第24話 こっそり追いかけてきたのは?
美味しい料理と三杯のエールで気持ちよくなって、敷島に帰る途中。
まだ、夕方になったばかりで陽は沈み切ってはいない。
アリサが街のちょっと細い路地を歩いていると、後ろからついてくるのがいる。
かさこそ。
音を立てないように気をつけているみたいだけど、気をつけて聴くと聞こえていたはずだ。
だけど、アリサは気づかない。
テイクアウトしたガツガツシチューを片手にぶら下げていい気持ちで歩いている。
もう少しで街から外に出る、そのあたりでついて来たのが姿を現した。
「えっ、何?」
目の前を白い影がすっと横切る。
あ、子猫♪
後ろから路地の真ん中に、真っ白な子猫が現れた。
「かわいい」
生後2か月くらいで、乳離れしたばっかりくらいの子猫。
「どうしたの?」
子猫に話かけてみる。
「迷子かな?」
野良猫にしては、人を怖がらない。
きっと、どこかで飼われていたのでは、と思う。
「お腹空いてるの?」
残念ながら、牛乳は今、ない。
うーん、どうしよう。
「うちに来る?」
あまりの可愛さに、連れて帰りたくなってしまう。
思えば、この異世界に来たのも、猫が原因だった。
仕事帰りのいつもの駅から家に向かう道で、私の横をすっと、通り過ぎて行った猫がいた。
「危ない!」
猫が道の真ん中で、トラックのヘッドライトに驚いてフリーズしてる。
考える間もなく、飛び出していた。
トラックの運ちゃんと目が合う。
でも、後から考えると暗くて運ちゃんの目は見えないはずなんだけど。
たしかに目が合った気がした。
飛び出した私にびっくりして、急ハンドルをきってトラックが制御不能になって、私と猫に向かってきた。
そして、暗転。
その時の猫も、子猫じゃないけど、真っ白な猫だった。
そのときの状況はあいまいにしか覚えていない。
たぶん、それで命を落としたのだろう。
その後、女神さんに会って、この世界に転生した。
「おいしいミルクあるから、おうちにおいで」
「みぃゃあ~」
かわいい声で鳴いて答える。
手を伸びすとすりすりしてくる。
子猫を抱いて、陽が沈む夕暮れを浮島の家まで帰った。




