78.3章-第22話 ”スキル統合と調整 #2/2”
「では、改めて。問題がこれらですね」
と、取り出したのは、神々しいのに、度を過ぎて禍々しくも感じる、黒い輝きというなんだか矛盾したきらめきを放つ2個のスキル結晶。
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☆8 魔力変質:神代魔法適正
※習得可能種族制限
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☆8 ■■<未開示>■■
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ええ、初めの1個に加えて、実はもう1個☆8を引いていたの、私なのですよね……。
「まずは、魔力変質の方。一応、私は習得可能なようなのですが……効果も何も書いていなくて、読んで字のごとくとは思うのですが」
「問題が……あれば……はずせ、る……のでしょうか?」
「変質ですものね。そもそも、古代魔術であれば、私たち古代魔導人形をはじめ、来訪者達の間でも古代魔術に関わるヒントが発見されていたりするみたいです。ただ……神代となると、私でも情報が……」
「旧支配者、アフーム=ザーや、アトラク=ナクアも、神代と言えば神代ですよね」
「もう1個に至っては、読めない、というか開示されていないと。ルナリスちゃんの鑑定でも何も出ないのですよね?」
「はい。何も……読み解けない、です」
「獲得したアイテムが見えないってなんかもう……まあ、こっちはどうすることもできないので、持っておくだけで。使おうとしても反応もないですし」
後回しにしていたのも、これ結構、後戻りできない系統な気が、ひしひしとするのですよね。
念のため堕天使モードになって、”原初の魔書”に反応がないかを見てみますが、特に何もないと……。
「うん、これも縁。運命というものなのでしょう」
ええ、よく考えなくても、そもそもの始まりからして運命を引き寄せることに全振りして、その結果こうしてルナリスとも出会ったのです。2人も反対がないことを確認し。
「行きますよ!」
使用。と念じ……
“スキルスロットが足りません”
「はい……?」
「どうしました?」
「スキルスロットが足りないって出るのですが……? え、スロット4個も残ってますよ?」
考え込む3人。
「まさか、スロット5個とか10個必要な超スキルとか?」
「絶対に無いとまでは言えませんが……」
と、そこでルナリスが首元にそっと手を触れ、私の本体でもあるピンクダイヤをすりすり。
残念ながら、何も感じられないのですが。
「ナオ……様……の、封印体、”不朽の束縛“……の、スキルスロット……は?」
「え、まさか? 確かに、スキルスロットエンハンサーを使うと、顕現体の両面、天使/堕天使両方が同時に拡張されましたが、封印体は別カウントみたいなので今まで、スキルスロット拡張していませんね」
「ナオさん、辺境伯の報酬のエンハンサー、使ってみましょう」
「いや、あれは紗雪のために使いたいと」
「んーお気持ちは嬉しいですが、明後日からのタワーディフェンスイベントのポイントで、私の交換枠分10個が手に入りますから、そちらをいただければ問題ないですよ。むしろ気になりますから、こちらを優先しませんか?」
「なんだか申し訳ないですが……ありがとうございます。交換分は優先的に入手しましょうね」
「はい。内部4日間開催ですが、2日目くらいまでに2枠開放できれば十分戦力増強は間に合いますよ」
「では……お言葉に甘えて」
取り出した小さな結晶。封印体の方に使うのは初めてですが、どうやって使うのでしょう?
すっと顎をそらし、白く細い首を伸ばして、触れやすくしてくれているルナリスの首元に近づけて。
こくり、緊張からつばを飲み込んだ銀の姫の喉が動き。
あ、消えましたね。
うん、無事、封印体”不朽の束縛”のSlot11が解放されました。
「では今度こそ」
黒い輝きを放つスキル結晶を、使用……。同時にいくつかの事が起きました。
【パーティーアナウンス:ナオが”☆8 神代魔法適正”を、発現しました。本変質と適正の獲得結果はLockされました】
【パーティーアナウンス:ナオの職業適性のLockが解除されました。種族特性から”信仰”が抹消されました】
【パーティーアナウンス:ナオの眷属へ影響が波及します】
一瞬の間の後
【パーティーアナウンス:ルナリスが”☆9 魔眼-月姫の時空眼”を、開眼しました。他条件を満たしていません。変質を保留します】
【パーティーアナウンス:紗雪が条件を満たしていません。変質を保留します】
「ふぁ!?」
「ルナリスちゃん!?」
ルナリス本人も、目をぱちくりしています。
とりあえず他の情報過多な出来事は放っておいて、とにかく彼女に異常がないかだけに頭がすっ飛んでしまいました。
「だ、大丈夫ですか!?」
思わずほっぺをそっと手で挟んで、目をのぞき込むと……。
「き……綺麗……」
声が漏れてしまいました。
今までも吸い込まれそうに綺麗な、澄み渡る泉のような、蒼銀色の瞳でしたが。
今はそこにさらに神秘的な虹色の、髪の毛と同じような微かな輝きが宿っています。
「わ、私も見せてください」
紗雪もじっと横から彼女の瞳をのぞき込み。
「神秘的……ですね。吸い込まれそう」
「視界に異常はありませんか?」
「は……い……多分大丈夫、です」
念のため急いでステータスも見ると……スキルスロットそのものまで、増えていますね。特殊スキルスロット、と言ったところでしょうか。
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Slot EX-1 :☆9 魔眼-月姫の時空眼
時も空間も超え、見通す眼
親和性が高まるとともに、時空間への影響力も増す
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「ほ……し……きゅう。神話級……? ルナリス、しゅごい」
「え……えと」
顔を赤く染め、困ったように目をそらすルナリス、可愛い。
「まあ、ナオさんの感覚だとなおさらそうなりますよね。ナオさんの”アフーム=ザー”の”冷炎”も、☆9神話級なことを忘れていそうなのも、そもそもの原因を考えてくださいというのも、今はともかく。名前から察するに、ルナリスちゃんの職業”月ノ姫巫女”や、もしかすると供犠姫。いえ、血筋とかも関係しているかもしれませんね。髪は母上譲りでしたよね?」
「はい……髪も、目の色も。古い血筋……、……です」
「ご両親からの素敵な贈り物、ですね。発現できて、よかった」
ランダムボックスからそれぞれが獲得したスキル結晶の相乗効果で……、なんとも運命的ですね。
ますます魅力を増すルナリスにメロメロになり……そしてほんの僅か、自分の変化を一度見て見ぬふりをしたいという気持ちも手伝い……またも、いちゃいちゃ、してしまうのでした。
“月姫の時空眼”に覚醒したルナリスが、しゅごい。
だって、だって、わずかな先の未来が見えるのか、なにか第六感と絡んだ超感覚が芽生えたのか、的確に私の弱いところを責めてくるのです! 終始翻弄されて、すっかりペースを握られて。気持ちいいけれど悔しいというか、ルナリスを気持ちよくしてあげたいのに、なんだか負けたような気分で!
「……♪」
あ、なんだかつやつやした気がするルナリスが、るんるん、してる。可愛い、でも悔しい。
ちょっと、むふぅっ、ってしてる気がする!
「お二人とも……本当にもう……」
紗雪にますます呆れられました。はい、まじめに続きをしましょうね。
「はい、ごめんなさい。まあ、ちょっと現実逃避したかったのも事実で」
「お気持ちはわからないでも……というか私の保留も、それはそれでひどいというか」
「条件……って、なんでしょうね……ていうかごめんなさい、軽率だったかな」
「そん……な事は……ない、です! ナオ……様の、おかげ、です!」
いつにも増してルナリスが、ぐいぐいと。お顔、お顔が近い、ちゅーしちゃいそう。
可愛い、ちゅき。
「えと、ステータスを見ていきましょうか。まず、封印体、顕現体表/裏、全てに共通で、スキル”☆8 Lock:魔力変質:神代魔法適正”が登録されています。そして、種族が、天使(ランク1)から神翼種/光 (ランク2)。堕天使(ランク1)から神翼種/闇 (ランク2)。に、変化しました。それに合わせて……これは見てもらった方が早いですね」
可視化モードにしたステータスの該当部分を表/裏の2枚分表示して、天使/堕天使の頃からの変化として2人に説明します。
・ヘイロー:光/闇属性強化 の効果増強。元がSLv.×ヘイローランク×2%増強
⇒ 属性制限が撤廃され、効果計算値が×5%に大幅増強。 ※ヘイローランクも1⇒2に上がっている
・ステータスボーナスが、Rank6 (+1×3、+2×3) から、Rank7 (+2×6) に増強で基礎能力UP
「ナオさん、ナオさん……SLv10の魔術系統が、すべからく効果量2倍に増幅される事に相当って。えぐくないです? 来訪者達もレベル50を超えて、種族変化とか発生し始めていますし、住民からの情報でヒューマンがLv100 以上でハイヒューマンに進化可能と判明していますが……ランク☆7種族さすがとしか言えませんね」
「魔力、MPの自力回復が絶望的なのは変わらないので、効果向上の効果が重なっていくのはありがたいですけれどね」
「ナオ……様への、魔力補給は……わたくしが」
ええ、いつも本当に。そもそも顕現するための魔力自体、ルナリスから封印体がずっといただいているわけで……て、そうですよ。
「あの……変質した魔力って、ルナリスから補給……もらえるのでしょうかね」
さっと、顔を青ざめるルナリス。わたわたしだしたと思ったら、がしっ、っと。
「ちょ、ルナリス、強い、力つよ……」
泣きそうな顔で迫る彼女の唇に、それ以上の抵抗は無意味でした。
結論としては、補給は大丈夫でした。
おそらく先ほどの”眷属へ影響が波及”というアナウンス通り、彼女の魔力も、変質し始めているのでしょう。
課題であるルナリスの進化。
そしてルナリス関連の特別なシナリオを進めるうえでの、大きな力となってくれる事に期待しましょう。




