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ちょっと大人な私達の日常  作者: にしやま そう
三つ編みのお姫様の物語
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跳ね馬参上




一台、また一台と、集合場所の街外れにある大型プールの駐車場にバイクが集まって来ます。

例年より早く梅雨が明けた空は、朝もまだ9時前だというのに、私達の頭の上には、もう夏の空が青々と広がっていました。

空はどこまでも高くて、遠くに大きな入道雲も見えます。



うん!

絶好のツーリング日和です!


すでに駐車場の外れには6台のオートバイが横一列に並び、皆が立ち話しに花を咲かしています。


「ボクモウダメ」


なんて弱音を吐いたVTZも、修理が終わって絶好調です。


ホワーン

フォンフォン


遠くから、綺麗に回る4気筒高回転エンジンの、気持ちのいい音が近づいてきます。

隆二と道洞君のようです。

ワインレッドのCB750Fと、CBR900RRタイガーアイが2台並んで駐車場に入って来ました。



晴天にも恵まれて、今日は念願の能登半島ツーリングです。

白川郷、五箇山を抜ける気持ちのいいワインディングなんだそうです。


めちゃくちゃ楽しみです!

北陸の美味しいお寿司も・・








第十三話

「跳ね馬参上」










翌日、道洞君がお仕事のお昼休みにお宿まで来てくれて、麻子ちゃんのオートバイを見てくれました。

割れてしまったミラーとウインカーは、どちらも汎用品で換えがきくらしくて、簡単に直るそうです。


麻子ちゃんは擦り傷が元で、熱を出してしまいました。

もちろんお仕事はお休みしてもらいました。


元々引きこもりをしていたです。

「このまま寮の部屋から出れなくなったらどうしよう・・」

私はそれを心配していたのですが、その翌日の朝、麻子ちゃんはちゃんと着物に着替えて厨房に降りてきました。


二日間は熱で動けなかったみたいです。

現れた麻子ちゃんの顔には、トレードマークの大きな眼鏡はありませんでした。

どうやら割れたままのようです。


眼鏡を外した麻子ちゃんは、目鼻立ちがしっかりしていて、瞳も大きくて見違えるような可愛さでした。


でもね。

眼鏡ないから、物凄く目つきが悪いよ・・



そして、ただでさえオッチョコチョイなのに、いつも以上に柱や壁に頭をぶつけています。

見かねた吉乃ちゃんが、お昼休みに麻子ちゃんを街のメガネ屋さんに連れて行く約束をしていました。


麻子ちゃんの、深夜の繁華街徘徊。

あのクセは治っていません。

どうやら、中居の仕事をしていると毎週買ってる少女マンガや少年マンガが本屋さんでは買えないので、仕事が終わってからコンビニまで買いに行ってるようです。


麻子ちゃん。

あなたは自分では気付いていないかも知れないけれど。

どんどん、どんどん強くなってるんだよ。


もう、ひきこもりの麻子あさこちゃんじゃない。

立派な中居の麻子まこちゃんだよ。








また少しだけ置いて、2台のオートバイがプールの駐車場へと入って来ました。

隆二のお店の常連さんで、最近隆二一派に加わった新婚のご夫婦です。


カワサキ好きのご夫婦のようです。

私達より少し年下のご主人様は、黄緑色のZX-9Rカワサキカラー。

さらに年下で、吉乃ちゃんと同い年の奥さんは黒いNINJA250という、まさに忍者夫婦です。


私は隆二一派の構成員のつもりは無いのですが、それでも今まで女の子は私だけだったので、今日は記念すべき日です。

何故なら、女の子が二人も加わってくれたからです。


「お?

 もう全員集合じゃん。

 じゃあ、順番決めて出発すっか?」


隆二がヘルメットを脱ぎながら笑っています。


「まだだよ~。

 今日のメインが来てないもん。」


「え?

 まだ誰かいたっけ??」


隆二が回りを見渡して、立ち話している人の顔を一人一人眺めています。


「うん!

 すんごい可愛い!」


私がそう言うと同時に、ふらふらゆらゆらと、一台のオートバイがプールの駐車場に入ってきました。

ヘルメットの隙間から出た二本の大きなおさげ髪が風に揺れています。

タンクの跳ね馬も楽しそうです。


「お!

 限定カラーのバリオスじゃん!

 あれ?

 あのおさげ髪って、もしかして・・」



「うん!

 麻子まこちゃん!

 私の大事な妹2号!」



私は思いっきり微笑んだ。






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