7.第7話 ”いざ、サービス開始!”
ちょーっと衝撃の大きいカミングアウトを受けましたが、私は今日も元気です。
世界初のVRMMO、いざその開始まであと5分! ふよふよ浮かぶ不思議ドローンの視界の真ん中には、Steps to Elysium Onlineのアイコン!
意識操作で、連打連打連打! にはまだちょっと早いですね?
特級呪物な私のゲーム開始位置は、まず間違いなく、普通の”始まりの街”ではないでしょう。
私的大予想、ベスト5! (ワースト5?)
1.火山のマグマの中に捨てられている。無限リスポーン地獄! 再生スキルを鍛えながら、レッツ、フリーダムへ!
2.海底の奥深くに封印されている。最低1年は身動き取れないかな?
3.魔王様の首元で光り輝いている(逆支配されて、装備されてる)。いえ、魔王様とかいるのかわかりませんが。
4.神殿で厳重に封印されている。聖女様とかが手に取ってくれないかな~。現実は脂ぎった枢機卿? わかってますよ~
5.お城の宝物庫でやっぱり封印保管されている。悪徳貴族が持ち出すのですよね? わかります。
きた! かつての最盛期MMOで鍛えたログイン戦争を生き抜くクリック!
あ、Deus ex Machina Corp.はそんな柔なインフラじゃない? そうでしたね、超技術の産物でしたね。
おぉぉ、PCモニターであの日見たCMの映像が、映し出されている。
圧倒的な臨場感。4K画質とか、サラウンドシステムとか、目じゃありませんよ。
大空を羽ばたく鳥の視点、どこまでも広がる幻想の大地へ駆け下り、滝を流れ落ちる水となる。
伸びやかな笛の音に誘われ、せせらぎの音を背に森の木々を駆けわたる。
すべてが、リアル。肌で風を、耳で音を、鼻で匂いを、感じる、圧倒的なリアル。
あの白い空間にはサユキさんとのぬくもりが、家庭がありました。
今ここには、世界が、そのすべてがあります。
VRMMO。
すごいです。
あぁ、雄大なゲームオープニングが終わります。大きくタイトルコールが表示され……。
おや、事前のティザームービーにはなかった、西洋風の街並み、石造りの建物に真っ白な教会と鐘楼、もしかしてあれが始まりの街ですか?
さあ、どんとこい!
……。
クラ。
くっら!
暗いです! あかり、灯りをくださいな!
ここは真っ暗闇。一寸先は闇。
とりあえず手探りで、あ、動けないですよね、はい。わかってました。
だって私はただのチョーカー。禍々しくも美しい、でも、そう、私はThe物! The超レアアイテム!
もしも~し、誰かいませんか~?
この姿では声も出せませんからね。
さてどうしましょう、顕現体には二つの選択肢があります。
幻影投影。
幽霊のように幻影の姿で、彷徨い歩くモード。
他者から見える見えないは選択が可能と、意外と高性能。
その割にMP消費はごくわずか。五感も有し、幻影からの視点で物を見て、探索や、人と話すことも可能。
ただし、スキルの発動や接触、戦闘行為なども原則不可。本当に、まさに幽霊モード、ですね。
本来は念動などの行使が許される特定のスキルと組み合わせるべきですが、スキル枠の強制Lockの制限が厳しく、また、MP回復もできない身では断念。(MP消費、初期状態の私にはバカ高すぎた……)
そしてもう一つが、実体顕現。
顕現体をフルスペックで、いわゆるプレイヤーキャラクターとして正常に? 扱えるようになるモードですね。
こちらのモードは顕現と維持にかかるMPコストも相応に重く、かつその消費するMPは封印体(チョーカー状態)の私の宝石が内包するもの。
装着者からのMP供給がなければ、MPが回復しない封印体の私にとっては生命線そのもの。
状況が確定するまでは、そうやすやすとは使えません。
ふむ。
まずは一応、ステータス画面やメニューを確認しましょうか。
できることから一歩づつ、です。
メニュー画面に表示されるサーバー番号が、”JP-001”になっていますね。
1鯖ですか。なんだか、ちょっと嬉しいですね。
ステータス関係は、もうお見せしたところは、できるだけ割愛しましょうね。
それでもどうしても長いのですが……今回だけは平にご容赦を。
チョーカー状態はキャラクターネーム「ナオ」が入力されただけなのでスキップ。
ふふ、夢と理想を詰め込みこだわりぬいた、私のアバター、そのスペックをいざ御開帳!
あ、こういう時は、『ステータスオープン!』 が、お約束でしたか?
まあ、思考操作で、認識されればなんでもいいみたいですが。やっぱり超技術。
“顕現体 表と裏” 2キャラクター分にもなる私特有と思われる、画面2枚にもわかれたステータス画面が暗闇の中では眩いばかりの灯りをもたらしてくれます。私にしか見えない光ですけれど……。
あ、そういえばステータス画面は、人に見せる(見える)ようにも設定できましたね。
ひょっとして、光源の代わりになったりします?
お、ほんのわずかですが、闇を照らしてくれますね。
んー、見える範囲はせいぜい数mですか。
向かい側は、棚。となりも? 棚。
いろいろなアイテムが整然と、クッションや専用ラック等に並べられているような気がします。いえ、本当暗いのですよ……。
暗すぎて、簡易鑑定も通らない模様。
床や天井の材質は石。それもかなりきれいに成形されていて、色は恐らく黒?
どこかの物置か、むしろ、印象としてはそれこそ、宝物庫でしょうか。
事前の予想の4番目か5番目が現実味を帯びてきましたか。はたまた、貴族か商人のお屋敷といった可能性も?
とりあえず誰かが来るといったこともない模様。
灯りにつられて、ネズミや生き物が寄ってくる気配もありません。
今いる空間を調べるなら、一瞬”実体顕現”して、光魔術で光源を生み出す。その上で”幻影顕現”で、調べてまわる。
あるいは、いったんこの真っ暗闇はあきらめて、初めから”幻影顕現”で範囲内を探索する。
と、いった手もありますが……。
その前にどの道やらないといけない事を済ませて、何か動きがある事を期待してみましょう。
このゲーム、ステータスは成長性の指標でしかなく、残りMPが幾ら、みたいな数字は表示されないのですよね。
相応のスキル、解析系みたいな、があると、ステータスバー的な表示が見えるそうですが、スキルスロット的に入れる余裕がありません。
もはや慣れてきた超技術で、自分自身の魔力残量はおおよその割合が実感できるので、まあ良いのですが。
さて。
ゲーマー的に初めにやるべきことは?
そう……環境の整備です。ここで焦って動き出してはいけません。
まあ、画面ポチポチでできるゲームであればながらでいいのですが、VRMMOでそれは命取り。
インベントリのタブ別け、自動仕分けの設定をして~。
メニューの課金画面を確認っと。
MAPは半透過表示で左上に~。
スキルショートカットをポチポチ、のような旧来型ゲームに準じた機能は基本的に無く、全ては思考操作や実際に体を動かす仕様。
この辺りは本当に、この世界の住人となって、体験する。というコンセプトに即していますね。
チュートリアルとか、黙っていても降ってわいてくるクエストのようなものもほとんどなく。冒険者ギルド等のNPCも受ける依頼形式のコンテンツを除き、全て現実のように会話や行動でイベントが発生する形式らしいです。
ちなみにスキルという存在ですが、全体的に知識ライブラリが参照できるようになる。と考えるのが近いです。鑑定とかまさにそうですね。これは何? と考えれば、情報が表示される。
戦闘系や肉体操作系はそれに加えて、システムに任せて一定のモーション、というか動作を、状況と思考に即してカスタマイズし、アバターを動かしてくれます。これがいわゆるゲームでスキルを出す感覚、アーツという名称。ただ、このVRMMOの違いは、ライブラリや、こうしたアバターが動かされる感覚を教師、師匠として、自分自身の動きの最適化を繰り返していける事。あの体感2年やサユキさんとの時間で、動きを”ものにした“感じで動けるようになりました。
現実に存在しない翼を操って、微細な飛行制御ができる。他の事もVRに適合できるようになる。それが体感たった2年でって、短すぎる気がしますが……なんでしょう、この違和感。まあ、いいか。
うん。課金要素も、事前に予告されていた通り。
ログイン可能累計時間の追加購入以外は、強さに直結するような要素は今のところ、ありませんね。
キャラクタースペックを底上げする、課金装備とか、課金ペットとか、そういうのもなく平和です。
バフ効果のようなシステム面に影響のない、スイーツやお食事。こちらは協賛企業の一押しなんかも含め相当の数が売らられていますね? VRMMOと言えばやっぱりこれですよね。謎の超技術がもたらす夢の食べ放題。現実すら凌駕する味覚!
プレイヤー間取引のマーケット、オークションは、冒険者ギルド等、所定の場所に行かないとアクセスできないようです。ですので、初期位置が謎の暗闇の私は、今は機能が未開放、ロックされたままです。
あー、後は、オープン記念イベントの告知が2種類、来ています。
とりあえず今回はリアル時間3日間(内部時間12日、約2週間)でのレベリングや生産数等、各分野別に条件を達成すると報酬がもらえる、非競争型。
それと、始まりの街のすぐそばにある初心者ダンジョンのタイムアタック、周回数等を競う、これは競争型の狩りイベントですか。
リザルトはどちらのイベントも一応ランキング形式で随時公表される、と。この場所がどこかや、今後の展開次第ですが、今回は参加できそうもありませんね。
まあ、報酬も記念称号(追加効果なし)とか、各種記念品関連と、汎用品レベルの消耗品や素材等なので、問題ありません。
特殊な運命、”特別”である事を望んだ代償と割り切ります。
今日が7月1日。4倍加速のゲーム内で約3か月弱先にあたる夏休みに期間にあるであろうイベントには、参加できるようになっている事。を一つ目標にしてみますか。
さて、では、この”特別”が果たしてどんなシナリオ、どんな運命なのか、探索に繰り出しましょう!
※※※※作者注釈を失礼します※※※※
第4話同様、ステータスについては、フレーバーとして、ご興味のおありになる方用に以下にご用意しました。
必要な情報は本文でナオ達が会話しますので、付録/後書き程度にお考え下さい。
今後もステータス系の表示は極力必要な情報部分のみ掲載し、章の終わりごとに、おまけ/付録として、詳細全般を掲載する形をとらせていただきます。
※※※※以上作者注釈でした※※※※
###【顕現体:表】###
名前 :ナオ
Lv:10
種族:☆6 天使 (ランク1)
性別:両性
外見年齢:18歳程度
身長:153cm
職業:未設定
称号:未設定
状態:封印 (呪い 封印体-宝石)
<ステータス傾向値>
HP:3
MP:10 (+天使補正2)=12
STR(筋力):3 (+天使補正1)=4
AGI(敏捷):17 (+天使補正1)=18
END(耐久):3
DEX(器用):16
INT(知力):17 (+天使補正2)=19
MND(精神):1 (+天使補正2)=3
CHR(魅力) :18 (+天使補正1)=19
LUK(幸運) :18
※標準☆1相当=10。17=☆6英雄級、20=☆7伝説級相当。9以下は標準以下、デメリット状態。
※1はLv100、3はLv33、5はLv20 でLv10の標準相当程度にあたる。
※レベルアップすると、傾向値を参照して様々な内部パラメーターが上昇する。が、すべてはマスクデータ。傾向値の基礎値自体が成長する事は、成人後は、ほぼ無い。
<スキル>
Slot1 ☆8 Lock:二重性SLv.1
Slot2 ★8 Lock:呪い-封印SLv.N/A
Slot3 ☆5 Lock:顕現SLv.1
Slot4 ☆4 武術:特化-短剣二刀流SLv.1
Slot5 ☆3 魔力行使:魔術SLv.1
Slot6 ☆4 魔術:特化-接触SLv.1
Slot7 ☆5 Lock:属性:光輝 SLv.1(光の上位。天使の制限で光/闇系取得必須のため、Lockされている)
Slot8 ☆5 属性:融炎SLv.1 (火の上位)
Slot9 ☆4 魔術:発動短縮SLv.1
※魔術発動待機時間をSLv.×5%短縮
Slot10 ☆4 魔術:消費増幅 SLv.1
※MPを追加で投入し、魔術の最大効果SLv.×10%増加可能
※最大消費増加=SLV.×20%増
<装備>
武器1 :☆4 刺突短剣-耐熱加工/魔術発動体
武器2 :☆4 刺突短剣-耐熱加工/魔術発動体
頭、上衣、下衣、腕、脚 :☆2 ワンピースドレスセット(白)
アクセ1~4 :空き(未装備)
アクセ5 :★-5 Lock-封印の楔
<持ち物>
その他:☆1 旅人 初級基本セット
MC (ManaCoin):0
Gold:1,000
<種族-天使/堕天使共通の内包スキル>
身体的特徴の自動付加:翼と、ヘイロー(光の環)
翼:魔力飛行 (翼の羽ばたきによる物理的なものではなく、魔力による飛行能力)
ヘイロー:光/闇属性強化 (対応属性のSLv.×ヘイローランク×2%増強)
信仰:対象無し ※封印/呪い-封印による上書き
中性体/生殖不能 :無効化/統合スキル”二重性”による上書き
ステータスボーナス Rank6 (+1×3、+2×3) ※自動割り当て
LUC 18 / CHR 18 以上強制取得
制限(弱点):習得自然属性および、光/闇の反属性による、被影響20%増加
制限:魔術属性-光又は闇系統取得必須
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###【顕現体:裏】 (表との差分のみ表示)###
種族:☆6 堕天使 (ランク1)
<ステータス傾向値>
HP:10
MP:3 (+天使補正2)=5
STR(筋力):17 (+天使補正1)=18
AGI(敏捷):3 (+天使補正1)=4
END(耐久):16
DEX(器用):3
INT(知力):1 (+天使補正2)=3
MND(精神):17 (+天使補正2)=19
CHR(魅力) :18 (+天使補正1)=19
LUK(幸運) :18
<スキル>
Slot4 ☆4 武術:特化-斧槍SLv.1
Slot6 ☆4 魔術:特化-干渉(阻害) SLv.1
Slot7 ☆5 Lock:属性:暗黒SLv.1(闇の上位)
Slot8 ☆5 属性:氷結SLv.1 (水の上位)
<装備>
武器1 :☆4 斧槍-耐冷/発動体加工
武器2 :無し (両手武器装備済み)
頭、上衣、下衣、腕、脚 :☆2 ワンピースドレスセット(黒)
<持ち物>
その他:☆1 冒険者 初級基本セット
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