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第35話 アリサと悪役令嬢の距離が縮まります

「今日集まってもらったのは」

そこまで話すと、集まった人たちの顔をみる。


まずは話をしているビル&ボブ商会のボブ。

同じくビル&ボブ商会のファッション部門チーフのプリシラ。

染色工房を運営しているジャスミン。

そして、アリサ。


「カラフルスカーフの記事に関する報告です」

「なにか分かったの?兄さん」

「まず、記事に出ていた医者に話を聞いてみた。評判の良い医者だから僕も名前は知っていたしね」

「その医者、怪しくないの?」

「ひとつ分かったのは、その医者がロイズ商会に連絡を入れたってこと」

「なんで、ロイズ商会に連絡なんてするのよ」

「3色ストールが話題になっていたから、うちのスカーフをロイズ商会の物と勘違いしたらしい」

「うっ。すると瓦版屋に話を持っていったのはロイズ商会ってこと?」

「そうらしい。ロイズ商会が医者に瓦版屋を紹介して話を聞かせている」


となると、今回の再発売を狙って瓦版屋さんをけしかけたのがロイズ商会ってことね。

ただ、うちのスカーフで炎症が起きたっていうのは事実ってなってしまうわね。


「医者はグルじゃないとすると、医者の見立てでは、炎症の原因はどう言ってるの?」

「正直な話、医者もスカーフが原因とは言い切れないらしい」

「どういうこと?」

「炎症の原因は何か劇物みたいな物に肌がふれた感じだそうだ」

「劇物って、うちのスカーフがそんな物のはずないじゃない」

「ただ、人によっては薬品に過剰反応する場合があるそうだ」


薬品なんて使っていないよぉ。

100%植物由来の安心な製品ですって。


「たぶん、医者は色を出すために特殊な薬品が使われていると思ったらしいんだ」

「それで、反論はしてくれたの?」

「いや。そもそも、僕もカラフルスカーフがどういう作られ方しているのかよく分かってないし」


3人が私をみて説明を求めた。


「私が持ってきた染料は、錬金術の畑で採れた物ですよ」


女性ふたりは知っていて、ボブは初耳だろう。

ちょんと説明してみた。


「すると、炎症につながる原因は無しか」

「そもそも、炎症の人はどんな人なの?その人がロイズ商会の回し者の可能性は?」

「その線を追ってみたけど、どうもつながりが見えない。ごく普通の18歳の女の子だそうだ」

「うーん」


なにが起こったのか、4人は分からないって顔をしていた。

どうしたら、いいのか、それもわからない。



その頃、魔物討伐から帰ってきた紅炎の騎士団長アンソニーはひとりの女性の訪問を受けていた。


「おかえりなさい。アンソニー」

「ただいま」

「活躍だったみたいね。街じゃ騎士団長の話で盛り上がっているわ」

「あれは、瓦版屋がおおげさに書き立てているからさ」

「そんなことはないわ。婚約者として鼻が高いわ」

「今回の討伐はいつもより順調に行ってね」


そんな話をしていると、婚約者は壁にかけられているスカーフに目が行った。


「なに、あれ?」

「えっ、もらった物だけど」

「なんで、あんな物がアンソニーのとこにあるのよ」


急に怒りをあらわにした婚約者に驚いてアンソニーは考えた。


あ、女性からのプレゼントと勘違いしているな。

まあ、女性からではあるけど、仕事関係の人だし。


「騎士団に納品してくれている業者の人にもらったんだ」

「どの女?綺麗な女、それともソバカス女、もしかしたら、のほほーんとしている女?」


もしかして、プリシラがアンソニーに近づいているのかと警戒心が高まった。


「綺麗っていうタイプじゃないし、ソバカスはないし」

「なら、あいつね」

「お、おう」

「アリサって女ね」


なぜ、婚約者の公爵令嬢イライザがアリサのことを知っているのか?


げげんそうにしている、紅炎の騎士団長アンソニー。

そして彼は、国王の息子、国王継承権が第三位の第三王子でもあるのだ。


イライザは怒りに身をふるえていた。

公爵令嬢ブランドに対抗するだけでなく、婚約者まで手を出してくる。

とんでもなく計算高い女、アリサに。


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