔法が使えない。  作者: アーシェス
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14 約束の双子亭

エドガーが連れてきてくれたのは、ギルドから5分ほどのやや大きな酒場兼宿屋だった。

貴族などは高級なホテルに泊まるが、一般的なハンターが泊まるのはこのような酒場兼宿屋である。

建物には、木彫りの看板が帰られており、馬車の絵と共に『約束の双子亭』と書かれていた。


木製の扉を開くと、ギルドの扉を開いた時とは違いカランコロンというドアチャイムの音がする。

「いらっしゃいませ」

12~3歳ぐらいの女の子が酒場の方から受付にやってきて応対する。

「お食事ですか?お泊りですか?」


「泊まりでたのむ。3名、とりあえず1泊でいい。別々でいけるか?」

「3名ですね・・・。大丈夫ですよ。エドガーさん。

泊まりは銀貨3枚、前払いです。

あと、お湯は別途小銀貨2枚、朝食は別途小銀貨8枚でやっていますので、よろしくお願いします。」

少女はにっこりと笑うと、鍵を3本机の上に出す。


そういうと、エドガー達は、それぞれ銀貨を3枚出す。

それに習ってフェルも銀貨を3枚出す。

宿屋への泊まるのも初めてなので、見様見真似だ。


「それじゃぁ、半刻後に下の酒場で会おう。あと、今日は俺がおごるからな」

エドガーがそういって、2階にあがり、鍵に振られた番号の部屋に入っていく。

フェルも3号室と書かれた鍵をみて部屋に入る。

エドガーとリュークに挟まれた部屋だ。


部屋の中は、一般的なベッドが2つ、あとはテーブル1つに椅子が2つあり、テーブルの上には、新しい蝋燭が1本入ったランタンが置かれている。

ベッドは、フェルが”転送“しているベットと似たり寄ったりの硬いもので、お世辞にも寝心地がいいとはいえそうにないが、それでも野営に比べればはるかにマシと思える。

良くも悪くも、普通の宿屋である。


「ティルク、おまたせ。」

そういうと、フェルはティルクに向かって話しかける。

ティルクはフェル以外には見えないので、流石に他の人がいるときにはしゃべることが難しい。


「すごいね。すごいね。建物がすっごく大きいし、馬車もいっぱいだし、人も多いし。

それに、すごくいい匂いがいっぱいするし・・・」

ティルクはフェルにこれでもかと言うぐらいに話しかける。

中身は、何ということはない「おのぼりさん」のそれである。


「そうだねー。やっぱり都会はすごいね。」

フェルは、相槌をいれながら話を聞く。


「ハンターって、儲かるんだね。たった1日で金貨60枚以上ももらえたよ。」

ティルクはフェルの皮袋の周りを飛びながらはしゃぐ

「いやいや、これはたまたまだってエドガーさん達に釘を刺されたじゃないか。」

分配の後、フェルはエドガーとリュークにしつこく念を押されていた。

今回の護衛依頼は、2泊3日の予定で一人金貨2枚。それが相場らしい。

なので、フェルがいきなり大金を手にしたので、金銭感覚を狂わさないために、かなりしつこく言われたのだ。


「ティルク、落としたら怖いから預かっておいて。」

そういうと、皮袋の中身を金貨と銀貨を僅かに残して“転送”してもらう。

ふときづくと、すでに半刻近い時間がたっていた。


この世界では、大体宿の1階には大きな振り子時計があり、大体の時間を知ることが出来る。

ただ、精度はそこまで高くないので、「時間厳守」といっても、前後10分程度の誤差がある。

そのため、フェルが1階に降りる時も、リュークは既に席についてまっていたが、エドガーはまだ降りてきていなかった。


「お疲れさまだな。飲み物はどうする?酒はのめるのか?」

「あ、いや、飲めないので水でいいです。」

酒を飲むのに、年齢に制限はない。が、普通未成年は酒を飲まない。

一般的に飲まれるエール -大麦の麦汁にハーブと香辛料を入れ短期間で醸造した酒― は、そこまでアルコール度数は高くないが、それでも子供がジョッキで飲めばふらふらになる。


リュークは先ほどの少女を呼んで水を注文すると小金貨を1枚渡す。

水といえど、只ではないようだ。

リュークは、すでに木製のジョッキに入ったエールを飲んでいる。


「そうそう、お前さんあの剣を武器として使っていたが、あれはやめたほうがいいな。」

リュークは、フェルの剣について話をする。


「あの剣の価値は、昨日もいったが、結構なものだ。

だが、それは“簡単に水を持ち運べる“というものに対してであって、武器としてじゃない。

いっちゃぁ悪いが、“戦うための剣”としてはあまり褒められたもんじゃない。

今回は大丈夫だったかもしれないが、まともに打ち合ったら、いずれ壊れちまう。

できれば、武器は別で買った方がいい。

金がないならしょうがないが、今回の稼ぎがあれば、かなりまともな剣が買える。」


今回の旅では、エドガーと話すことが多く、リュークとはあまり話をする機会がなかったが、リュークもフェルのことを気に入ってくれているようだ。

明日、時間があるなら武器屋を案内してくれるという。


「すまん。待たせたな。」

そういうと、エドガーが部屋からでて降りてきた。


エドガーは、先ほどの少女に金貨を2枚渡すと

「これで、エール2つとジュース、料理を3人前頼む。

ボリューム重視でいいが、少年が一人いるから刺激的なやつは控えてくれ。」

と注文を言う。


いわゆる「おまかせ」注文で、金貨2枚というのは結構な大盤振る舞いだ。

少女は、最大級の笑顔と声で

「ありがとうございます。いそいで用意します。」と返事をすると小走りに厨房に向かう。

そして、直ぐに飲み物とナッツを持って戻ってきた。


「そんなに、慌てなくてもいい。」

エドガーは少女に声をかけるが、少女はまた直ぐに厨房に向かう。

それを見て、リュークがため息をつくようにはにかむ。

フェルとエドガーのやり取りの際にも、何度かそういう笑い方をされたので、どうやらリュークの癖のようだ。


「フェル。明日、ハンター登録にいくのなら、一緒についていってやるがどうする?」

エドガーが声をかけてくれる。もちろん断る理由はない。


「リュークさんが武器屋につれていってくださるとのことなので、その後でもいいですか?」

そう聞くと、エドガーはちょっと驚いていた。

口下手なリュークが、フェルを誘ったのが珍しいようだ。


「ああ、その方が都合がいい。ハンターギルドってのは、大体午前中は依頼の受注や報告で忙しいからな。

それに、どうせ試験は明後日だから、明日は説明とエントリーだけだ。」


エドガーによると、ギルドの試験は週に1回、末日に行なわれるらしい。

ちなみに、この世界では1週間は6日、1ヵ月は30日。

曜日と言う概念はなく、第○週の何日目という言い方をする。つまり試験は毎6日目というわけだ。

一斉の休日という概念はないが、商業ギルドによって第何日目が休みなどが大体決まっている。

ちなみに、ギルドには休日はない。

緊急の対応などがあるので、職員が交代で休みを取る仕組みを採用している。


そうこう話をしていると、先ほどの少女の他に、ツルツルの頭をした筋肉質の男が次々に料理を運んでくる。


「そうだ、フェル。紹介しよう。ここの店主のコーリーと娘のルルドだ。

あと、厨房にはコーリーの双子の弟のランディがいる。

まぁ、無理にとはいわんが、ここは安心しておすすめできる宿だから、贔屓にしてやってくれ」


つたない文章にもかかわらず、読んでくださっている方、ブックマークしていただいている方 ありがとうございます。


ハスクラの要素よりも、等身大に近い物語にしたいなぁと思っていると、展開が遅い。

もうちょっと、テンポ良く書きたいんですが・・・。

まぁ、焦るとつまらない展開になりそうなので、気長にお付き合いいただけると嬉しいです。

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