第76話 土魔法使いの仕事
錬金畑の浮島が目的地まであと1日のところまで来た日。
良い天気で遠くまで見渡せるからと、アンソニーがアリサを誘って、観覧車の乗った。
「アンソニーとふたりきりで・・・」
完全にデートモードのアリサに比べて、アンソニーは厳しい顔をしていた。
観覧車が一番高いところになったとき、遠くの海岸を指さしていう。
「あれが見えるか?」
「すごい。何あれ?」
大きな川があり、その対岸に塀が作られている。
それも、ずっと内陸の方に向かって伸びている。
「あの川が王国と帝国を分ける国境だ。だから、あの塀があるのは帝国側だ」
遠くにあるので、どのくらいの高さなのか、判断しづらい。
だけど、監視用と思われる高い塔があったりして、一種の要塞的な建物になっている。
「あれが帝国の要塞だ。あれが作られてから、王国側が帝国に侵入するのはすごく難しくなった」
「でも、帝国に侵入なんて考えているんですか?王国では?」
アンソニーは王国の王様の第三子の王子様。
もしかしたら、帝国と王国のことを詳しく知っているかもしれない。
「王国は戦争を望まない。望んでいるのは帝国側だ」
「でも、それならあんなに巨大な要塞なんていらなくないですか?」
要塞というは、どちらかと言うと防衛的な意味が強い。
敵が攻めてきたとき、要塞がある側は圧倒的に強くなる。
「まぁ、それでも要塞があると相手にプレッシャーを与えることができる。そちらは攻められないけど、こっちは攻めようと思えば攻められるのよ、みたいな感じで」
戦争のことは良く分からない。
だけど、アンソニーと騎士団がここに来たのは、帝国との国境を守る役割をするため。
アンソニーが戦争と関わりを持っているなら、私も少しは勉強しないと。
「あの要塞って、どのくらいの期間で造られたものなんですか?」
「あれはな。今年の3月に、たった1週間で完成したらしい」
「うそ。1週間で作れるはずないじゃない」
大きな建物に興味がないから、造るのにどのくらいの期間が必要なのか良く分からない。
だけど、あれほど高い塔、どこまで続いているか分からない壁。
そんなものをたった1週間で作ったとしたら、作業員が多数必要になる。
「どのくらい人があれを造るのに集めたんでしょう?」
「それは、たった一人だな」
「一人?」
「帝国には、魔王級の土魔法使いがいると聞いた。その男が1人で1週間だけで要塞を完成させたと言われている」
今度の騎士団の移動も、その土魔法使いに対抗するものだと言う。
「どんな奴なのか、その土魔法使いは」
アリサは遠くを見ながら、土魔法使いがどんな人か想像していた。
別に連載中の主人公が噂だけど出てきた。よかったら、そちらも読んでくださいね。
『土建チートもらったから、気楽に巨大建造物を作っています』
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