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第25話 危険なインスピレーションの実

「今日は楽しかった」


ビリー君とアンソニー団長と一緒にごはん。

両手にイケメン。うふふ。


「だけど。なぜか、うまくいかなくなっちゃうのよね」


こっちの世界に転生してから、多くの街で何人もの男性に出会った。

仲良くなった人もいるし、デートした人もいる。


だけど、なぜかうまくいかなくて、次の街に移動した。

まるでジプシーみたい。


今は午前2時。昔なら丑三つ時って呼ばれていた時間。

魔の時間と言われるのは前世も、この世界も共通していた。


「なにか足りないのよね。何かが」


もうひとつ、ちょっとしたこと。

何かが足りないから、どうしても先に進めない。


「何が足りないのだろう」


半分、寝ている頭で考えても答えがでたりしない。

でも、きっと、何かがあるってことだけは確信していた。


「ラブラブの恋人になる何か」


どうしたら、それが見つかるんだろうか?

そんなことをぼーっと考えていると・・・


ぼやっと白く光る物が目に入る。

あれは・・・そう!インスピレーションの実!!


「それだ!」


足りない何かを見つけ秘密のアイテム。

それがインスピレーションの実。


「これがあれば、一発解決よ」


なんの迷いもなく、インスピレーションの実を食べる。

がりっ・・・もぐもぐ・・・ごっくん。


すると、頭のてっぺんが光りだして、そこから真上に向かって光がはなたれる。


「あ、分かった!そうよ!!足りないのは遊園地よ!!!」


魔法のテーマパークにハリウッドのテーマパーク、富士山麓の遊園地。

恋人になる前のプレデートの定番、遊園地。


「きゃー」


ジェットコースターとかで、彼の腕にしがみく。


「怖いっ」


お化け屋敷で手をつないでもらう。


「綺麗ね」


ふたりきりの観覧車のゴンドラで高い所からみた夜景。


遊園地には、恋人になる前のふたりをドキドキさせて、一線を超える仕掛けが沢山ある。


「この世界には、遊園地がないから恋人ができないのよ」


いままでなぜうまくいかなかったのか。

その答えをはっきりとみつけて、何をすべきか分かってしまった。


「そうよ。遊園地をつくればいいのよ。錬金畑で」


完璧な答えを得てしまったと、ひとりでドヤ顔をしてみた。


だけど、彼女は知らなかった。

彼女が使ったアイテム、インスピレーションの実のことを。


実はインスピレーションの実は、いままで彼女が作ってきたアイテムより一段と錬成レベルが高い。


それまで作った一番錬成レベルが高かったのは、上級ポーションでレベル8だった。

でも、インスピレーションの実は錬成レベル10。

レベルが高ければ高いほど、効果も大きい。


それは良いことだ。


でも、インスピレーションは、彼女がいつかは作りたいと思っている『奇跡のりんご』につながる最初のアイテム。


『奇跡のりんご』は、アダムとイブが神様と同じ知恵を手に入れるために食べたアイテム。

その結果が新しい世界を作ったと言われている。


反面、それまで何もしないで食べ物が手に入れられていたエデンの園から出てしまうという結果になった。

希望を手に入れたと同時に、不安や苦しみ、怒りや嫉妬といった多くのネガティブな物も手にしてしまった。


インスピレーションの実も、同じ様にそれを口にする者に、安定から激動へと導く副作用があったのだ。


彼女が思いついた遊園地。その代表としての魔法の王国。

そこは、魔法の王国を作った創始者の夢に描いた場所だ。


その魔法の王国が現実に現れたとき、起きたこと。

果てしない資金調達をしつづけるという現実。


それまでその会社は、アニメ映画を次々とヒットさせ、膨大な利益を出していた。

その創始者は、大富豪になっていた。


でも、アメリカにテーマパークを作ったとき、限りないディテールを追い求めるウォルトによって、思いもしない額の資金を必要とした。

何十本もの映画のヒットで得た利益が全部ディズニーランドに消えていった。


アニメ映画を創れば、いくらでもお金は入ってくる。そんな安住の地から、何もない新しい地へと旅立つことになったのだ。


「まずは、観覧車ね」


アリサとイブやテーマパークの創始者と同じ道を歩き始めてしまった。


錬金畑でアイテムをつくれば、お金に困ることがない安住の地。

そこから出て、向かった新しい世界。


そこに向かう最初の地図を自ら描き始めた。


「浮島の真ん中にある高い二本のセコイアの木、あの間に木を渡して」


観覧車のイメージ図をサラサラと描き始める。

創始者も通った道。

夢を形にしていく。


本来の彼女の能力ではとても作れないほど精密なイメージ図が完成する。

観覧車、ジェットコースター、お姫様のお城。


いくつもいくつもイメージ図を描き続けた。

インスピレーションの実の効果は、とてつもない結果を生み出したのだ。


昨日はPV2000を超えました。読んでくれている、あなたのおかげです。今回の遊園地は、倉健さんのアイデアです。ついつい大掛かりな物になってしまいました。笑。アリサにどんなアイテム作ってほしいってアイデア募集中です。

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