↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
81/85

第5章「遠い国の赤い犬」⑩

 ルビアは椅子に座ったままだった。衣服を脱ぐ様子はなく、

 「もう、十分だから」と微笑む。初めて彼女の笑顔を見た気がした。

 「そうか」と寝台の端に腰かけ、リュウと彼女は向かい合った。

 「教えてくれ」と彼は問いかけた。

 「どうやって、それを取り出すんだ?」

 そう言いながら、彼女の腹を指さした。

 「時が満ちれば、自然と体の外に出るわ」

 そういうものなのか、とリュウは考え込んだが、必要ないことだと思い直し、

 「じゃぁ、俺は用無しなんだな」と尋ねた。

 彼女は目を伏せ、少し思案気な顔をしたが、

 「そうね」と呟いた。

 だがすぐに顔を上げると、

 「でも、ずっとこの街にいてもいいのよ」と満足げに微笑んだ。

 『彼女の一族の悲願が果たされるのを見守ることを許す。』

 「そういうことなのだろう」とリュウは理解したが、すぐに、

 「いや、俺は、ここを出る」と即座に彼は答えた。

 「そう、ご自由に」とルビアは事も無げに言い、「それじゃぁ、お別れね」と立ち上がって、扉を指さした。

 リュウも立ち上がり、別れを告げるために、彼女に歩み寄った。

 最後の挨拶をかわすため、二人は抱き合った。

 抱き合いながら、リュウはズボンの後ろに隠していたナイフを取り出すと、彼女のろっ骨を避けるようにして、胸に突き立て、心臓を貫いた。

 「これで、お別れだ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。