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第5章「遠い国の赤い犬」⑫
寝台の上で、目を見開いたまま、ルビアは動かなくなった。
不思議なことに、彼女の体から溢れ出る血が止まらず、吸い続けたシーツが深紅に染まっていった。
リュウは扉を開け、立ち去ろうとしたが、何かの気配を感じ、振り返る。
寝台の上でルビアが上半身を起こし、微笑みを浮かべて彼を見つめていた。
それからゆっくりと人差し指を彼に向け、
『必ず報いを受けさせる。あなただけでなく、あなたに連なる全ての一族に。私は姿を変えても追い続ける』
頭の奥に刻み込まれるような音の響きに目を閉じた。
再び目を開けると、ルビアは先ほどと同じように、目を開いたまま、赤いシーツの上に横たわっていた。
リュウは、しばらく無言で彼女を見ていたが、もう動く気配はなかった。
「そうか」と小さく呟くと、
「追いかけたければ好きにしろ」と言い残し、部屋を出ていった。
階段で誰に会うこともなく、外にでると、来るときには小雨だったのが、再び豪雨に戻っていた。彼に降り注ぐ雨が、体の返り血を足元の水たまりに変えていた。




