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9.第9話 ”続く探索”

 圧倒的な存在感を醸し出すデザイン!

 簡易鑑定で見えるアイテム名とレアリティー情報だけでも、いかにもすごそうな宝物の数々!

 とりあえず、火属性魔術と親和性の高そうな”業火のネックレス”を~♪


【所有者登録済みのアイテムはインベントリに保管することができません】


 ……で、デスヨネー。

 いや、さすが。プレイヤー間でも大事なアイテムを簡単に盗まれるとか、ストレス設定は嫌ですもの。素晴らしい!


 と、部屋の隅の一角、大切に1つづつケースに保管されている、スキル結晶なら~?

 ひとまずこの”☆5 (特異級/Unique) 魔老鴉の恩寵”とか試しに……


【制限設定エリアに登録済みのアイテムを、インベントリに保管するには、許可設定が必要です】


 宝石や金属塊も同じでした……ぐぬぬぅ。ボーナスタイム、ならず。

 一部の装備品は最初の所有者登録済みと表示され、他の装備品も含むほとんどのアイテムは、後者の”制限設定エリアに登録~”のメッセージ表示。王様からご褒美をもらうイベントとかで許可を受ければ、後者のアイテムが手に入る可能性がある?


 と、まあ、果てない野望? 欲望? はおいといて、やっと広がった行動範囲の探索へ繰り出しましょう。

 王族の居住空間と思われる上の階層や、玉座の間は結界のようなものが張られており、幻影顕現の幽霊モードで侵入ができない事は確認済みです。


 城内で特にめぼしい場所は、4本の塔のうち、対角線上にある1本を中心とするエリア。

 それと、アーリーアクセス空間では上下方向の広がりがせいぜい8m程度だったこともあり、封印体である”不朽の束縛”を中心として、全方位半径SLv×100mの球状範囲を好きに移動できると、仕様を勘違いしていた幻影顕現。実は上下方向はSLv×10mだった模様。町やその先まで、もっとよく見えるようになっているでしょうから、それも要確認ですね。 


 もはや顔なじみ(一方的に見知っているだけ)となった、黒髪セミロングメイドなベリーヌさんに軽く手を振り、すれ違い。

 あ、彼女、実は下着のご趣味がそれはもう……すごいんです。すっけすけ、すっけすけなんですよ!?

 覗いたのかって? ままま、まさか! 洗濯物を干しているところを見てしまっただけですよ! 冤罪です!!


 いつも額に縦皺を寄せた、財務官僚が足早に向かう先は無視できず、後を付けましたが、馬車に乗ってお外へ。あぁ、囚われの身の私には、自由の外はまぶしすぎるのよ。


 等と、何か目新しい情報はないかと寄り道をしつつもやってきました、城内最後の一角。遠目に見ても、この一角は警備が厳重で、気になっていたのですよね。厳つい衛兵さんの横をすり抜け、まずは上へ。


 研究施設、なのでしょうか? 王城内には似つかわしくない、それこそ、別棟か外部に研究施設を置くべきでは? と思われる、かすかに異臭すら放つ区画に迷い込んでいました。

 簡易鑑定に表示される名前は、聞いた事のないファンタジー植物が丁寧に収納され、あるいは栽培された部屋。


 薄紫の間接照明に、煙が充満する部屋では、少々目の逝った男女が、入り乱れる嬌態。

 不思議と惹きつけられる香りがして、こう、首筋から背中を通り、尾骶骨へピリピリとした感覚が走り、翼がむずむずと……。


 視界の隅に点滅する見慣れぬアイコン。ステータスの状態表示に目をやれば、


【魔薬(進行度-軽微):媚毒(微小)/自意識低下(微小)】


 妖しいサバトですか、なんですかこれ……真昼間から……それも王城内で……。気持ち悪くなって、すぐに壁の中に頭を引っ込めます。


 幸い、お陽様の下で深呼吸をしているうちに、状態異常の表示は消えました。

 “幻影顕現”の状態であれば、こうした薬物などの影響も受けないと思っていたのですが、魔法のお薬とかだからなのでしょうか。これからも要注意かもしれません。幽霊モードがあまりに便利すぎて、ちょっと油断していました。


 上の方の階の部屋の大半は、物置のように使いつぶされていました。それこそ、王城に似つかわしい、重厚な家具や、装飾が雑多に詰め込まれています。


 下の方の階をあけて、怪しい研究施設に入れ替え、そこにあった物はとりあえず、こちらに移動した。といったあたりでしょうか……。


 そんな中にあって最上階の、街の方角を望む一室。

 ベッドやチェスト、寝室としての家具が置かれていたのであろう跡が残る部屋にはたった1枚の肖像画だけが、壁に掛けられていました。


 その絵画に写し取られた姿を見た瞬間、あまりに理想的な美の在りように、すっかり魅入られてしまっていました。


 ストレートロングの、微かに虹色に輝く銀の髪を膝下まで伸ばし、触れれば消えてしまいそうな華奢な身体。

 月光に照らされ伏し目がちな瞳は、澄み渡る泉のような蒼銀色。

 未成熟な少女らしさの中に、ほんのり色づき始めた胸元のふくらみは、確かな芽吹きを純白のドレスの下から主張しています。

 アンティークゴールドの額縁にはめられたプレートはしかし、その名を示す部分が、乱雑にこそげ落とされています。


 “最愛の______________へ捧ぐ”



 後ろ髪をひかれる思いを断ち切り、地下を見に行きます。

 最下層には監視の待機部屋とそこを通じてのみ、奥へと続く、木製の大扉。

 いかにも後からとってつけたような、金属板の補強が、荒く打ち付けるようになされています。さらには、仰々しい2本の閂まで。


 これまで白い大理石を中心とした、美しい白い空間がほとんどであったこの城にあって、ここの内壁は真っ黒なつるりとした石材。私が封じられたチョーカーの安置されていた封印宝物庫と同じ素材な気がします。簡易鑑定では、”黒い壁””黒い床”などと表示され、素材は不明。こうしたものをきちんと知るなら、スキルスロットを消費して、相応のスキルを覚えなさい。と、いう事でしょう。


 扉の厳重さのわりに、衛兵の姿は見当たらず、待機部屋は無人。


 意を決し、いざ、大扉の向こうへ。


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