65.3章-第9話 ”血姫繚乱”
【個人アナウンス:☆8 禁忌級クエスト 「供犠姫#4-策謀阻止-策謀の胎動」 が開始されました】
準備を整え、犬耳受付嬢さんから諸々必要な物の受け取りを済ませると、ルナリス関連のクエストの続きが進行開始される旨のアナウンスが。
おや、これが私たちにとっての本筋につながるとは。黒い兵士達、というのがやはりアレイスター王国が大本という事でしょうかね? 斎賀さんとの約束はもちろん、ルナリスの抱える何かの解決という、クエスト。いえ、もはや私の宿命ともいえる課題を進めるためには、まさに渡りに船でしたね。
進化や斎賀さんから聞いたことはまだルナリスにも紗雪にも、何も言ってはいないのですが……どこまで話してよいものか。下手な話をして、良くない影響が出る可能性も、怖いのですよね。
「せっかくなので、魔導人形の子達も同行させましょうか。レベリングにもなりますし、レイドにすれば、複数パーティー収容できます」
「そうですね、第1から第3部隊の子達になりますよね」
「ですね。生産系の子達を優先していましたが、今日まででそちらはある程度人数が確保できたので。いったん、最低限それぞれに配属する子達と、その装備優先に切り替えています」
浮遊効果のかけられた箱馬車は揺れを感じさせることもなく、高速で移動しています。引いている4頭のゴーレム騎竜はある程度の自立判断ができるそうで、御者台に誰かひとり張り付いていなくてよいのも、いいですね。今後の事を考えると、ちょっと。いえ、かなり、欲しくなります。
「ナオ……様の、スキルスロット……どうしますか?」
「その問題もありましたね」
Slot13をあけたはいい物の、悩みに悩んだ末、未だに埋めていないのです。入れ替えはできるのですからそこまで悩まずとも。とは思うのですが、教会に行く、という事にどうしてもいやな予感がしてしまって……。信仰対象が無いというか、設定できない、天使とか。どう考えてもまともではないでしょう。それに職業も未だ設定不可のままなので、それもなんだか……。
「自動回復系が取得できないのはわかっていましたが、明記されていないだけで、MP上限を増やすようなスキルもダメでしたからね」
特に堕天使モードのMP問題は割と大きな課題なのですが……。精神供与での補給という名目で、ルナリスと合法的にイチャイチャできるのは嬉しいですが、継戦能力の相変わらずの低さは問題です。
「継戦能力は……わたくしが……お支えします」
「うん。頼らせてもらいますね」
なでなですると、ほにゃっと嬉しそうに、してくれるのがまた、こちらも嬉しくなりますね。
あ、紗雪、ばっちり撮影していますね。イベントごとに限らず、こうした日常のふれあい動画を求めるプレイヤー層がかなり私たちのファンにいらっしゃるのだとか。
「やっぱり、これらにしますか」
と、取り出したのは2個のスキル結晶。
“☆4 瞬間加速”、”☆8 血姫繚乱”
前者は天使モード用に普通にプレイヤーズマーケットで購入したもの。
自身のAGIによる速度上限を超えて瞬間的に加速を行う、速度上限の突破。そして、静止状態を含む低速から、一気に最高速への加速を行う事が可能。と、ある意味穏当なスキル。
ただ、元々レベルの上昇とともにAGIの成長著しい私の場合、制御に難を伴う点で要注意なスキルでもあります。
アレイスター王国王城地下でルナリスを救出しようとした時の1回目、一人でのチャレンジの時。静止して彼女を抱き留めた後の再加速が一瞬でできていれば、殺されて失敗する事もなかったかもしれませんからね。そんな後悔というか、反省も踏まえての選択です。
パッシブではなく任意発動なので、まあ、使いこなせるように練習です。
で……問題が後者。
「ナオ……様が……痛い思いをされるのは……」
「キャラクタービルド的にベストマッチなのは認めますが、ナオさん、ますます自傷にためらいをなくしますよね。痛みは本物なんですから、ちょっと精神。というか、心理的な面でも心配ですよ?」
「いえ、まあ。でも買っちゃいましたし……それに、その苦しみのもっとひどいのをルナリスが耐え続けているのです。私はその苦労を、身をもって知っているべきではないか? とも」
「ナオ……様……それは……」
ええ、2人にずっと、それとなく止められていたのですよね。
これ、入手したのはプレイヤーズオークション。お値段3,000万MCもしたのでまあ、結局使う事は決まっていたようなものなのですが。
“スキル結晶ランダムボックス”という交換アイテムが、イベント交換一覧にありまして。
1個1,000万ポイントと、私達は取るとしてもタワーディフェンスイベントか、PVPイベントの残りポイントの中で考えればいいやと思っていたのですが、普通であればかなり高額なポイント消費。しかも、全種類の☆1~☆8から完全ランダムというなかなかな仕様。もちろんレアリティーが高い程、出現率は低いです。
ひとまず性能がこちら
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☆8 血姫繚乱
パッシブスキル(常時発動)。以下の効果は通常の手段では、解除する事ができない。
★-感覚増幅 (痛覚等)
★-直近6時間以内に受けた損傷、又は生命力低下効果の回復/解除不可
☆-累計ダメージ/損傷に比例した、”最終与ダメージ”および”破壊力”増幅。と、自身の攻撃に”物理防御力軽減”効果追加
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顕現体/裏の堕天使モードなら、どの道、腕輪”☆7 魔に捧ぐ命の輝き”に捧げた生命力は24時間、復旧/回復不能なので、デメリットも実質踏み倒せるも同然。腕輪を使わない戦闘でのダメージ回復も一切できなくはなりますが……。
比例した、というところの増幅効果のほどが未検証ですが、☆8という時点で低いはずもなく。どうしようもなく使い物にならなければ、覚悟を決めて教会で外してもらえばいいですからね……。
「ルナリス程ではありませんが、ちょっとお揃いにもなりますね」
すごく複雑そうな表情をする彼女。これ、痛覚は明示されていますけれど、さっきも言ったように多分、ルナリスの”感覚過剰増幅”の効果低い版だと思われるのですよね~……デメリット表記の”★”なので、天使モードでお世話になっている”☆5 感覚拡張”とは明らかに違いますものね。
よし、覚悟を決めて使いましょう。天使モードは順当に取得し、さあ転身、堕天使モード。
ひょいっと取り込んで……。
「ひぅっ……!」
え……やば……な、なにが……。
全身、胸の先、下腹部、太もも、”☆8 旧支配者たる蜘蛛神の恩寵のドレスセット”の至高の肌触りにこすられる敏感なところが、一斉に熱を持ち、とんでもない快感が一斉に襲い掛かります。
「ぃ……ゃ……」
耐えられず、人差し指の背をあまがみし、必死に矯声をこらえ……あ、よだれが……止まらない……。
両性となった身の仮想世界の子宮の奥から……じゅくりと……
「ナ……ナオ……様……!」
のけぞり跳ねる私を、ルナリスが必死な表情を瞳に湛え、柔らかな身体で抑え。
あ、それ、だめ。
甘い肉体の重みが、余計に快感が、じんわりと浸透してきて。
「ルナリスちゃん、いっそ、発散させてしまいましょう」
優しく、妖しく、背と、翼を撫でさする紗雪。
快楽を与えることを意識したフェザータッチに、ますます私は上り詰め。
2人がかりで、ひたすら愛され……頭がおかしくなりそうな絶頂の波の連続に、気絶と覚醒を繰り返し。
やがて、意識が途切れました。
それから、竜の背骨山脈の麓、目的地のダンジョン”冥府の洞窟-ニベヘリィル”に到着するまでの6日間。
“悠久の楽園”の白亜城と宝石城で、ひたすら享楽の宴が繰り広げられました……。
「ナオさんの全ては私が差配しますから!」
と、宣言した紗雪が、あのアーリーアクセス空間で初めての出会いを遂げたメイド服に着替え。
手取り足取り、なにも取り。おはようからおはようまで……いえ、だって、寝ている間もずっとなんですもん……。
それはもうかいがいしく。そして、他の雑事まですべて見事に「メイド。いえ統括としての務めです!」 なんて、お世話してくれましたよ。
手伝おうとするルナリスに、こればっかりは譲れないと、お世話される側に私と共に置かれていましたね。
そういえば、途中、入れ替わりで、副統括の4姉妹も混ざっていたような……? いえ、気のせいですね。きっとお世話そしてくれただけでしょう……ですよね?
あ。あの4人はお互いを正式に、姉妹人形と認識したそうです。
慣れるなんて無理……と思っていましたが、なんとか日常生活と短時間の戦闘をこなせるようには……なりました?
戦闘が長引けば発情が抑えられず、頭は蕩けきり、腰砕けになって、はしたなくも……という、さらに別の恥ずかしい継戦能力の限界が追加されました……。しかもそこまで逝ってしまうと、天使モードに戻っても、”不朽の束縛”に囚われた本質たる魂に残った余韻のせいか、身体の芯に悦楽の余韻が残っていて……。
なお、痛みの方も壮絶で。ちょっと今まで以上に全生命力を捧げるのはためらわれるような……。必要となればやりますけれどね? 痛みが気絶することを許してくれないレベルになりますし。
ルナリスはこれよりすさまじい、過剰な感覚にいつも翻弄されているのですよね……。慣れと、供犠姫に内包された”☆6 精神保護(崩壊阻害)“があるとはいえ。いえ、むしろそれがなければ、本当に精神崩壊する恐れがあるのか……。
やっぱり彼女に無理をさせたくないという気持ちが余計に強くなります。しかし、現実でも一緒にいられるようになるためには、この先の、斎賀さんにすら脅された困難を、乗り越えなければならないのですよね。
ことごとくが☆8禁忌級になるルナリス関連のクエスト、その行き着く先はどこなのでしょうか。




